迷狂私酔の日々(再)

明鏡止水とはあまりに遠いこの日々。

006・高瀬川の黒服[京都、9月]

2008年09月05日 | 旅する。
9月5日

気がつけば夕方。

とくに予定はない旅だが、夜には毎晩予定が入っている。

木屋町三条の瀟洒な料理屋で、学生時代の仲間と飲む。

話題は例によって千々に飛び、最後は過去がフラッシュバックして収斂する。

昨今の木屋町通りは風俗店ばかり目立って昔日の面影は薄いが、つい30年前までは黒服なんて一人も立っていなかった。あれじゃぁ、風情も何もあったもんじゃない。

いや、新宿歌舞伎町のような猥雑さも好きですけどね。全国どこの盛り場も同じようになっては、旅で飲む楽しさってものがない。

夜の木屋町通りは過去への追憶を拒絶して、否応なく変わり果てた現実を突きつける。

「昔はなぁ、……」
と呟く酔っ払いに、
「いいコいますよ」
とささやく黒服。

昭和は遠くなりにけり。

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