茶の葉の声に耳を澄まして    Tea-literacy

数千年にわたる茶と人とのかかわりに思いを馳せ、今、目の前にある茶の声に耳を傾ける
お茶にできること、お茶の可能性とは

七夕(しちせき)の節句

2009年07月07日 | Weblog
煎茶の七夕飾りです。
笹の葉の足元に茄子と瓜が寄り添っています。
茄子と瓜だけで「青紫連峰」という雅題です。
瓜が二つ並んでいるより、
茄子が二つ並んでいるより、
青のものと紫のものとの組み合わせが
なかなかいいではないか、
「我は我、君は君、されど仲良く」
そんなことを言っている夏の野菜たちです。

でも今日の瓜と茄子は精霊馬によく似たりで、
七夕(=棚幡)が日本の盂蘭盆会に由来することを語っています。
糸巻きや短冊は、
七夕が裁縫や習字の上達を願う中国の行事に由来することを伝え、
現在の七夕が、
日本や中国の、
そして両国のいろいろな時代のイベントの習合なのだ
ということを物語っているのです。
(棚幡:祖先の霊を迎える精霊棚と旗)

もちろん、
ベースとなっているのは織姫と牽牛の恋の物語。
6世紀の『荊楚歳時記』に記されているお話です。
物語の原型は漢の時代から見られますが、
中国ではこのころすでにプチ地動説があったようです。
漢の時代の「緯書」に、
「天は左旋し、地は右動す」とか、
「地動けば則ち天象に見(あら)わる」とか、
「大地は常に移動しているのだが人間は感知できない」
という記述があるそうですから、
コペルニクスが16世紀なのに
さすが中国!
どんな「天」感での天の川だったのでしょうね。

日本に地動説が紹介されたのは、
吉宗の時代(18世紀前半)だそうですから、
利休さんの茶の湯の陰陽五行感は、
天動説ベースかプチ地動説ベースか?
でも地動説が発表されたのは利休さん21歳の時、
いち早く世界の情報が集まるようになっていた堺ですから、
亡くなるまでの50年の間に、
実は地が動いているようでっせなんて
利休さんの耳にも届いていたかも。
利休さん、
どんな「天」感を抱いて辞世をよんだのかな。