goo blog サービス終了のお知らせ 
goo

コアゼテンツキ・2~東京都立大学

 カヤツリグサ科テンツキ属の「コアゼテンツキ(小畦天突・小畦点突)」。本州~九州の田の畦や池沼の畔などに生育する一年草で草丈は8~10センチ。アゼテンツキ類の中で最も小型なので名付けられている。810月に茎の上部に長さ3~4ミリの小穂を多数出す。
 さて“あぜ”の漢字は“畦”と“畔”があるがその違いは何だろう。“あぜみち”は今では“畔道”と“畦道”のどちらでも良いようだ。しかし本来はそれぞれ意味が異なり“畦”のほうは“うね”とも読み田畑の境として盛り上げ水を堰き止めた部分であり、一方“畔”は“ほとり”とも読み池や沼の水ぎわという意味になる。“湖畔(こはん)”は“湖畦”とは表記しない。本種のコアゼテンツキの場合は生育場所を鑑みると“畦”でも“畔”でも良さそうだがここでは“畦”としておこう。
 ところで写真は東京都立大学キャンパスの歩道に生えているものだが、これはこの大学出身の当地の専門家が20年前の学生時代にここに生育しているのを発見したと聞いた。私はちょうどその頃から当地でウォーキング、ランニングのついでに植物観察を始め、2004年8月にこのブログ『多摩ニュータウン植物記』をスタートさせた。今月で20周年になる。
コメント ( 4 ) | Trackback ( )

ノキシノブ

 ウラボシ科ノキシノブ属の「ノキシノブ(軒忍)」。人家近くの石垣や苔の生えた古木の幹などに着生する常緑シダ植物でかつては茅葺屋根の下や軒下で良く見られたことから名付けられている。葉は柳の葉のように細く長さは10~30センチになる。
 さて先日、東京都立大学牧野標本館の知人から『シダ植物倍数体種の種分化と分類について』の講演会の案内があり参加してきた。当日は昭和大学富士山麓自然・生物研究所講師の藤原泰央氏による主にノキシノブの倍数体種についての説明とフィールドでの実際のノキシノブ観察が行われた。ノキシノブは2倍体や4倍体がありそれぞれが交雑して3倍体や6倍体などの多種になりまた地域性も大きくそれらの見分け方を興味深く拝聴した。ノキシノブ類の分類ポイントは①葉身の形・厚さ②葉柄③葉の付き方④胞子嚢群の位置⑤根茎鱗片⑥葉身下部の鱗片などがあり、例えばノキシノブの葉身は狭披針形でやや厚く葉身下部の鱗片は卵形になるなど実物を見ながらの解説はとてもわかり易かった。
 ちなみに令和6年度から東京都と東京都立大学とで協定締結し、東京都の植物目録策定を牧野標本館が担うことになったそうだ。今後、既存文献・標本調査、現地調査などを行い令和10年度に植物目録を公表する予定になっている。楽しみではある。
コメント ( 2 ) | Trackback ( )

ウシタキソウ・5~生存

 アカバナ科ミズタマソウ属の「ウシタキソウ(牛滝草)」。北海道~九州の山地に分布する多年草で同属のミズタマソウが低地の山野で見られるのに対して本種は山地に分布している。ここでは去年まで花を見ていたが秋に雨で土砂が流れ込み消息不明になった。今年は初夏からここを通るたびに気にしていたが姿を見つけられずほぼ諦めていたが、この日通り掛かると蔓に巻き付かれた株を見つけた。巻き付いていた蔓を注意深く外して直立させてあげた。まずは一安心。
コメント ( 4 ) | Trackback ( )