じいたんばあたん観察記

祖父母の介護を引き受けて気がつけば四年近くになる、30代女性の随筆。
「病も老いも介護も、幸福と両立する」

本日のオチ。許せ!彼氏(ToT)

2005-04-30 02:54:50 | じいたんばあたん
そんなこんなで今日もがんばってくれた彼氏に、
ありがとうの気持ちをこめて、
膝枕で耳かきをしてあげていた時のこと。

とても大きいのが取れて(変な話ですみません)
その収穫が嬉しかった私は
不覚にも彼氏に、

『おばあちゃん、ほら、・・・(じわっと油汗)』

と呼びかけてしまったのだった。

彼氏も私も一瞬固まり、そして大爆笑。
今は私の横でぐっすり眠っている。

彼氏よ、許せ。
悪気は全然なかったんだ。

そしてゆっくり眠っておくれ。
君の匂いをかぎながら私もそろそろ眠るよ。






じいたんと彼氏。

2005-04-30 02:51:55 | じいたんばあたん
今日の午後、私の彼が祖父母宅に来てくれた。

本日の来訪の目的は、じいたんの入浴に付き合うこと。
週三回のデイケアでは味わえない、
「ゆったりと自分のペースで楽しめ、かつ安心して入浴出来る楽しみ」を
じいたんに提供するために。

祖父母の住むマンションの1Fには綺麗な大浴場があって、
じいたんはそこで入浴するのが大好きなのだが、
もう医者から、一人での入浴は止められている(因みに外出も)。
そこで私の彼氏が登場となるのである。
(他の親族は?という突っ込みはナシでお願いします)


彼氏としては、

①介護度も性別も病気も違う二人の老人を、私一人で介護している
状況が心配(←私みたいな立場の人って結構いると思うんだけど)
②デートする時間さえまともに確保出来ないなら、
自分がじいたんばあたん宅へ出向いて、一緒に過ごせばいいじゃん!
 
という考えのもとに、止むに止まれず介護の手伝いに来てくれるのだ。
それも週一のペースで。
時には私と一緒に祖父母宅に泊まってくれる。

だが問題はじいたんの、「彼氏が訪ねてくることに関しての理解回路(?)」。
単純に彼氏のことを気に入っているというのではない。

彼の頭の中では、彼氏と自分との関係は、
私という緩衝材抜きの
「個人的な友人関係」に書き換えられているようだ。

例えば、

彼氏から、何気ない葉書が届いたり、電話が入ったりする度に
「どうして◎◎さんは、こんな何の変哲もない年寄りのところに
しょっちゅう足を運んでくれるんだろうか」
と、超満面の笑顔で、少し得意げに私に尋ねる(笑)

そして、彼氏の来訪時には、決まって
「今夜は我が家に泊まって行かれるでしょう?」
と真顔で、そしてどこか縋るように彼におねだりする(^^;;;

じいたんは、本当に本当に本気なのだ。

それが証拠にじいたんは、
彼氏のために、自宅にADSLを導入し、
(彼氏はネットできる環境でないと仕事ができない)
彼氏の着替え置き場や彼用のタオルを選び、
いつでも彼が眠れるよう、来訪日はこっそり自分の書斎を片付けていたりする。

勿論、上に書いたような彼氏の気持ちには、
じいたんは全く思い至らずにいる(笑)

だが。
彼氏は、嫌な顔ひとつせず、そして決して無理はせず
穏やかに控えめに祖父の甘えを受け止めてくれる。

じいたん、本当に良かったね。
人生の晩年に素敵な友を貴方は得たんだよ。

そして彼氏よ、ありがとう。
私のために来ているといっても、
じいたんと接しているときは、
しっかりとじいたんの心に寄り添ってくれているのが
旗から見ていて分かるのだ。

じいたんの家族として感謝するとともに、
一人の男としての貴方の、誠実さと優しさが嬉しいです。
私が貴方に返せるものはあるのでしょうか?


『か~ら~す~、何故鳴くの』改め。

2005-04-29 02:13:00 | じいたんばあたん
ばあたんは老人性アルツハイマーの中期である。
症状はまあ穏やかな方だと思うのだが、
とにかく「待つ」ということができない。

例えば・・・
「トイレに行って来るね」と彼女に伝え、用を足し
ダッシュで部屋に戻ると
『たまちゃん(私)、何処にいってたの?(;_;)』
とべそをかく。

あるいは、エレベーターに乗るときに、
前の人が慣れない杖でもたもたしていると
『どうしていつまでも中に入らないのかしらね、あの人』
ごく素直にそして残酷に私に尋ねる。

ばあたん曰く、『何も分からなくて淋しいの』なのだそうだ。
祖父母宅に居る間、彼女は殆ど私から離れないし、
私も常に会話しつづけている。


だが、じいたんはそんな彼女を抛ったまま、
お茶の間の自分の椅子で、いびきをかくほど熟睡する。
毎日毎日、あるときは昼下がり、あるときは夕食後。
もちろん彼女は彼を何度も起こそうとするのだが、
彼の方は半ば確信犯で、決して眼を開けないのである。

私は私で、明日の予定や書類を作ったり、服薬チェックをしたりで、
傍には居ても、ばあたんに気合入れて構ってあげられない。

そんなとき、ばあたんは
遠慮がちに、そして少し不満げに、
小さな声で歌うのだ。

『○~○~ちゃん、何故寝るの~?』
  ↑じいたんの名前。

ちなみに曲は『七つの子』である。
(タイトルの曲です。)

それを聞くと私は思わず
書類を書き損じたり、粉薬を吹き飛ばしたりしてしまう。
何度聞いても笑ってしまう。そしてとても嬉しくなる。

だって、
これこそ皆が知ってる祖母の姿
そして、
こんなにユーモア溢れた、ブルーな気持ちの表し方、
健康な人でもなかなか出来るもんじゃない。

ばあたんはちゃんと生きている。
病気をしていても、私が分からなくても、
ばあたんは、ばあたんを全うすべく、今を生きているのだ。

命って何て力強いものなんだろう。
ばあたん、ありがとう。めっちゃ愛してる。

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あ、そうだ、最後に大事なこと。
じいたんがばあたんを、これ以上ないくらい愛し
大事に思っていることは、
孫の私が保証します。

こんな感じで介護生活にダイブ!

2005-04-28 01:23:43 | じいたんばあたん
おととしの夏、私は祖父母の家の近くに転居して、介護すると決めた。

祖母が、アルツハイマーの診断を下され、すでに中期にさしかかっていたからだ。
90代の祖父と二人きりにしておけない、と思ったら、勝手に身体が動いてしまった。

前の仕事を辞め、二人のすぐ近くに越し、新しい仕事を見つけた。
始めは主に入浴の介助や買い物・病院への付き添いなど、
少しずつ彼らの生活に溶け込んでいくところからはじめた。
今は仕事を一時辞め、一日の殆どを彼らの家で過ごすようになっている。

自分と60歳年の離れた夫婦(=祖父母)の生活空間。
それもそんな生活を本当に長いこと続けて来た家に、
出入りさせてもらうことさえ最初は難しかった。
孫だから、余計に難しい・・・そんな側面もあったように思う。

それが今ではお互いに、ジェネレーションギャップを発見しては、
腹の底から大笑いして
勿論、時には喧嘩もするけど、5分と経たないうちにお互いに
「ごめんね、じいたん」「すまないね、お前さん」で解決してしまう。

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アルツハイマーの祖母は、とても穏やかな性格で、争いごとが苦手で、
私と祖父が少しでも喧嘩っぽくなると、べそをかく。
「私はね、二人とも大好きなの。だから、争っていると悲しいの」
と、私の袖を力いっぱいぎゅうっと掴んで(私が帰らないように)
・・・本当に必死で、気の毒になる。そして、いとしい。

実のところ祖父と私の喧嘩は、予定調和的だったりする。
「お互いイライラしてるから喧嘩して発散してみようか」みたいな
暗黙の了解があるのだが・・・


だからあたしはブロクを書く。

2005-04-28 01:07:37 | じいたんばあたん
はじめまして。読んでくださっている貴方。
お時間取って下さっていること、心から感謝します。

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介護を始めた当初(一昨年夏)から思っていた。

『何か記録を残したい』

でも、何を記録したいのか自分の中で整理がつかなかった。
ただ日々の感情を垂れ流すような、そんな記録は書きたくなかった。

だが、毎日の食事・体温・血圧・生活の様子を書き残す、
そんな看護日誌みたいなものはブロクにする必要はない。

介護を始めて今までの間、はっきりしたことがある。

あたしは、昔より今、ずっとずっとじいたんばあたんの事、好き。
大好き。泣けてくるほど好き。

親戚との軋轢や、神経を使うこと、腹の立つこと沢山あるけれど、
二人の笑顔を見たら全部吹き飛ぶ。

彼らが私のことを誰か分からなくなる日も、そう遠くないだろう。
でも、そんなことどうでもよい。

介護させていただけるって、幸せなことです。
そのことを、伝えたい、書きたい。
だからあたしはブロク書きます。
良かったら、これからも読んでください。