心理学オヤジの、アサでもヒルでもヨルダン日誌 (ヒマラヤ日誌、改め)

開発途上国で生きる人々や被災した人々に真に役立つ支援と愉快なエコライフに渾身投入と息抜きとを繰り返す独立開業心理士のメモ

「障がい者制度改革推進会議」日弁連主催シンポ

2010-05-26 09:22:55 | 日本で・・・
日本弁護士連合会主催「障がい者制度改革推進会議の現状と課題-障害者権利条約の国内法整備に向けて-」

きのう夕方、弁護士会館で推進会議の報告会があった。
17階の大きな1701会議室は一杯の人。
顔見知りの精神関係者、介助者にタンをときどき吸引してもらいながら聞き入っている車イスの参加者、要約筆記スクリーン、手話通訳者などなど、活気があった。
推進会議は今年に入って始まり、すでに12回が終了して、「第1次意見」を24日にまとめた。

24人の委員のうち14人が障害当事者という、画期的な政府主催の会議だ。
そして今後の障害者施策をドラスティックに改革する内容がそこにはある!
東俊裕室長の準備やまとめがすばらしいとぼくは思っている。

きのうの会議は彼が弁護士でもあり、組織内での準備も進めてきた立場から、その会場ということらしい。

それは次の諸点を含んでいる;
障害の定義
差別の定義
合理的支援
労働及び雇用-精神障害者の雇用義務、福祉的就労への労働法規適用、社会的事業所、職場における合理的配慮、など。
教育-インクルーシブ教育制度の確保、教育基本法への明文化、地域における就学、今年度内に結論。
所得保障-障害基礎年金制度の新たな制度化、など。
医療-強制入院制度の見直し、社会的入院の地域化と移行、サポート拡充、精神科特例の廃止、など。
障害児支援-相談支援、など。
虐待防止-法制化、など。
建物利用・交通アクセス-2011年常会へ提出予定の交通基本法に移動の権利を明記、など。
情報アクセス・コミュニケーション保障-手話・指展示通訳者・要約筆記者などの人材養成、など。
政治参加-障害者の立候補者のコミュニケーション支援者を運動員に数えない、など。
司法手続き-手続き上の配慮が欠けている、など。
国際協力-第2次アジア太平洋障害者の10年(2003-2012)、そして第3次へ、政府開発援助大綱に障害者を明確に位置づける、など。

今後に予定されている日程:
2010年4月;総合福祉部会で障害者総合福祉法制定の検討に着手、11年秋までに結論
夏;差別禁止部会を設置
年末;推進会議は第2次意見をまとめる
2011年常会;障害者基本法の抜本改正と推進会議の法制化
2012年常会;障害者基本法案提出
2012年末;差別禁止法制定に差別禁止部会が結論。
2013年8月;障害者自立支援法廃止

さて、こうした日本の動きは、国内の障害当事者運動で盛り上がったというよりは国連の動きに領導されていると言うしかないのは残念だ(JDF日本障害者フォーラムの活躍はあるが)。
外圧に弱い国だ!
障害に関しては、イタリアやスウェーデンが提案などで主導しているらしい。
アメリカのリハビリテーション法504条(1973)、全障害児教育法(1975)、ADA(1990)の影響も大きい。
そして国連・障害者の権利条約の2006年採択へと結実。
日本は2007年に条約に署名したが締結には至っていない。
そのためには国内法の整備に迫られている、という状況なのだ・・・

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こういうニュースもあり、会議では挨拶をしてすぐに退席するというあわただしい国会議員たちの動きがあった。

<障害者支援>つなぎ法案、議員立法で今国会成立へ  5月26日2時31分配信 毎日新聞

 福祉サービス利用の原則1割を自己負担する障害者自立支援法の廃止を巡り、新制度開始までの暫定的な現行法改正法案が、超党派による議員立法で今国会に提出され、成立する可能性が強まった。障害が重いほど負担も重くなる「応益負担」から、支払い能力に応じた「応能負担」にし、発達障害を同法の対象と明記するなどの内容。
 現政権は13年8月までに自立支援法を廃止し、新たな障害者福祉法制度を開始させる予定だが、障害者団体から「それまでの間どうするのか」との懸念の声が上がっていた。
 改正法案は「障がい者総合福祉法ができるまでの間の障害者自立支援法改正案」(仮称)。障害程度区分によるサービス内容の決定前に、本人の希望を反映させる「セルフケアマネジメント」(仮称)の仕組みを導入するほか、仕事などをしながら少人数で暮らすグループホームの障害者に対する家賃助成なども盛り込まれる見込み。
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国際協力でもそうだし、地域活動でもそうだが、改革には「上(法や行政システム)」と「下(人の個別的具体的な生活行動と意識)」との双方からの介入が求められる。
エコしかり、障害者支援、国際協力支援しかり・・・

それと、上記の推進会議の所管大臣を出している社民党が、基地問題への対応によって政権から離脱しかねない流れにあることが危惧される。
この画期的な本質的な検討が尻すぼみで終わらないように・・・祈る!

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それともうひとつ、この会議に参加してよかったこと;

ぼくの講義の受講生に一人の全盲者がいるけど、彼女用に配布資料の点字版1セットを入手できたこと。
レポートと最終試験の提出はメールで、視聴するDVDなどは日本語字幕ではなく日本語吹き替え版を探してなどと、「コミュニケーションに常識的配慮」をしているつもりだけど、配布資料がPDFだったりして手を打てていなかったので、すこし安心。
さすが資金力のある日弁連だ!



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