心理学オヤジの、アサでもヒルでもヨルダン日誌 (ヒマラヤ日誌、改め)

開発途上国で生きる人々や被災した人々に真に役立つ支援と愉快なエコライフに渾身投入と息抜きとを繰り返す独立開業心理士のメモ

ネパール偉人による総合村落開発NGO

2007-03-16 12:00:38 | 国際協力・現地NGO分野
トリシュ・メヘル・クラブのゴルカ支部 Tulasi Meher Uneso Club,Gorkha へ行ってきました。

貧者支援60年になる、トピーを被り、男性の民族衣装のドウラ・スルワールの上に、肩に破れのあるイギリス式のブレザーを羽織り、小さなショルダーバッグを背負った、小柄で日に焼けた、ムルミ Rudra Lal Mulmi 翁86才が、心血を注ぐNGOです。

カトマンズからポカラへ向かうプリティビ・ハイウエイのムグリンの少し先のアブ・カイレイから北へ24km北の丘陵地帯へ入ったところです。
四駆で片道約3時間半でした。

その7つある支部のひとつのゴルカ支部では、
スタッフ2人で約1ヵ月半かけて行う、対象村落のPRA調査に続いて、
・健康ーヘルスポストのスタッフ給与支援・予防接種支援・TBA研修・女性の健康・トイレ建設・排煙コンロ・広報
・教育ー識字(6ヶ月+3ヶ月)・就学前教育
・農業ー野菜栽培・きのこ栽培・水牛銀行・ヤギ銀行・香草栽培・練炭つくり・家禽飼育・しょうが栽培
・現金収入ー竹細工・縫製
・青少年活動ーグループつくり・リーダー研修・小図書館つくり・スポーツ機材配布・ジェンダー研修
・施設建設ー学校建設と維持・飲料水供給と維持・灌漑
・女性ーリーダーシップ研修
・マイクロファイナンスー経理研修
・共同作業研修
・禁煙キャンペーンー小論文コンテスト・キャンペーン
・HIV/AIDS予防ー研修・調査・家族カウンセリング・キャンペーン
・しょうがい児者リハビリテーションーキャンペーン・研修・集団ミーティング・理学療法
などの活動を、2年間を1クールとして、住民参加型で行っている・・・!

内容の充実と、包括性と、継続性、積極性、そしてスタッフの謙虚さにも感動・・・!
いくつもの村で活動する国際協力団体の実践の統合した形がここにありました!

さて、トリシュ・メヘルとは、隣国インドのガンジーに共感して、自身はパタンのバグマティ河原の小さな庵に済み、貧しい女性に糸紡ぎを通しての経済支援や、アルコールや肉食の拒絶運動を進めた、ネパール人なら大半の人が知っている偉人だそうです。
そしてムルミさんも、26才のときに、デリーへガンジーに会いにいき、暗殺される35日前にも会っていたと言い、ガンジーとトリシュ・メヘルを師と仰ぐ人なのでした。

ぼくの前任地であるドミニカ共和国のADRの創設者と彼女にリードされた組織を想い出しました。
優れた指導者を持つ組織は、その清廉さが、思想が組織の隅々の人にまで浸透していくすばらしさ・・・

システムを持って、誰でもできるNGO活動というのも、夢見るけど、多くの国際NGOがそうであるように、獲得した予算内の活動に縛られていってしまっている現実!

そして、ムルミさんのような偉人はそういないという、これも現実!

高齢になるムルミさんは、後継者と、年間約800万円になるという活動費用への支援とを、真に求めているようでした。
14年目という、古いけど手入れの行き届いたパジェロで同伴して往復してくれ、息子と呼んでくれて、うれしかったけど、ぼくにお金の提供は難しい・・・

日本のどなたか・・・こういう活動へ財政支援できる方はいませんか・・・!?

写真は、早朝のゴルカからの朝霧に沈むドランド・コーラ流域です。

補足1;なお、名前のユネスコは、かつて助成を受けていた期間があるということで付いているそうで、現在ではまったくのネパールの国内NGOです。

補足2;このゴルカ郡は、250年前にカトマンズへ出てきて現ネパールを統一したシャハ王朝の出発地です。しかし現在はマオイストの支配地域でもあります。このNGOへ、マオイストからの介入は一切ないということでした。

補足3;マオイストが支配地域で禁酒政策を取っていることは先に述べました。貧困の中で余計な出費から家計を守り、飲んでいる時間を労働へ向けるため、また惹起しがちな家庭内暴力を予防するためと聞いています。ガンジーがそうだったことは、ここゴルカを訪問して、想い出しました。ネパールのマオイストはガンジーの系譜にもあるのでしょうか?あらためて、ガンジーの著作を読んでみたいと思いました。