新型コロナ感染症に対するニュース記事には色々なものがあって面白いとは思うのだけれど・・・
何が言いたいのか理解できない記事にも・・・時折出くわす
今回に出会った「何が言いたいの?」記事です。
女性セブン6月4日号に掲載されているようです
https://www.iza.ne.jp/kiji/life/news/200524/lif20052414200003-n1.html
表題は「新型コロナの免疫 普通の風邪にかかって獲得する可能性も」というもので
新型コロナウィルスに対する抗体は、既存のコロナウィルスによる風邪にかかっても獲得する可能性があるという話なのだな と理解したのですが・・・
でも・・・・・
疑問??「その抗体、中身が問題ではないの?」
抗体って、ウィルスとの戦いにおいて、味方として頼もしい存在の様に感じますよねぇ
でも・・・・そうとは限らないのです
HIV(エイズウィルス)に対する抗体の様に、なーんにもしてくれない抗体もありますし(役立たず抗体)
中には、体に対して悪い働きをする(悪玉抗体)もあるのだそうです
ネコのコロナウイルスのワクチンでは開発途中に悪玉抗体ができて病気が悪くなったという例もあったそうです。
今回の新型コロナ感染症では、役に立つ善玉抗体、役立たず抗体、悪玉抗体 どれが出来ているのかを詳しく知る方法はまだ無いようですが、役立たず抗体が出来ていることは確かなようです
新型コロナによく似た、SARSやMARS感染症では、悪玉抗体の存在を確認しているとのことです(宮坂昌之先生の記事より:https://news.yahoo.co.jp/byline/kimuramasato/20200516-00178807/)
新型コロナの抗体検査をして、抗体陽性者が多く出たとしても、その抗体が新型コロナの感染防御に役に立つ抗体なのか?この記事にはその視点がありません
新型コロナにかかっていなくても、既存のコロナ(風邪コロナ)で陽性に出る抗体検査キットもあるようですが・・・・
そんな抗体は多分新型コロナ感染防御には何の役にも立たないものであって・・・・
つまりは、その検査キットは、特異度の低い使い物にならないキットだという事です
「14種類の抗体検査キットを調べた結果、満足に使えるのは3つだけでした。つまり抗体検査キットは今の段階では精度も感度も非常に悪い。陽性率が高く出てしまうキットは新型コロナウイルスだけでなく鼻風邪コロナも引っ掛けてしまう。」
使い物にならない検査キットの結果をわけもわからずにエセ分析すると、こんな 何が言いたいのかわからない文章になってしまう という典型例でしょうね
既存のコロナ(風邪コロナ)で、新型コロナに対する抗体を獲得できるのであれば・・・・
風邪に対して、これまで相互にマスクもすることなく長年 診察し続けていた私が獲得していないなんてオカシイともおもいますし・・・
私は、感度、特異度ともに信頼性が高いと言われているロシュ社の検査キットで調べてもらいました。
ロシュ社の検査キットでは陰性でした。
役に立たないであろう「抗体」を検出して、陽性率が40%とか騒いでもねぇ
その上、この記事
日本の新型コロナ感染症での人口当たりの死者数が、先進国内では圧倒的に低いのがどうしてだろうか ?? 既に多く日本に住む人が免疫を獲得していた可能性も指摘されている
とつないでいるのに、その分析は皆無
ドイツやUSAで高い抗体保有率を発表した例があるというだけで・・・・
抗体保有率が高いのは「感染者の周辺にいた人たち」とも言う
それなら、日本よりも圧倒的に感染者の多い USAやヨーロッパの方が抗体保有率が高いと考えるのが当然だと思うのだが・・・・
そんなことは書いていない
書いてあることをそのまま拡大解釈すると・・・・
感染の広がっていない 田舎 や、長期入院患者さん 感染予防をきちんとしている 医療関係者は・・・抗体保有率が低いので・・・
感染したら重症化する率が高いですよ と、言うことになる
この記事、最後は
「新型コロナと共に生きなければならない新しい日常は、すでに始まっているのだ。」
と、締められている
私は、こう締めたい
「新型コロナに対するエセ情報と共に生きなければならない新しい日常は、すでに始まっているのだ。」