オーディオ彷徨録~JBL4331AからALTEC620A~

今までのオーディオの改良や音楽の遍歴に、今後の改善も紹介。いい音に繋がる方法を色々模索したことや、好きな音楽を紹介する。

LP2020A+ ゲイン低下改造評価(高域拡大・歪減少)

2017-09-17 13:18:54 | アンプ
 今回は、前回9/10にアップした電源リップル減少・余裕拡大対策で、電源の電解コンを10000μFに拡大した時に、今後の改造予定とした、ゲイン低下改造をしましたので、その話です。

 ■1)ゲイン低下改造
 これは、”みやけDENKIのブログ”に掲載されているもので、一時流行ったようですがTA2020のゲインを減らすのものです。G(ゲイン)×B(バンド幅)の積は一定ですので、ゲインを減らすとバンド幅が広がる関係でカットオフ周波数fcが上がるのと、NFB量が上がるのでノイズと歪み低減の効果が期待できる。高域拡大・歪減少の効果を確認したいと思ってやりました。

 ■2)改造風景
 これは以下のような順番で改造しました。先ずは、改造前です。

 真ん中に見えるR8とR10がチップ抵抗の15KΩです。153と記載しているのが見えますので、15×10の3乗で15KΩ。これは、入力抵抗Rinになります。非常に小さく1mm×1.5mm位です。その上に見えるR9,R11が帰還抵抗Rfbで22KΩで、ゲインをRinとその比で決めています。Rfb/RinがゲインGでRfbが∞になったら、帰還が無くなるので、NFBは無くなります。今回は、みやけさんに倣って、Rinを22KΩにして、帰還抵抗周りのゲインを1(改造前=22/15=1.46)にして、トータルゲイン=12×Gとデータシートになっているので、全体ゲインを17.6⇒12に下げます。 次は、R8,R10を外す為に、その写真上で下にあるC20,C21(これを外さないとR8、R10は外れない)をハンダゴテで外している風景です。

 次は、今回改造で使う22KΩの抵抗です。日本橋で買ってきました。

 次は、C20,C21、R8、R10の4素子を外したところです。

 次は、22KΩを2個半田付けした後です。魔の空中配線という感じですが、素人ですのでご容赦を。

 一応、ショートしているかもしれないので、抵抗を確認したら、21.6KΩでOKでした。


 ■3)実験風景
 これは、いつもと同じですが、以下。

 アンプのL側に8Ω負荷の抵抗を繋いで、その片方からPCのマイク入力にいれて、PCの音声出力をミニジャックからLPに入れました。

 ■4)実験データ インパルス応答のFFTによる高域拡大評価 :以下は、全てLP2020A+のL側のみで代表評価
 これは、以下のインパルス応答のFFTによるデータで確認しました。パルス周期は、10Hz.赤線がピークホールドで主にこれを見てください。緑線は、瞬時値でピークに来る瞬間を何回も待って捉えました。

 ①②は改造前で、①がアンプLP2020A+のヴォリュームが9時、②は少し上げて通常の聴取音量の10時30分、③④は改造後で、③がアンプLP2020A+のヴォリュームが9時、④は少し上げて通常の聴取音量の10時30分です。ポイントは、20KHz付近の低下ですが、改造前後では変わらないと見えます。というか、殆ど低下は無いです。

 ■5)実験データ サインスイープのFFTによる高調波歪減少評価
 これは、以下のサインスイープのFFTによるデータで確認しました。高調波は、音で基本と思っている1KHzを基音にした。FFTプロファイルはピークホールドの赤線を、高調波は、緑線の基音1KHzとそのn倍波の瞬時波形を見て下さい。

 ⑤⑥は改造前で、①がアンプLP2020A+のヴォリュームが9時、⑥は少し上げて通常の聴取音量の10時30分、⑦⑧は改造後で、⑦がアンプLP2020A+のヴォリュームが9時、⑧は少し上げて通常の聴取音量の10時30分です。これははっきりと差が出ました。⑤と⑦の比較では、両方2次高調波のみ出ていますが、改造後の⑦の方が⑤より10db位は小さいです。⑥と⑧のアンプのヴォリュームが通常の聴取音量の時は、⑥では、2次から15次位まで高調波が見られますが、改造後の⑧では、偶数の2次、4次しか見られません。偶数次の高調波はあまり気にならない、奇数次がノイズとして耳に障りやすい、とも言いますので、極めて音質上は改善されたと言えます。又、NFBの力は偉大ということです。

 【結論】
 今回の、ゲイン低下(-3.3db)改造では、高域拡大は見られなかった。しかし、高調波歪は、格段に改善された。

 ■6)本改造後の視聴 (CDは、CDP-555ESJ,スピーカーは、620A+2405Hで視聴)
 先ずは、フィニアスのウィ・スリーを聴いてみました。10000μF改造でも凄いと感じましたが、今回は音の一音一音がスピーカーから遊離して、演奏者が見えるような雰囲気をかもし出します。右奥に居るロイのドラムスティックの位置の移動が目に見えます。左にフィニアス、ロイの手前右にいるチェンバースの手も見えてきます。エバンスのワルツ・フォー・デビィも聴いてみましたが、観客のざわめきや、シンバルもリアルそのもの。ダンピング面(DFケアー)でもベースも弾み方が程よい。拍手もリアルでべちゃつかない。もうアナログアンプは必要なくなりそうな感じです。(LPレコードは別にして)例えが古いと言われるかもですが、これはスカイラインGT-Rバリの”羊の皮を被った狼” です。ドライバー生沢徹氏が乗ったスカイラインGT41号車がポルシェ 904をヘアピンコーナーで抜き去るレースはポルシェが最終的に勝利する結果となりましたが、一時的でも日本のセダンがポルシェを抜くシーンは日本中が感動した。このLP20202A+改造版は正にそのレベルになっています。
 これらの改造をお教え頂いた、みやけ さんには、本当に感謝です。
 (9/18追記) JUJUさんのDELICIOUSも聴いてみましたが、サシスセソが全く刺激的にならず、声がまろやかになりました。”エヴリタイム・ウィ・セイ・グッバイ”なんかぞくっとする位にライブ感が迫ってきます。

 ■7)改造内容のまとめ
 ①ポップ音ON対策  :SPリレー用電解コン変更 220μF⇒470μF
 ②ポップ音OFF対策 :C29の+とTA2020の8ピン(V5A)とを100Ωをはさんでジャンパー線で繋ぐ。100Ωを入れることにより、音に艶が出る。(みやけDENKIのブログ参照)
 ③C29の容量UP   :100μF⇒1000μF(東信工業UTWRZ、低インピーダンス品)へ変更。バイアスパスコンC29が標準の100uFのままだと、重低音が痩せてしまう。容量UPは、電源余裕拡大及び、ノイズ低減にも効果がある様です。(100ΩとC29でRCフィルタを形成。LPFでfc=16Hz⇒1.6Hz化)。(みやけDENKIのブログ参照)
 ④電解コンの容量UP :2200μF⇒10000μFへ変更。電源余裕拡大:パルス的な音のダイナミックレンジを拡大したり、重低音の強化。
 ⑤今回のゲイン低下 :入力抵抗Rinの15KΩを、帰還抵抗Rfbの22KΩと同じ、22KΩに変更する。これにより、ゲインが、3.3db低下し、NFB量が増えて、歪が減少した。(みやけDENKIのブログ参照)下記回路図は、”がたがたラジオ”のT様から入手です。T様に感謝!


 ■8)オペアンプのGB積(利得帯域幅積、ゲインバンド積 )一定とは?
 これについては、余り厳密ではないですが、以下のようになると思います。

 あるオペアンプの裸(開)のF特がfcからグラフの右下に20db/decで低下していく直線に乗っているとすると、帰還抵抗を付けた閉ループの30dbでのF特は、100KHzまでは横水平の直線になります。これのゲインを1と仮定(本来は0dbが1ですが)すると、90dbの帰還抵抗(30dbの場合の1K倍のΩ値)を付けた場合では1000倍となり、この場合は、グラフから判るように100Hzから20db/decで低下していきます。30dbの場合のGB積は、100KHzです。90dbのGB積は、100(Hz)×1000倍=100KHzと同じになります。グラフで言うと、横長の緑の長方形と、縦長の透明青の長方形の面積が等しくなるということです。これが、GB積が一定という法則で、アンプのループ利得が、1 次フィルタの特性、すなわち、ー 20 dB/dec=-6dB/octの傾斜を持っている部分では、成り立ちます。このアンプは、GB積が100KHzですが、グラフの点線のようなアンプでは、GB積が直線のアンプより大きくなり、高域特性も良いということになります。点線のアンプのGB積は、ゲインが10db(3倍)高いので、300KHz。尚、ゲインがdbで0となる周波数が、fT:ユニティゲイン周波数 といいますが、オペアンプの高周波特性を示す指標です。
 尚、今回の改造では、3.3dbゲインを減らしましたので、グラフの30dbの黒の直線を、赤線にした位のわずかな改造ですが、高調波歪には効きました。
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