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イチヤクソウ・4~久兵衛坂公園

 九兵衛坂公園の坂道で見られる「イチヤクソウ(一薬草)」。ツツジ科(←イチヤクソウ科)イチヤクソウ属の多年草で、6月に下向きの白い花を咲かせる。全草を乾燥させたものが生薬の“鹿蹄草(ろくていそう)”で、強心、降圧、抗菌などの薬効がある。このひとつの薬で多くの病気に効くところから名付けられたという。
 さて植物分類についてだが、クロンキスト体系ではツツジ科は125属3,500種を含む大きな植物群だった。更に解析が進んでくると従来区別されていたガンコウラン科、シャクジョウソウ科、イチヤクソウ科などがツツジ科に入ってきた。イチヤクソウ科にはイチヤクソウ属のほかギンリョウソウ属などがあり、これらもツツジ科に分類されているのは驚きではあった。系統的には従来のツツジ科の中で、まず最初にドウダンツツジの仲間が分化し、その後、イチヤクソウなどが分化したという流れになる。イチヤクソウの系統から、その後イチゴノキ属とシャクジョウソウが分化しており、シャクジョウソウイチゴノキと近縁になる。
(伊藤元己・井鷺裕司著『新しい植物分類体系 APGでみる日本の植物』より一部引用)
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サイハイラン・2~長沼公園

 長沼公園を探索中に見つけた「サイハイラン(采配蘭)」。ラン科サイハイラン属の多年草で、武将が戦場で使う“采配”に見立てて名付けられている。ここは“西尾根”から分岐して“中尾根”に向かう“西の沢”。残念ながら花は終盤だったが、周りに10株以上見られた。来年は盛期を見逃さないようにしよう。
 さて単子葉植物の花と構成するパーツは3を基本とし、3枚の萼片に3枚の花弁、それぞれが類似した形で放射対称に位置する。これに対して同じ単子葉植物のラン科は特異な性質を持っている。3枚の花弁の中の1枚が唇弁と呼ばれる特殊な形態となる。唇弁には細長い距を持ったものもある。これはミツバチなど花粉を媒介する送粉者との著しい共進化によって多様な花弁が生まれた。
 ラン科には780属22,500種の植物があり、23,600種のキク科に次いで大きな科である。雄蕊と雌蕊は1本の蕊柱(ずいちゅう)となり、先端部分の雄蕊に多数の花粉が集まった花粉塊が数個付く。そのためそれを運ぶ送粉者との相互関係が必要で、更に唇弁の中に複雑な迷路を作ったり、メスに擬態したりと、様々な進化をしている。受粉の結果、生産される多数の種子は埃のように細かく風で飛ばされる。種子内には栄養が蓄えられていないので、発芽や成長には菌類との共生が必要になる。
 このような際立った特徴から以前はラン科のみでひとつのラン目を形成したが、APG体系ではラン目は消滅し、ラン科はキジカクシ目(クサスギカズラ目とも)、すなわちアスパラガスの大きな仲間のうちのひとつという位置付けとなった。キジカクシ目の中でもラン科は初期に分化している。
(伊藤元己・井鷺裕司著『新しい植物分類体系 APGでみる日本の植物』より一部引用)
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キササゲ

 中山地区の白山神社下公園に生育している「キササゲ(木大角豆)」。ノウゼンカズラ科キササゲ属の落葉高木で、昨年秋にこの横をランニングした時に果実を見ていたのでこの存在を知った。6月頃に枝先に長さ15~20センチの円錐花序を付け黄色い唇形花をたくさん咲かせる。花冠の長さは2~3センチで内側には暗紫色の斑紋がある。
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