先日友人が「これはすごくいいからぜひ聴いてみてくれ」と手渡されたCDがあった。
最近の欧州ピアノトリオで、ロマンチックなジャケットだった。
彼には「わかった」とだけ告げて、家に持ち帰って聴いてみた。
一通り聴いてみたが、どうにもピンと来ない。
まだまだ聴き方が浅いからなんだろうと思い、再度聴いてみた。
彼のいうこともわからないではない。録音がいいためにピアノの音が澄んでいるし、旋律もメロディアスだ。
ベースやドラムスも何か目新しさを加えようと努力していることが窺える。
でも何かが違うのだ。
私は欧州ピアノトリオも好んでよく聴くが、このトリオは魂を揺さぶらない。
少なくとも今日の気分ではないということだ。
私が今聴きたいのは、もっとストレートにスイングするピアノトリオだ。
軽快で心地よく、誰でもジャズを聴いているという喜びを感じられるようなピアノトリオだ。
そう思ってCD棚を漁っていたら、このCDが目にとまった。
ピート・ジョリー63年の録音盤「スウィート・セプテンバー」である。
この人の聴き方は簡単。
レッド・ガーランドを聴く時と同じような姿勢で聴けばいい。
何も難しいことを考えず、ただリズムに身を任せているだけで幸せになれるのだ。
こういうノリが今の時代に欠けているのである。
もっと物事を単純に考えよう。