SENTIMENTAL JAZZ DIARY

感傷的ジャズ日記 ~私のアルバムコレクションから~

LOUIS ARMSTRONG 「PLAYS W.C.HANDY」

2009年06月13日 | Trumpet/Cornett

私がブルースを最初に意識したのはBBキングであり、エリック・クラプトンだった。
もちろんその頃はジャズには興味もなかった。
一人部屋にいて、彼らのギターテクニックを必死にコピーし、キュイ~ンと毎日チョーキングしながら遊んでいた。
またラグタイムギターも下手なりによく弾いていた。
一人でも何とか様になるのがブルースだった。

ジャズを聴くようになってブルースを意識したのは、ケニー・バレルであり、スタンレー・タレンタイン辺りだったろうか。
こういう表現の仕方もありなんだな、とぼんやり考えていた。
もちろんこの頃になると、ほとんどのジャズメンの底辺にブルースが流れていることは理解していたし、どうやらブルースは私が好きな音楽における全ての源流らしいということにも薄々気づいていた。

で、このレコードの登場だ。
これはルイ・アームストロングという、ジャズ史における最大のスーパースターが、ブルースの父と呼ばれたW.C.HANDY(William Christopher Handy )の曲を取り上げた傑作である。
W.C.ハンディは1914年、40歳の時にセントルイス・ブルースを作った。
ストラヴィンスキーもこの曲にはずいぶん刺激を受けたといっているから、その影響力やすさまじいものがある。
その後、多くのアーチストがこの曲を演奏したが、ハンディに最高だと言わしめたのが、ここでのルイ・アームストロングであった。
確かに何度聴いてもすばらしい。
陽気なようでいて、後を引く一抹の寂しさ、こみ上げてくる勇気。この演奏からはそんな様々な感情がわき上がってくる。
ヴェルマ・ミドルマンとサッチモのヴォーカルによる対比も見事である。
今となっては、これこそ本物のブルースなのだと思わずにはいられない。
これがジャンルを超えた基本中の基本なのだ。