オーディオ彷徨録~JBL4331AからALTEC620A~

今までのオーディオの改良や音楽の遍歴に、今後の改善も紹介。いい音に繋がる方法を色々模索したことや、好きな音楽を紹介する。

620Aのパッシブネットワークのクロス周波数詳細確認とトーンバースト波形のユニット別周期

2021-02-17 14:55:22 | スピーカー評価
 今回は、過去に調べたが詳細という点では今一歩という所があったので少し突っ込んで調べました。

 ■1)620Aのオリジナル・パッシブネットワークのクロス周波数
 これについては過去に調べて1.8KHz~2KHz附近のアバウトなデータを出していました。今回はWSでカーソルを使えばデジタル的に周波数が出るのでそれを確認してみました。マイク距離は11.5cmと近づけてパッシブNWで同相接続して測っています。オリジナルの同相接続では以前のアップで示したようにカットオフ附近で位相が逆になるのでディップでクロス点が判ります。LT Spice解析でも2次以下のフィルタでLPFとHPFを加算するとカットオフでディップしますがこのことと上記ディップは合っています。逆相接続(及びLT Spice解析で減算する)とほぼフラットになる。

 マイクはホーンの真ん前11.5cmの所に設置しています。データは、

 L側はFc=1733Hz、R側は、Fc=1647Hzとなりました。1.7KHz前後となります。従来推測で言っていた1.8KHzや公称1.5KHzとは違います。また真空管アンプなら以前にアップしたLT Spiceの解析で示しましたように出力インピーダンスが高いのでスロープの肩の周波数が近づいてきて、場合によってはディップが無くなります。

 ■2)620AのLPF&HPFカットオフ2.5KHzでの2.5KHzの1波トーンバースト波形のユニット別周期 (RDA560のデジタルチャンデバのフィルタを使用)
 これについては、連続波とは異なり1波しか出さないので当然コーン紙はその質量による慣性で周期(=1/周波数)は長くなるはずで、同軸ツイータは金属ダイヤフラムなのでコーン紙よりは周期は短くなるはずでその程度を把握すると言う趣旨です。以下のトーンバースト波形をアップした時に、ウーハーと同軸ツイータでは波長が違っていたので確認してみました。

 WSの上に記載していますが、周期は本来2.5KHzなので電気的には、0.4mSです。下記左側がウーハー、真ん中2つが同軸ツイータ、右側がウーハー+同軸 更に右端が電気信号の場合です。
     ウーハー      同軸ツイータ1波目  同軸ツイータ2波目      ウーハー∔同軸         電気信号
 R側  0.67mS      0.36mS          0.36mS          0.47mS           0.4mS
 L側  0.70mS      0.36mS          0.36mS          0.51mS           0.4mS
 予想した通り、コーン紙のウーハーの方は同軸ツイータのダイヤフラムより重いので遅れるがツイータの方は電気波より早い。タイムアライメントを合わせて両方鳴らした場合はその中間となります。
 これを見ていますと、電気的な波の周期(0.4mS)より紙のコーンのウーハーは周期が遅く、軽い金属ダイヤフラムのツイータは電気的な波の周期より短くなり、両方鳴らした場合は電気的周期に近くなると思われます。

 ■3)620A(604-8G) R側のLFとHF 低QでのLPF&HPFカットオフ1~2KHzでのカットオフ周波数での1波トーンバースト波形
 これは、以下。フィルタのカットオフ周波数と1波トーンバーストの周波数は同じに合わせています。

 左のウーハーの波形とタイムアライメントで合わせているのは、中央の同軸の赤〇で囲んだ波です。(R側16.1cm、ウーハーを遅延)
 上段が 1KHz(1mS)、中段が 1.5KHz(0.67mS)、下段が 2KHz(0.5mS)で、周期を纏めると、
        ウーハー   同軸ツイータ1波目  同軸ツイータ2波目    ウーハー∔同軸        電気信号
 1KHz    1.2 mS     0.48mS        0.75mS        1.01mS          1.0mS
 1.5KHz  0.91mS     0.4 mS        0.53mS        0.72mS          0.67mS
 2KHz    0.8 mS     0.32mS        0.48mS        0.54mS          0.5mS
 波形的に見ると、2.5KHzの同軸ツイータ波形のみ、+ピークが1個に収まっていますが、2KHzでは2個+α、1.5KHz以下では2.5個あるので同軸の波形と言う意味では2.5KHz以上でないと波形が汚い。またウーハー∔同軸の波形も2.5KHzが最も美しい。
 次回は、上記周期データをグラフ化して分析し、カットオフの最適値を探りたいと思います。
 2/20 青字追記 これを考慮すると、極端な振動系重量(或いはコンプライアンス)の差がある2つのユニットをクロスする場合はカットオフ周波数での周期が電気的周期とずれる、つまり周波数の再現度が劣化することになり例えば2231Aを使う場合等はカットオフ周波数には注意が必要。
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