日記

Hajime

ジュゼッペ

2009年08月26日 | Weblog

いろいろとしていましたが
しばらく島根にも帰っていました


盆踊って、海潜って、飲んで
ふと猫の次郎が死んでいました

私のうちの猫は全員野良だけど、大体家の近くで死にます
次郎の前にいたバカも、その前のクロも
野良だけどのろで、強くなく
馬鹿と言われながらも守られ、かわいがられ死んでいきました
次郎もそんな幸福な海辺の野良猫でした

畑に夏野菜がどっさりで
新鮮なピーマンや、みずみずしいナス、夏がしたたるようなトマトをもぎってかじり
畑の傍の井戸にブリキのバケツをたらして水を汲もうとしたら、急にその紐が切れてバケツを井戸に沈めてしまいました

果てのない暗闇に吸い込まれるように沈んでいくその姿を見ながら申し訳なくなり、もしそのバケツが自分だったらどんな恐怖だろうと思ってもっと申し訳なくなりましたが何もできませんでした
じめっとした気配で、辺りも井戸の中のようになめらかな闇になりつつありました
次郎は遠くにいったなぁ、と分かりました


野菜をもぎり
茂みに入り

「おーいジュゼッペ、とり憑かれ男!」のいしいしんじのジュゼッペではなくて、
ジュゼッペ・アルチンボルドの絵のように野菜で顔を作りました
彼の作品の [四季 夏] には確か洋梨や葡萄も使われていたけど、なかったのでそのへんは雑草とかで



東京に戻り、幼なじみ男4人で飲みました
新宿では風俗の客引きがすごくて、
まっさんという全身若草色で、
半そで短パンの勢いそのままな客引きがいました

「まっさん今いくつなん?」

「44才!オッパブどう?!8000円!」

すきっ歯で歯も何本かないその満面の笑みは、ネオンに負けぬ勢いと輝きがあるのと同時に、
オッパブで働いている女の子と同じくらいの年齢の娘がいてもおかしくないまっさんが全身若草色の姿で夜の歌舞伎町に消えていく後ろ姿にかすかに切ない気持ちを覚えました
しかしそれは全く余計なお世話だとも思いました




メモ
しばらく日本の
森見登美彦さんや
中村文則さん
小川洋子さん
や、旅のドキュメンタリー的なものを読んでいて


それから大陸に渡って改めて
カミュ
カポーティ(「夜の樹」が特に良い)
フランスの児童文学(おもしろかったのに名前を失念)
を読みました

その後久しぶりにヘミングウェイを読みました
「エデンの園」

エデンつながりでスタインベックの「エデンの東 1~4巻」も読みました
これはとても印象深い小説でした
分かりやすく、分割できない人の心の様子を見事に捉え、愚かで優しい悪もはがゆい善も登場し、なおかつ悲しい人はいたけれど悪者という人がいませんでした


後半読み進むペースが落ち
読みきってすっきりしたのと同時にしばらく海外ものはやめようと思い、次は何を読むか考えていました
桜庭一樹さんや三浦しをんさんとか最近の日本の小説がよいなと思いつつ

今日たまたま全然知らないおじいさんのブログを見て、
彼が小型船舶の免許の更新をし、
古い免許と新しい免許に写る自分の写真を見比べ、老いている自分を知り
免許の更新はあと何回できるだろうか、それでも体が言うことをきく限りは船に乗り続けようと思う
という旨の内容が書いてあるのを人知れず見てしまいました


なので気がつくとあれだけ海外の小説はしばらくやめとこうと思ったのに、
ヘミングウェイの「老人と海」を読むことに決めました