オーディオ彷徨録~JBL4331AからALTEC620A~

今までのオーディオの改良や音楽の遍歴に、今後の改善も紹介。いい音に繋がる方法を色々模索したことや、好きな音楽を紹介する。

JBL4331AのRDA560によるマルチアンプ駆動(2)3131Aの解析

2021-02-07 10:01:16 | ネットワーク
 JBL4331AをRDA560でマルチアンプ駆動する評価をするに当たって、標準のネットワーク3131Aを解析してみることにしました。3131Aについては、2017年3月1日に各ユニットの特性評価の中で少し触れているのですが中味が皆目判りませんでした。今回下記ブログ(ガラクタ再生工房 JBL4331A)の情報を参考にして、LT Spiceで少し調べてみました。
 http://www.sk.aitai.ne.jp/~k-chihiro/jbl4331a.html
 2/7青字追記 先ほど”美の壺”を見ていたら京都の町屋でした。京都に実家がありますが家の近くにはああいう格子はもう少ないですね。音楽はマイルスのRelaxin’から”I Could Write A Book”。この頃のミュートが良いねえ!その後はC/フラー”Five Spot After Dark”やトレーンの"Ballads”から”All Or Nothing At All”。うーん中々趣味の良いセレクションです。

 2/10赤字追記 2/7のクラシック音楽館は私のお気に入りのシューマン・ピアノ協奏曲を熊倉優 指揮で藤田真央さんのピアノでした。この曲で印象的なのは、2016・5・15のパーヴォ(熊倉さんの師匠)指揮のカティア・ブニアティシヴィリのピアノ。彼女は繊細にして大胆に弾き切った。彼女はこの曲について、天才にして精神的な問題を抱えていたシューマンはクララに恋をしていて全てが美しく見えるのにそれが長く続かないのではないかという強迫感がありそれがカデンツァのみに現れているという独自解釈をしている。対する藤田さんもロマンティック過ぎてはいけない、ストゥラグル・葛藤を表さないといけないと言っているがカデンツァにそれを感じているのかもしれない。私は強烈なオーラを発し、情熱的なブニアティシヴィリの方がお気に入りです。

 ■1)3131AのJBLが開示している回路図
 これは2017年3月1日のアップでも載せていましたが、

 INT(内部)端子は、左側の一番上REDが+で一番下BLACKがアースで、今スイッチの→が繋いでいる回路がINTで単一アンプ駆動用。マルチアンプ用のEXT(外部)端子は、左側のLF INPUT(ウーハー用)とHF INPUT(同軸ツイータ用)で、今→がタッチしてない方の〇に繋がった時がEXT駆動です。

 ■2)INT駆動時のLT SpiceによるF特
 LF側は青線で、HF側は緑線です。

 右側が回路図です。上がHFで下がLFです。
 HFを見ますと、2次に近いHPFがありますが、コイルがL2とL3で分割されています。L2+L3は1.55mHですが比率はどこにも開示していませんので適当に1:2位にしています。この中間からC4とR2の直列を経由してR8(同軸ツイータ)に信号が行きます。R3とR5は16Ωのアッテネータで分割はー24dbになるようにセットしました。これは同軸ツイータの感度が118db/WMでウーハーの感度が93db/WMなので差が減衰量で25dbなのでほぼ合わせた。
 LFは、単純な2次のLPFなのでー12db/Octと思っていましたが、Measコマンドで2KHz-4KHzの傾きを出したら、-10.5db/Octでした。これはウーハーR6に並列に入っているZobel回路の影響です。
 HFは、10KHzから20KHzは+5.96db/Octでブーストされてます。ハイ・ブースト回路が上記ブログの通りあります。どこの回路かは書いていませんが、C4とR2の直列分が少なくとも影響しています。

 ■3)LFのZobel回路の影響 ( https://nw-electric.way-nifty.com/blog/2012/10/zobel-6efb.html を参照しました。)
(Zobel回路の用途は①アナログアンプの出力段にCR直列回路では、発振止めの役目でカットオフ周波数(Fc)は300kHz~②スピーカの高域インピーダンス補正の場合はFcは1kHz~20kHz と2種あり。今回はFC~0.8KHzなので②)

 LFのC2とR4はZobel回路(カットオフは、796Hz)でその影響を確認してみました。R4をカットした場合が以下で

 この場合は、Measコマンドで2KHz-4KHzの傾きを出したら、LFの青線は-12.1db/Octでした。これは2次の正常な減衰率ですのでZobel回路で1.6db傾きがなだらかになったということです。

 ■4)HF側のC4とR2の直列分の影響
 前回のアップでよく判らなかったのがこのC4とR2の直列分です。これもR2をカットしてみました。

 予想通りハイブーストはなくなりましたがHFの緑線はハイダウンになっています。C4とR2の直列分がハイブーストの主体のようですがL2とL3の中間タップからアッテネータに入力を入れているのもハイブーストに影響していると思われます。

 ■5)HF側のL2とL3の比率の影響  L2<<L3の場合
 L2=0.15mH、L3=1.4mHの場合は、

 数KHzのフラット領域が、-20db(3.5KHz)ですが、■2)のL2=0.55mH,L3=1mHのー26.4db(3.5KHz)に比べ6.4db上がっていて、10KHzから20KHzのブーストも2.8dbです。

 ■6)HF側のL2とL3の比率の影響  L2>>L3の場合
 L2=1.4mH、L3=0.15mHの場合は、

 肝心のHPFの平坦部(数KHz)が無くなって直線的に上っています。1KHzからの傾きも~4.9db/Octです。

 ■7)HF側のL2とL3の比率の影響  HPFの平坦部のフラット化
 HPFの平坦部のフラットになる条件を出してみたら、L2=0.2mH、L3=1.35mHの場合でした。

 この場合、HPFのフラット部でー20.8db(5KHz-8KHz)です。2KHzでー21.5db、10KHzでー20.4dbなので2KHzから10KHzの同軸ツイータの主領域ではほぼフラットです。実機はこの辺りかと推測しますが、実際のインダクタンスを測ってみたいものです。尚1KHzではー25dbとやや落ちています。尚、10KHzから20KHzのブーストは3.5dbです。
 これで例えばクロスオーバーを推定するとLPFのー3dbポイントは、625Hzですので公称800Hzですが若干低い。実体はこの辺りかもしれません。

 ■8)HF側の平坦部のフラット化で中間タップではなくHot側からC4とR2の直列分に信号を流した場合
 この場合は、

 HF側は、数KHz~10KHzまでのフラット部が無くなって、数KHzからリニアーに増加します。中間タップから L2<<L3の比率で出すことによってHF側のフラット部を形成していると思います。

 ■9)上記の場合でR2をカットした場合
 この場合は、HF側はRが並列になっていますが単純な2次のフィルタですので

 HF側は緑線で20Hz-40Hzの傾きは12db/Octですので2次フィルタです。

 ■10)3131A HFのEXT端子
 これは、

 巻き線アッテネータ15・R4の前に固定抵抗R1・R2のL型アッテネータが入ります。更に元のCの2倍の33μFが入っておりCが1個なので1次のHPFとなります。10Hz-20Hzの傾きを.Measコメントで出すと、6.0db/Octです。10KHzでー6.3dbでクロスをー3dbとすると、620Hz(-9.3db)です。■7)のLPFの推定クロスが625Hzですのでほぼ同じです。ここまで下がっていれば使えないことは無いですが抵抗が無駄に入りすぎです。

 Rを並列にしたコイルの中間タップから出たCとRの直列回路を使ってハイ・ブースト回路を組むのは非常にマニアックな方法で3131Aの設計者は遊び心溢れたアイデアマンと思います。またRDA-560を使ってマルチアンプをするのであれば両ユニット直結すべきと実感しました。
コメント
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