2019年12月19日の記事の焼き直しです。
本日のANA246便の事故、バードストライクの可能性が高そうですね。
鳥とぶつかったら、ぶつかった対象が飛行機であれ自動車であれ、列車であれ、ビルの窓ガラスであれ、風力発電風車と、対象が何であってもバードストライクと呼びます。ここではとりあえずは飛行機に鳥がぶつかる問題を考えてみました。
飛行機に鳥がぶつかる「バードストライク」、日本では毎年1500件程度発生しているそうです。
近年、緩徐に減少傾向にはありますが、2018年、1434件発生しています。国土交通省の資料によると、7月から11月にかけてが多く、10月がピークだそうです。
航空機のバードストライクのおよそ半分は、滑走中など地上にいるときに発生し、発生個所で多いのは、機首(ノーズ)の部分。ついで翼、エンジンだそうです。
現在の飛行機は、バードストライクに遭遇しても、ある程度までは影響がないよう設計されています。
特にエンジンは、鳥を吸い込んでしまうとブレードが壊れて機能が止まり、飛行できなくなる可能性もあり、大事故に直結します。
映画「ハドソン川の奇跡」として知られる下記の事故は有名ですね。
- 2009年1月15日、USエアウェイズ1549便不時着水事故 - ラガーディア空港を離陸した直後のUSエアウェイズ1549便(エアバスA320-214)がカナダガンの群れと衝突し、両エンジンが停止した。パイロットはハドソン川へ機体を不時着水させ、乗員乗客155人に死者は無かった
現在では、ジェットエンジンがバードストライクに耐えらえれるか、1.8㎏のニワトリを、実際にエンジンへ打ち込む耐久テストが行われるそうです。(カナダガンは3㎏から6㎏あるそうです)また、発生箇所でもっとも多い機首の先端部分には、補強などの工夫がされているといいます。
このためバードストライクに遭遇しても、そのまま目的地まで行き、そののち整備するケースが一般的です。2018年のバードストライク発生件数1434件のうち、引き返しや離陸の停止は24件(約1.6%)。ほとんどの場合、そのまま到着地へ無事にたどりついているそうです。
バードストライクに遭遇した飛行機に損傷が発生する確率は、2018年の日本では約2%(39件)でした。最も機体の損傷につながっている鳥は、600gから1kgの重さが一般的な「トビ」だそうです。
空港でもバードストライク対策をしているものの、鳥と人間との“知恵比べ”状態が続いています。爆音を出す機械などを導入しても、鳥が順応していまい、効果は一時的なのだそうです。
おもな対策としては、空港内の目視巡視が一般的。発生件数最多の羽田空港は、2012(平成24)年から専用レーダーを導入しており、目視と合わせて24時間体制の警戒を行っています。
なお日本の航空会社では、バードストライクが原因の墜落や不時着事故は発生していません。世界で見ると
- 1960年10月4日、イースタン航空375便墜落事故(英語版) - ローガン国際空港を離陸した直後だったイースタン航空375便(ロッキード L-188)がムクドリの群れと衝突し墜落した。乗員乗客72人中62人が死亡。
- 1975年11月12日、オーバーシーズ・ナショナル・エアウェイズ032便大破事故 - ジョン・F・ケネディ国際空港から離陸しようとしていたオーバーシーズ・ナショナル・エアウェイズ032便(マクドネル・ダグラス DC-10-30CF)がカモメの群れに衝突した。パイロットは離陸中止を試みたが、機体は滑走路を逸脱し炎上した。乗員乗客139人に死者は無かった。
- 1988年9月15日、エチオピア航空604便不時着事故 - バハルダール空港(英語版)を離陸した直後のエチオピア航空604便(ボーイング737-260)がハトの群れに衝突し、両エンジンが停止した。パイロットは付近の空き地に機体を不時着させたが、乗員乗客104人中31-35人が死亡した。
- 1995年9月22日、1995年アメリカ空軍E-3セントリー墜落事故(英語版) - エルメンドルフ空軍基地から離陸した直後のアメリカ空軍機(ボーイング E-3)がガチョウの群れと衝突し、左翼側のエンジン2基が停止した。そのため、機体は操縦不能となり墜落した。乗員24人全員が死亡した。
- 2004年11月28日、KLMオランダ航空1673便 - アムステルダム・スキポール空港を離陸した直後のKLMオランダ航空1673便(ボーイング737-406)が鳥と衝突した。異常が見られなかったため、パイロットは目的地のバルセロナ=エル・プラット空港まで飛行したが、着陸時に滑走路を逸脱した。バードストライクにより、前輪機構の一部が破損したためと推定されている。乗員乗客146人に死者は無かった[14]。
- 2008年11月10日、ライアンエアー4102便事故(英語版) - フランクフルト・ハーン空港へ着陸しようとしていたライアンエアー4102便(ボーイング737-8AS)がムクドリと衝突し、両エンジンが停止した。機体は、ハードランディングしたが、乗員乗客172人に死者は無かった。
- 2009年1月15日、USエアウェイズ1549便不時着水事故 - ラガーディア空港を離陸した直後のUSエアウェイズ1549便(エアバスA320-214)がカナダガンの群れと衝突し、両エンジンが停止した。パイロットはハドソン川へ機体を不時着水させ、乗員乗客155人に死者は無かった。
- 2019年8月15日、ウラル航空178便不時着事故 - ジュコーフスキー空港を離陸した直後のウラル航空178便(エアバス A321-211)がカモメの群れに衝突し、両エンジンが停止した。パイロットは付近のトウモロコシ畑に機体を不時着させ、乗員乗客233人に死者は無かった。
20世紀では悲惨な事故が多くあったようです。機体の構造やエンジンのファンブレード改良などが進んで、21世紀に入ってからは被害は減少しているようですね。たゆまぬ改善・改良が素早く反映される。それが進化・進歩ですよね。政治の世界に進化・進歩は・・・無いとは言いませんが、牛歩の如しです、歯噛みしてしまいます。。