SENTIMENTAL JAZZ DIARY

感傷的ジャズ日記 ~私のアルバムコレクションから~

ERIC DOLPHY 「LAST DATE」

2007年06月10日 | Clarinet/Oboe/Flute

エリック・ドルフィーと聞いてたじろいではいけない。
今となっては時代の産物と化してしまったフリージャズの最前線にいた人という位置づけではなく、私たちは彼を最高のインプロバイザーとしてもっと高く評価すべきなのだ。
あのコルトレーンに「ドルフィーは私が出会った最も偉大なプレイヤーだった」といわせたほど、彼の音楽的な感は群を抜いていた。特にアドリヴにおける自己表現には圧倒的な迫力があった。まるでエレクトリックな楽器を演奏しているのではないかと思えるほど、一つの楽器で様々なエフェクトを出せる人だった。しかも彼はアルトサックスの他にフルートやバス・クラリネットを巧みに操り、曲によって表現を180°変えることのできる人だった。簡単なようでこれはなかなか難しいことなのだ。

このアルバムは彼が亡くなる27日前のライヴ録音だ。
私の大好きなアルバムで、一頃はもう毎日のように聴いていた。
全曲いいが、その中でも特筆されるのがフルートで演奏された「You Don't Know What Love Is」である。もし聴いたことのない人がいたらぜひにといいたい。コルトレーンの言っていることが少しも大袈裟ではないことがわかる。
こんな演奏を聴かされたらもうファンになるしか道はない。こんな演奏を今まで知らなかったことに後悔したものだ。
アルバムの最後に聴衆に向かって彼が残したセリフは、"When you hear music, after it's over, it's gone in the air. You can never capture it again. " 「音楽を聴き、終った後、それは空中に消えてしまい、二度と捕まえることはできない」だった。
凡人がいったセリフなら「何いってんだか」で終わってしまうが、それが彼の口から発せられているのを聞くと感無量だ。
まさか遺言のつもりではないだろうが、そのタイミングからか深い情念のようなものを感じてしまう。


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