5月4日(2日目)
北ノ俣避難小屋~黒部五郎小舎~三俣蓮華岳南面滑降~黒部五郎小舎
4時半ころ起床。寝不足気味…
5時45分出発。曇り空。稜線は雲がかかっている。
それほど厚い雲ではないが、雲の中に入ると強風にやられないか、気がかりだ。
雷鳥1号、2号。寒そう。
稜線手前でガスに突入。先行していた数人の登山者は視界が悪いと引き返してきた。
不安はあるが、まだ時間も早い。状況を見て引き返せばよいと判断し、そのまま前進する。
7時40分。北ノ俣岳山頂。視界不良も風弱し。なんとなく晴れてくる予感。
ルートは分かっているので、トラバースルート上からの雪庇崩壊だけ注意しながら進む。
中俣乗越の手前で視界が開け、その後天候は回復に向かった。
日差しがなかったために黒部五郎岳の斜面は雪が固く、上部はカリカリで緊張の登りであった。
9時40分。黒部五郎岳稜線に出る。
やや山頂寄りの肩からカールに滑り込むつもりでいたが、雪面は固い固い。
左手の小ピーク(2,760m)からドロップする。
斜面には少量の新雪が乗っており、右手には二筋ほどのデブリ、左手にはデブリ痕多数。ちょうど直下が綺麗な斜面であるが、雪の状態が分からず怖い気がする。
ここは敢えて、左手の堅そうなデブリ痕斜面に入った。
雪は安定しているので、やや斜度が緩んだところで中央斜面に入る。
結局、数ターンしただけでカール内に降り立ってしまう。
黒五=カールを滑る、というイメージであたっが、期待したほどのものではなかった。
あとは長いトラバース。最後にぼうず山斜面を一気に落とすと黒部五郎小舎につく。
マウンテンビューな黒五小舎。
時間は10時37分。まだ足を延ばす時間はあるな。小屋に荷物をデポして出かける。
翌日には黒部源流、水晶岳東谷方向へ行こうと思っているので、その偵察に。
下調べをせずに出掛けてきたので、どうやって源流にアクセスするのか分からないのだ。
五郎沢を下るか、それとも三俣蓮華岳方向に稜線を上がってから下る場所があるのか。
天気も良いので、今日は稜線から源流域そして岩苔乗越の様子をうかがうことにした。
13時05分。三俣蓮華岳山頂。
結局、黒部川へ降りられそうな斜面は稜線からは分からなかった。
明日行く方向
三俣蓮華岳の山頂から北東斜面、三俣小屋方向に素晴らしい斜面があったが、溜まった新雪の安定性がどれほどのものか分からない。
ここへ来るまで北東斜面にくっきりと破断面を残して雪崩れている斜面も目撃してたし、今日は単独なのでやめておいた。
稜線の北側黒部川方向には広いボウル状斜面がいくつもある。しかしこの日の北面は午前中の日照不足でカッチカチなのでこれもパス。
それより今日は南面でしょう。三俣蓮華岳の南東側に大きな蓮華谷というのがある。
ここがなかなかおいしそう。
2,661Pまで下ってドロップした。まずまずのザラメ。
やや片斜面でうねった地形なため一気に落とせないけれども爽快な一本だった。
約1時間かけて標高差250mを登り返す。空腹でへとへとだった。
小屋東側の広い斜面をロングターンで滑り終えて小屋に到着したのが16時12分。
単独の方が天気予報を聴いておられた。
出発時の5月5日の予報は曇りであったが、予報は…
晴れ?明日はいい天気になるらしい。
黒部源流へは一旦五郎沢を下ってから源流へ遡れば、雪割れもなく問題なく行けることも教えていただいた。
とんがり屋根の黒部五郎小舎の内部は3層の快適な空間。この日「3階」には僕を含め単独が3人、「中二階」に1パーティ、計6人が宿泊した。