命のカウントダウン(健康余命3605日)

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風邪なので抗生物質をください

2021-11-12 22:35:19 | 抗菌物質
風邪をひいたみたいです。抗生物質貰えますか? マイシンもらえますか

未だにそう言って来られる方がおられます。

坂根医院は抗生物質をあまり出さないのが知られているので、当院にかかりつけのかたはそんなことは言われません。無駄だと分かっているから。風邪で抗生物質がどうしても欲しい方は、他医療機関に行かれているのだと思います。

私は必要時以外出来るだけ抗生物質を出さないようにしています。抗生物質が効くのは細菌感染症だけで、基本的にはウィルス疾患である風邪には効果ありませんん。効果が無いどころか、副作用が出る事が多いです。大人の方でも軟便、下痢、時に肝機能障害などが出易いです。小児、特に幼児に対しては、大人以上に極力必要のない抗菌剤投与はしないようにしています。

それは、抗生物質でデブになる可能性があるからです。

過去に、抗生物質でデブになるという記事を何度か書いているので、それを参照して下さい。


抗生物質、抗菌剤、抗生剤 抗菌物質、マイシンなどの呼び名に関して


こんな抗生剤要らない?

細菌性肺炎、扁桃炎など、抗生物質、抗菌剤が効果的な場面では、点滴、静脈注射、経口投与と時と場合によりますがタップリ使う事が多いです。効かない時に使わないだけで、効く時には、効く薬剤をきちんと使い分けて使っているつもりです。誤解しないでくださいね!



マイシンでデブに邁進

2021-05-17 22:00:05 | 抗菌物質
2年前にアップした記事の焼き直しです。
家畜を効率よく」太らせるために、飼料に抗生物質を加えていることを、先日「抗菌性飼料添加物」という記事でお知らせした。
どうせ殺してしまうのだから、薬漬けにしても良いだろうと考えているのでしょうかねぇ?でも、そのご遺体の一部を、食べているのですが・・・

EU(欧州連合)は2006年1月から抗菌性飼料添加物を餌に添加することを全面的に禁止しています。また、2015年にドイツのエルマウで開催されたG7サミットの首脳宣言でも、「リスク分析がない場合は成長促進のための抗菌薬の使用を段階的に廃止する」と述べられています。このように国際的には畜産にとって有用な抗菌性飼料添加物の存続が厳しい状況にあります。 

日本でも、徐々に規制は厳しくはなっており、2018年7月にコリスチンとバージニアマイシンの2品目が禁止となっていますが、全面禁止には程遠い状況です。
農林水産省としては、抗菌性飼料添加物を全面禁止にすることは、国際競争力に欠ける日本の畜産業界をより弱くしてしまうことになると思っているのでしょうね。国民が「健康を損なう可能性」が科学的にみて「無視できる程度」だから良いのですという主張のようですが・・・・「無視できる程度」かどうかを判断するのは・・・御用学者と言えば失礼になるかもしれませんが・・・・まあ、農林水産省の「あってほしい結果」を忖度してくれる人たちだと思われ・・・・・

しかし、EUが禁止をし、日本も規制強化に向かっているのは、抗菌性飼料添加物が耐性菌を作り、それが人間の健康を損なう恐れがある という意味において です。

抗菌性飼料添加物が「耐性菌でヒトの健康を損なう可能性があるのにかかわらず」何のために使われているのか もう一度考えてください。 そうです。少ない飼料で効率よく肥育するために加える のでしたよね。

前回、私は、それならばヒトにも同じ作用がおこるのではないか?と疑問を呈しましたが・・・・・・それは当たっておりました!!!!

https://www.nature.com/articles/ijo2015218 

前年に142 824人の子供がケアを受けている間、可逆的な関連性が観察され、この短期BMI増加は年齢によって修正された(P <0.001)。効果の大きさは、10年半ばにピークに達しました。持続的な関連性が観察され、この関連性は年齢の増加とともに強かった(P <0.001)。少なくとも3つのBMI(n= 79 752)累積注文の増加は、漸進的な体重増加と関連していることが明らかになりました。これは年齢によって変わりませんでした。前年に抗生物質の注文があり、生涯の注文が少なくとも7回ある子供たちでは、抗生物質(すべてのクラスを組み合わせたもの)が15歳で約1.4 kgの平均体重増加に関連していました。抗生物質のクラスを個別に評価した場合、15年で最大の体重増加はマクロライドの使用に関連していました。(自動翻訳による)

結論:
主に健康な子供たちの間で、抗生物質の使用が、ほとんどの先行研究の主な焦点であったように、初期の年だけでなく、小児期を通して体重増加に影響を与える可能性があることを示唆しています。

https://gigazine.net/news/20140401-antibiotic-fat-drug/

マクロライド系の長期投薬は、肥満の元かもしれないですね。
呼吸器内科でマクロライドを長期投与するのは、子供さんではなくて、COPDの方とかカルタゲナー症候群 の方、太れない中高年の方がほとんどなので、都合は良いようにも思えてしまいます。

とにかく、乳幼児、小児に、抗生物質を容易に出すことは厳に戒めなければならないと改めて思った次第です。

抗生物質・抗菌物質をたっぷりと与えられて肥育された家畜や養殖魚を食べたら肥満になり易いかどうかは・・・・残留している抗菌物質の濃度によってはあり得ると思いますが、現在手に入る資料では、それは微々たる量であると言われているようです(そうあってほしい思いが出ているだけかもしれませんが)

マイシンでデブに邁進したくはない私です

抗生物質でデブになる2

2019-12-09 22:10:34 | 抗菌物質
やはり、乳幼児期の抗生物質は可能な限り避けたほうがよさそうだ!!
コロラド大学の報告に、こんなのがありました。


2歳になるまでに抗生物質を3回以上使用した小児は4歳時点で肥満になりやすいと、米・Univer­sity of ColoradoのグループがGastroenterology(2016; 151: 120-129)に発表した。
処方回数が多いほど肥満になりやすい
 小児期の肥満は成人の肥満と関係する。抗生物質は家畜の体重増加促進に用いられてきた。同グループは、英国のHealth Improvement Network(1,000万人以上の医療記録を網羅)から、1995〜2013年に生後3カ月以内で登録された小児2万1,714例を抽出。2歳以前の抗生物質使用と4歳時点の肥満との関係を後ろ向きに検討した。
 1,306例が4歳時に肥満だった。解析の結果、2歳以前の抗生物質使用は4歳時点の肥満リスクと関係していた〔オッズ比(OR)1.21〕。抗生物質の処方回数が多いほど肥満になりやすく、ORは3〜5回の処方で1.41、6回以上では1.47であった。抗真菌薬使用と肥満との関係は見られなかった。

このページも面白かったです。
https://www.gohongi-clinic.com/k_blog/936/ 

https://www.afpbb.com/articles/-/2896623

抗生物質 抗生剤 抗菌物質 抗菌剤

2019-12-08 19:53:09 | 抗菌物質
抗菌薬、抗菌剤、抗生物質、抗生剤等ややこしい表記をしてしまっているので、ここで整理しておきましょう。
抗菌剤と抗菌薬 抗菌物質はほぼ同じ意味で使っています。ほぼ同じですが、薬として使えば抗菌薬、抗菌剤と呼ぶことが多いですし、家畜の肥料に添加して肥育を促すような用途で使う場合は、抗菌物質という使い方をします。

抗生物質、抗生剤、抗生薬等も、類似はしていますが厳密には少しだけ違います。
抗菌物質のうちの自然由来のもの。生物が作り出す他の生物の発育を阻害する物質のことを抗生物質・抗生剤等と呼びます。

まあ、しかし、ほとんど同じと認識していただいても問題は生じないと思います。
ペニシリンは1928年にイギリスのアレクサンダー・フレミング博士によって発見された世界初の抗生物質であります。ペニシリンは勿論、抗菌物質でもあります。
フレミング博士は、ペニシリンが普及する前より、ペニシリンに対する耐性菌の出現を予想し、危惧されておりました。薬と対策とのいたちごっこは、現在も続いています。

家畜等に対する抗菌剤の過剰使用に対する「美味しんぼ」の批判がありましたので、掲載させていただきます。


抗菌薬使用の内訳

2019-12-08 13:15:28 | 抗菌物質

何度も出しているグラフです。
人間の医療用が517t、
家畜に使うほうが727tだから多いのだ!!とか、驚いたのですが・・・・
考えてみたら、人間は食物連鎖の頂点にいるので結局最終的にはすべて私たちの口に入っているとも言える?多くは排泄されてはいるのでしょうが・・・
そして、その下に位置している175tの部分が先に述べた家畜が効率よく肥育するために使われている抗菌物質です。魚の養殖に182t、農薬にも120t使われているのですね。

家畜用の727tの過半数が豚に対する使用です



農薬に抗生物質・抗菌物質が使われるようになった過程を調べてみたら・・・
抗菌剤の製造が容易になり安価に大量に生産できるようになり、生産ラインの安定のために用途の多様化が目指された・・・・などという正直な分析が書かれていて、政治的配慮無く書かれた文章は気持ちいいなと感じました!!
 
人間用医薬品としての抗生物質・抗菌剤に含まれていますが、抗がん剤として使用する抗生物質・抗菌剤もあります。

抗腫瘍性抗生物質と呼びます。1953年に梅沢浜夫が発見したザルコマシシンが最初の抗がん性抗生物質 (antitumour antibiotic) であり、DNAポリメラーゼを阻害し、悪性腫瘍の増大を阻止します。
マイトマイシンC、アントラサイクリン系のドキソルビシン、エピルビシン、ダウノルビシン、その他ブレオマイシンなどがあります。血液疾患などに使われることが多いです。

1928年アレキサンダー・フレミングがペニシリンを発見してから、様々な抗生物質・抗菌剤が発見され、合成され、様々な用途に用いられてきました。その効用で人類の寿命は大幅に伸びましたが、当然良い事ばかりではありません。よく切れるナイフは、殺人の道具にもなります。
日本国内だけで、年間1722tもの抗生物質・抗菌剤が様々な目的で使用されています。その中には他の国では使用を禁じている用途が有ったり・・・・逆に他の国で使われているのに、日本では使われていないものもあったりします。

家畜に対する抗生物質・抗菌剤使用で、耐性菌の出現が危惧されています。

ヒトにたいする代表的な耐性菌に関する国際的な日本の位置はこんなところであり。私たちは、まず、ヒトに対する抗菌剤の適正使用を促さないといけませんね。


 これからの時代は、様々な知識を専門家任せにするのではなく、出来るだけ皆で知識を共有し、全体で責任も分かち合った答えを出していくべきだと思っています。知識共有の一助になれたらと思っています。