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山と自転車!

北海道旅行第2日/音更山~石狩岳

2007-09-14 | 登山
2007年9月5日

3時頃、目を覚ますと雨が車の屋根を叩いていた。
明るくなるまでに止めばいいと、まどろむ。

4時半、覚醒。雨はやや本降り。十勝三股まで内陸に入っても太平洋側からの湿った気流の影響を受けてしまうのだろうか。
少しでも北に位置する山域の方が天気が良いかもしれないと思い、とりあえず、三国峠に向かって車を走らせる。

ところが車窓から周囲の山の様子を伺うと、石狩連峰もニペソツ山もはっきりと見えている。雨は降っているものの雲は高い。とりあえず三国峠に上がって状況を確かめよう。


三国峠から雨に煙る樹海とクマネシリ。

三国峠まで来ると雨は止んでいた。明けゆく十勝三股の樹海の景色をカメラにおさめ、三国トンネルを抜けて表大雪の様子を見に行く。しかし表大雪の方が天候は悪いようで稜線は雲の中。
これなら東大雪の方がマシなようなので、再び三国トンネルを引き返して三股へ下ってゆく。三股橋の先を右折して林道へ入る。走りやすいフラットダートを走行して二十一ノ沢出合に到着し、石狩岳登山口となる御殿飯場跡に車を止める。


二十一ノ沢出合からの石狩連峰。中央の山が音更山。


今日のコースは二十一ノ沢から林道を音更山登山口まで戻り、音更山へ登り上げ、石狩岳へ縦走したのち、シュナイダーコースで二十一ノ沢の駐車地点に戻る一周コース。

6時18分出発。
雨があがった林道を30分程歩いて音更山登山口に到着。ガイドブックでは標高900m過ぎまで幅の広い作業道跡を辿るようだが、いきなり熊笹に覆われた道なき道が始まる。
あまりの状況の違いにルート誤りなのかと不安になるが、地図で確認すると間違いないようなので前進。胸までの熊笹と顔にまとわりつく蜘蛛の巣にいらだちがつのる。雨対策に着ていた合羽は熊笹の露でベッタベタ。両手を上げてバンザイの格好で蜘蛛の巣を除けながら歩く。


・・・。

樹林帯歩きは結構長く、作業道を終えてジグザグの登山道に入っても熊笹漕ぎを強いられる箇所が多い。
岳樺の潅木帯に達してすぐに現れる這松帯に移行して多少気分が楽になる。

雨は上がり、午後からは雨に降られる心配は無さそうだ。
ただ、先程から不思議な「雷鳴」が頻繁に聞かれて不安にさせる。あたりの雲の様子では雷雲のようなものは無いのに、一定間隔で「ドズズン」「ドズズン」と重低音が響き続けている。(自衛隊の演習場がある場合、砲撃の音がかなり遠くまで届くことがあるそうだが、東大雪山域の近くに演習場があるのかは不明。ただ、昔ニペソツかトムラウシを縦走していた時に同じような経験をしたことがあったと思う。)

8時47分。十石峠。
ここまでかなり遠かった印象。
眼前にユニ石狩岳が迫るが、ピストンに1時間半を割く余裕はないのでパス。

音更山はまだ前山の稜線の彼方。初めての山域で山の大きさが掴めていない。この先、石狩岳の山頂まで、どの程度の体力を要するのか測りかねる。


近いのか遠いのか。どっしりとした石狩岳。

それにしても平日の東大雪は全く人の気配のない静かな登山道。
今日はこのまま誰にも会うことは無いのか。

ブヨ沼あたりも笹で道が塞がれており、何度か道を見失う。
ブヨ沢上部で突然ガサガサっという音にビビリまくる。「ひぇっ、熊?」


かわいいエゾシカの親子でした。


十石峠からの小ピークを越えて、やっと音更山が眼前に。


鞍部に下ってまた樹林帯。


稜線上はウラシマツツジが見頃。

11時07分。音更山山頂。
稜線に至る山肌は少し紅く色づいていた。

10分ほど休憩。ザックを背負って石狩岳への縦走路を下り始める。表大雪の方角を遠望するが、厚い雲の中で姿は見えない。少し低い位置に高根ヶ原の稜線が確認できる程度だ。東大雪から眺める大雪、トムラウシの絶景を楽しみにしていただけに残念でならない。


石狩岳に向かって孤独に稜線あるき。

石狩岳への稜線歩きは藪漕ぎも無く快適。一時雲に隠れていたニペソツ山も再び頂部を現す。
左手には十勝三股の広大な樹海が広がっている。


十勝三股カルデラを埋める樹海。

最低鞍部のシュナイダーコースへの分岐まで来たところで石狩岳山頂を見上げると、山頂に人が二人立っているのが確認された。はて、沼ノ原方面から縦走してこられたのだろうか。

稜線を歩いているうちに天気は徐々に回復し、雲間から表大雪の山肌が少し見えるようになってきた。一方、眼前の石狩岳の山容は実に立派な風格。石狩岳から川上岳にかけての東南斜面の山肌が実に重厚で美しい。


紅葉の時期にはさぞダイナミックに彩られるのだとうと想像する。


音更山からの縦走路を振り返る。

12時31分。石狩岳山頂。
山頂は少し西風が強かった。雲は多いものの沼ノ原の湖沼群の向こうにトムラウシの姿が何とか見られる。ここで粘れば表大雪も晴れて来るかもしれない。


石狩川源流越しにトムラウシ…そして十勝連峰。

山頂のお二人は石狩川の源流である石狩沢をつめてこられた沢登りの方。なんとも贅沢な山行ですね。
話を伺っていると、源頭近くで金毛の羆に遭遇したらしい。ひぇ~(見てみたいような怖いような…)
先に下山されるお二人から別れ際に石狩川源流の水をペットボトルに分けていただく。

時間の経過とともに天候は徐々に回復。
まず、五色岳から化雲岳が見え、忠別岳が見え、十勝連峰も見え始め、そして遂にトムラウシの山頂も姿を見せてくれた!


沼ノ原とトムラウシ。

相変わらず表大雪の雲はなかなか切れないが、時折緑岳や旭岳山頂も顔を覗かせる。

このまま山頂で待っていればもっと美しい眺望は得られるのだろうが、そろそろ下山しなければヤバイ。
13時31分。後ろ髪を引かれる思いで下山を始める。


すっかりお気に入りの石狩岳。

14時02分。シュナイダーコース分岐。


本日MAXな状態の表大雪に敬礼して稜線をあとにする。

シュナイダーコースを下り始めて、暫くすると樹林帯に沈む。
道はかなりの傾斜で降下してゆく。
北海道の三大急登というものがあるのかは知らないが、ここはかなりの急坂だ。

すでに脚はかなりヘロヘロでカクカクでヨレヨレ。
「駆け下りる」というような軽快な動作ではなく、「えいこらしょ」「どっこらせ」と情けない声を出しながらの下山。

音更山ルートに比べて比較的登山道は歩かれているようで、藪漕ぎの必要がないのは大助かり。

眺望のない尾根道をえっちらおっちら下り、自分では相当下ったと思った地点でGPSを確認するが、まだ400mしか降下していない事実を知らされショックを受ける。

15時27分。尾根を下りきって沢に出る。ここまでくればあとは緩い斜面を林道に向かって歩くのみ。

途中、沢を渡る地点で濡れた石に足を滑らせて渡渉失敗。二度嵌まる。
泥が付着していたのかもしれないが、濡れた岩に全然グリップが効かなかった…
今回投入したトレイルシューズ…雨天時の岩場など問題ありかも。

16時08分。二十一ノ沢出合の駐車スペースに無事到着。
すぐに車に乗って、林道の奥にある岩間温泉でひとっ風呂浴びよう。


岩間温泉で開放感に浸る。

かなり水でうすまっていたため、体が温まるまで湯船でのんびり。
温泉に浸かりながら、明日の予定を考える。
今日一日で東大雪は十分堪能させてもらったので、明日は少し早いかもしれないが、表大雪の紅葉の様子を伺ってみようか。

湯から上り、三股に向けて林道を走らせていた時、石を跳ね上げてしまって腹にゴツンと当たる音…やべぇ~。

国道273号に出て駐車帯で車を降りて下を覗いて見ると、何か液体がポタポタと滴っている…
ガーン!まさかオイル漏れか?

僕は車の知識に乏しいので漏れているのがオイルなのか何なのかが分からない。
このまま走って峠の途中で故障するのが怖くなる。しかしロードサービスに電話するにも十勝三股は携帯圏外。十勝三股の人家の近くで公衆電話を見つけて(あって良かった)ロードサービスに電話する。状況を話すと、どうやらエアコンの水が滴っているだけみたいで、お恥ずかしいが一安心。

この「勘違いトラブル」に陥っている間に日はとっぷり暮れて…
公衆電話でついでに聞いた天気予報では十勝地方は雨予報なので、やはり三国峠を越えて層雲峡方面へ移動する。上川まで走って買い出しをする元気もなく、層雲峡のラーメン屋で遅めの夕食をいただく。今夜は層雲峡どまり。

明日は夕方には中標津まで走ってレンタカーを返却しなければならず、登山には半日行程しか取れない。少し軽いがロープウェイを使って黒岳を歩く程度にしておこう。食料が欠乏気味だが、なんとかもたせればよい。

上川地方の明日の天気予報も曇りのち雨。
1日ぐらいはカラッとした青空のもとで大雪を歩きたかったが…

疲労感に押されるようにレンタカーのシートを倒して眠りにつく。


カシミール3Dにより作成。(注:岩間温泉の位置がちょっと変です)

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2 コメント

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Unknown (TOKKEN)
2007-09-14 22:54:24
メチャ懐かしいです、石狩岳。
僕が行ったのはもう13年の9月上旬だったと思う。
bunちゃんと逆コースでシュナイダーコースから登りました。
僕も石狩岳山頂とユニ石狩岳分岐で人に会った以外は誰にも会わない静かな山行でした。
一般道なのに藪コギがひどかった記憶がある。ブヨ沼付近で僕も道を間違えそうになったよ。
ある意味北海道らしい贅沢な山だね。
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Unknown (bun)
2007-09-14 23:16:00
TOKKEN君、おばんでした~。
TOKKEN君はバイク持っとったから、石狩岳にも登っとったんやね。僕には遥かなる山でしたよ。名著夏山ガイド③を読んで思いを馳せるしかなかった。あの頃僕には日帰りで行くという発想はなかったのやろな。

当時僕が行けたのはニペソツまで。ランドナーで走った十六ノ沢林道の分岐を見て感慨深かったです。

しかし藪漕ぎが大変なのは昔からやったんやね…
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