SENTIMENTAL JAZZ DIARY

感傷的ジャズ日記 ~私のアルバムコレクションから~

JOHN PIZZARELLI 「Kisses In The Rain」

2009年01月28日 | Guiter

こういう人がいるからジャズがますます面白くなる。
毎日暗くて重いジャズばっかり聴いている人にはわからないだろう。
だいたいギターを弾き、歌も歌うジャズメンを彼らは低く見る傾向にある。
そんな人たちにとっては、「軽い」はある意味タブーな言葉なのだ。
でもそういうバリアを張っている内は、ジャズの楽しさは半分も味わえない。
ジャズはみんながイメージしているよりも、ずっと明るい音楽でもあるのだ。

ジョン・ピザレリはナット・キング・コールを愛するスイング系のジャズメンである。
ルックスもいいからファンも多い。
ただ彼のハイテクニックな7弦ギターを聴いていると、それが新しいのか古いのか皆目わからなくなってくる。
曲調は古いが、曲想は新しい、といった方が適当かもしれない。
歌い方も素直で嫌みがない。
とにかく自分のスタイルをしっかり持った人である。
そういう点で、よく「ビル・エヴァンスのようだ」とか「マイルスのようだ」などと形容される二番煎じのジャズメンにはない品と魅力がある。
ここが彼の評価の対象にすべき最大のポイントだと思う。

このアルバムではジョン・ピザレリの存在もさることながら、レイ・ケネディの軽快なピアノにも耳を傾けるべきだ。
特にハイスピードで驚異的に弾きまくるナンバーは歓喜に満ちた演奏だと思う。
とにかくこの2人の掛け合いが実にダイナミックで爽やかなのだ。しかもドラムレス・トリオの編成がさらにそれを際立たせているからたまらない。
まぁ、初めてだっていう人は一度聴いてみてほしい。
故きを温ね、新しきを知る。
これはまさにそんな精神が息づいた作品なのだ。


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