オーディオ彷徨録~JBL4331AからALTEC620A~

今までのオーディオの改良や音楽の遍歴に、今後の改善も紹介。いい音に繋がる方法を色々模索したことや、好きな音楽を紹介する。

620A+2405系の矩形波応答 実測

2019-06-13 13:24:24 | スピーカー評価
 前回LP Spiceでシミュレートしたが、その結果が実態に対しどの程度の精度なのか知りたくて実測してみました。6/14紫字追記

 ■1)測定状況
 620Aを確認した時は、以下のような状況です。

 ネットワークを引っ張り出して、右側から出ている緑色のワニ口はHF(同軸ツイータ)信号で、左側から出ている黄色のワニ口はLF(ウーハー)信号です。これをフローティングでPCのマイク入力にステレオケーブルで入れています。この状態は、■3)の③の測定状況となります。フローティングで簡易に測定しているのでノイズや絶対値については若干誤差がありますが、時間的には大きな差は出ないと思います。2405については、前回の回路図で緑の●の位置(1.5μFの後)を測っています。

 ■2)測定結果 単独信号 矩形波は500Hz
 以下です。アンプはRDA-520だとノイズが多くて波形観測不可能なのでLP2020A+を使用。オシロに書いているOS=の値はオシロのゲインで波形を大きくしたい時は、-値を上げます。時間軸は0.4mS/Divですので、5コマで2mSです。
 ①はアンプの+出力端子で、②が2405のHPFの1.5μFの後で、③は上の写真の左側のLF(ウーハー)信号で前回の回路図上の青●の位置、④は、上の写真の右側のHF(同軸ツイータ)信号で前回の回路図上の黄色●の右のR8の右の位置です。
 前回のLP Spiceの波形と比べると、
・④の同軸ツイータの信号は似ています。①と比べても時間的な位置もほぼLP Spice同様に同期しています。しかしアンダーダンピングの応答時間τがLT Spiceの方が短いので何回も振動していますが、実測はそんなに振動していない。
・③のLF(ウーハー)信号も基本的には同じですが、実信号の方が鈍ってはいない。LT Spiceでは立ち上がりが0.5mS位鈍っていましたが、実測はほとんど鈍ってはいない。
・2405の方は、②ですが、これはLP Spiceがパルス信号でしたが、実測はほぼ矩形波を保存しています。
 LP Spiceでは必ずしも全てが反映されていないようです。

 ■3)測定結果 2信号同時表示 矩形波は500Hz
 PCオシロは2入力ですので、リファレンスのアンプ出力と2405及び620Aを同じ時間軸で表示してみました。0.4mS/Div

 ①は、2405の1.5μFの後で、前回の回路図で緑の●の位置(1.5μFの後)を測っていますが赤線のアンプ出力の反転信号になっています。②はその先のR4(6Ω)の後を見たのですが、これは赤線のアンプ出力と同じ位相になっています。
 ③は、604-8GのLH(青線)とHF(赤線)です。これから、LF(ウーハー)はHF(同軸ツイータ)とほぼディレー無しであることが判ります。あるとしても0.05mS程度LFが遅れるようですがこれは聴感では識別不可能です。
 またPCオシロのゲインで■2)の④がー18で赤線のp-pがフルスイングの71%ですが、■3)の④では-21で同じアンプ出力で赤線がフルスイング100%ですのでPCオシロのゲイン差3で約3割表示が違っているようす。
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LT Spiceによる620A+2405系の矩形波応答(ミス版 6/29アップで訂正版)

2019-06-08 15:12:43 | 回路シミュレーション
 以下は、回路図が間違っていましたので、訂正版を6/29にアップしていますので正しくはそちらをご覧下さい。
 
今聴いている620A+2405系の矩形波は各ユニットでどうなっているか興味が湧いて、調べてみました。また、1次フィルタのみが元の波形が再現されると言われており、1次フィルタについて簡単に検証してみました。

 ■1)620A+2405の等価回路
 これは前回分からアッテネータ(ATT)位置をネットワーク(NW)の後に変えています。基本的な応答は変らないと思いますが、現物の回路に合わせました。

 青〇で囲んだのが、604-8GのLF(ウーハー)で、黄色〇は、604-8GのHF(同軸ツイータ)で、緑色〇は、JBL2405です。また、LP2020A+の出力回路のZobelフィルタは、オレンジ色の〇で囲んだCとRで、出力の統合点の電位はその近くの右上の赤●のところで取っています。各ユニットの波形を取ったのも、各ユニットの色の●の所で取っていますが今回はATTの前で取っていますので音圧的に見たら各ユニットを合わせたと言うことでこの位置にしています。(ツイータの高音圧とATTを相殺後という意味で各ユニットの電位を+してフラットになるようなポイントを観測点にしている。)

 ■2)LT Spiceによる620A+2405系の矩形波応答 アンプ出力と604-8Gの同軸ツイータ
 これは以下ですが、矩形波の周波数は500Hzです。アンプ側はLP2020A+の出力回路(Zobelフィルタ、LPF、差動ノイズ用C等)のみ記述。

 アンプ出力は黄緑色の線で同軸ツイータの出力電位は赤線です。アンプ出力は矩形波にオーバーシュート(0msと2ms)とアンダーシュート(1msと3ms)が付いた波形で、同軸ツイータの赤線はそれをアンダーダンピングな系で微分したのに近い波形です。

 ■3)LT Spiceによる620A+2405系の矩形波応答 アンプ出力と604-8Gのウーハー及び2405イータ
 これは、

 アンプ出力は黄緑色の線でウーハーの出力電位は赤線です。2405の応答は水色の線ですがこれはアンプ出力を微分したような波形です。

 ■4)LT Spiceによる620A+2405系の矩形波応答 アンプ出力と604-8Gのウーハー+同軸ツイータ+2405イータ
 これは、

 アンプ出力は黄緑色の線でウーハー+同軸ツイータ+2405の出力電位の合算は赤線です。これは、アンプ出力を再現できては居ません。過渡応答を再現できるマルチは、フィルタでは1次しかありません。ウーハーを反映して0.3mS位は全体的にディレーしており、0mS、2mSで+のスパイクパルス、1mS、3mSに逆にーのスパイクパルスがありますが、■2)を見るとこれが同軸ツイータ+2405の影響であることが判ります。

 ■5)LT Spiceによる1次フィルタ系の矩形波応答 3dbクロスで1.5KHzクロスオーバー 各ユニットのゲイン
 1次フィルタのゲインは、

 黄緑色のV(n002)は ツイータ用C1の右の電位で、ツイータはR1です。赤色のV(n003)は ウーハー用L1の右の電位で、ウーハーはR2です。1.5KHzでー3dbでクロスしています。

 ■6)LT Spiceによる1次フィルタ系の矩形波応答 3dbクロスで1.5KHzクロスオーバー各ユニットの過渡応答
 1次フィルタの各ユニットの過渡応答は、

 黄緑色のV(n002)は ツイータ用C1の右の電位の過渡応答で、ツイータはR1です。赤色のV(n003)は ウーハー用L1の右の電位の過渡応答で、ウーハーはR2です。

 ■7)LT Spiceによる1次フィルタ系の矩形波応答 3dbクロスで1.5KHzクロスオーバー両ユニットの加算分の過渡応答
 1次フィルタの両ユニットの加算分の過渡応答は、

 黄緑色のV(n001)は 送り出しの矩形波の過渡応答です。赤色のV(n002)+V(n003)は ウーハー用L1の右の電位の過渡応答とツイータ用C1の右の電位の過渡応答を足したもので、ほぼ黄緑色の線と合致(重なっている)していますので1次フィルタで過渡応答が再現できることが判ります。赤線が黄緑線より僅かに上回っている部分(0~0.4mSと2~2.4mS)と下回っている部分がありますが、これはC1とL1を正確な値ではなく近似値を使っているからだと思います。尚、赤線のみの部分は黄緑色のアンプ出力の線と重なって黄緑線が消えています。
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LT SpiceによるLP2020A+のZobelフィルタのオーバーシュート

2019-06-02 11:44:08 | 回路シミュレーション
 今年3/19にアップした純抵抗負荷でのオーバーシュート対策の続きです。620A+2405系の等価回路が前回作成できたので、これを使ってLP2020A+をアンプとした場合のオーバーシュートを見てみました。3/19アップ時に参照したと記載したサイト(メモ帳:PCオーディオの構築(アンプ4))に着想を得てやっています。6/28赤字訂正。回路図の間違いを訂正しデータも訂正

 ■1)抵抗負荷での検証
 これは以前アップしましたが、実数の抵抗負荷では

 単純な純抵抗負荷では、LP2020A+のZobelフィルタのC2を大きくした方がオーバーシュートの高さが低下します。C2=1μFの場合は、0.22μFの場合の~1/2になっています。

 ■2)インピーダンスから導き出した複素数負荷(L、C)を含んだ等価回路 (前回の回路図は、LPFの中点アース以外のユニットにもアースを取っておりBTLを正しく表していないのでBTL対応の1点アースの回路図に訂正)
 これは、以下のようになります。電圧源の右側のL6~C8までの回路はLP2020A+の出力回路です。積分復調器として使うLPF(10μHのL2個と0.47μFのC2個)とZobelフィルタ(オレンジ色の〇で囲んでいる:D級アンプでは発信防止ではなくスピーカーのインピーダンスの上昇を抑える為に入れる)と0.1μFのC(差動ノイズデカップリング用)を含んでいます。

 青〇で囲んだのが、604-8GのLF(ウーハー)で、黄色〇は、604-8GのHF(同軸ツイータ)で、緑色〇は、JBL2405です。また、LP2020A+の出力回路のZobelフィルタは、オレンジ色の〇で囲んだCとRで、出力の統合点の電位はその近くの右上の赤●のところで取っています。

 ■3)この等価回路でのLP2020A+のZobelフィルタのCを変えた場合の高周波特性
 これは以下。実線は電圧ゲイン(db)で、点線は電圧の位相(°)です。

 これは、上の回路図で赤●の点(Zobelフィルタの右上)の電位の周波数特性で100KHzまで見ています。左から順にZobelフィルタのCが0.22μF、0.47μF(現物)、1μFと上がっていきます。一見すると同じように見えますが、ハイ落ちの肩の周波数(-0.5dbポイント)が、左から17.4KHz、22KHz、18.7KHzと0.47μFがベスト。0.22μFや1μFでは若干ハイ落ちします。
 冒頭に参照したと記載したブログのコメントで、”スピーカーとZobelを並列接続したインピーダンスが、1k~20kHz当たりまでフラットに近いようにすれば、回路シミュレーションとかしなくても、自分の使うスピーカーに合わせてCz(ゾベル用)の容量は決めれそうだ”とあった。その理論に従うと、0.47μFがベストです

 ■4)この等価回路でのLP2020A+のZobelフィルタのCを変えた場合のオーバーシュート特性
 これは、

 これも電位の測定点は、上と同じ回路図で赤●の点(Zobelフィルタの右上)で3つのユニットの送り出し点の矩形波応答を見ています。上から順にZobelフィルタのCが0.22μF、0.47μF(現物)、1μFと上がっていきます。今回は、■1)の純抵抗の場合とは違って、オーバーシュートの高さはほぼ一定ですが、オーバーシュートのパルスの立下りが0.22μFでは、~24μS,0.47μFでは~31μS,1μFでは~39μSと鈍っていきます。この立下りの鈍りは大きいように思いますが音で聞き分けられるかどうかは?ですが、立下り鈍りが少ないのは0.22μFです。

 やはり、ZobelフィルタのCは、電圧の周波数特性とオーバーシュートの立下り時間で見ると標準の0.47μFで妥当と思います。

 
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