SENTIMENTAL JAZZ DIARY

感傷的ジャズ日記 ~私のアルバムコレクションから~

SLIDING HAMMERS「Sings」

2009年06月21日 | Trombone

歌は決して上手くない。
わざと下手に歌ってるような気さえする。
でもムードは満点。聴かせ方・酔わせ方の勝利だと思う。
とにかく細かいことは言わないで、雰囲気で聴く一枚なのだ。

ミミ・ハマーとカリン・ハマーのこのトロンボーン姉妹は、今巷で大人気である。
いつもはダブル・トロンボーンで聴かせているのだが、今回はちょっと違った。
ミミ・ハマーの手にはトロンボーンではなく、マイクが握られている。つまり今回は全曲ヴォーカルに専念しているというわけだ。
お得意のトロンボーンはカリン・ハマーだけが担当しており、全体にしっとりと仕上がった。
遠くで谺のように響くトロンボーンと、耳元で囁くようなヴォーカルの対比にうっとりしてしまう。

いいのはこの2人だけではなく、ピアノにマティアス・アルゴットソンを起用している点にもある。
このマティアス・アルゴットソンは以前にもこのブログでご紹介したが、やはりただ者ではなかった。
歌の合間に入る短いフレーズが実に品がよく、全体をいい感じにスウィングさせている。

2曲目にビートルズの「Eleanor Rigby」を演っている。
私はビートルズのカヴァー曲は総じて好きではない。
しかしこれは例外的にいい。
ミミ・ハマーはやや押さえた歌い方で曲のムードを盛り上げているし、カリン・ハマーのトロンボーンも実に力強い。

聴いていると幸せになれる、これはそんなアルバムだ。


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