久しぶりのシリーズ復活! 新人団員の『音楽と私』を紹介します
Mr チェリスト からです
音楽と私
チェリスト F生
「ご趣味は?」と聞かれると「テニス、釣り・・・それに音楽を少々」と答えます。すると「音楽?何をやってるのですか?」と更に突っ込んで聞かれることがよくあります。最初から「チェロを弾いています」と言えばいいものを自信の無さからこのような受け答えになってしまいます。終いには「高尚なご趣味ですね」と心にも無いことを言われ会話が広がらないことが多いのです。
以前は、音楽というものに一向に関心がありませんでした。育った環境も音楽とは全く無縁であり、クラシック音楽や楽器演奏など全く興味がありませんでした。
ところが、50を過ぎてからクラシック音楽が好きになり、その後チェロを始め、今ではCSEの一員に加えていただき皆さんと一緒に合奏を楽しんでいます。
私の趣味の一つになった音楽との関わり等について綴ってみました。
クラシック音楽との出会い
一人の女性の影響でクラシック音楽が好きになりました
職場にアマチュアオーケストラでホルンを吹いている女子社員がいました。彼女は金曜日になると会社に楽器を持ってきて、仕事帰りにオーケストラの練習に参加していました。
とてもよく働き女子社員の中心的存在でしたので周りの理解もあり、私も当日は彼女にはなるべく残業をさせないよう配慮してあげました。そのこともあったのか、彼女は年2回の定期演奏会には必ず私を招待してくれました。私に音楽的素養はなく、ましてやクラシックはどこか難解で敷居が高いイメージがあったので最初の頃は断っていました。しかし、一度は行ってあげた方が良いのではとの周りの忠告を受け、事前に高島ちさ子さんの「クラシック入門」で楽曲やマナー等について勉強のうえ演奏会へ足を運びました。ところが、生まれて初めて聴くクラシックはとても退屈で、また日頃の蓄積した疲労をクラシックの美しいメロディが癒してくれたのか、更に休憩時間に飲んだワインが効いてとても気持ち良くなり殆ど寝てしまいました。
その後年1回聴きに行く程度でしたが、ポピュラーな交響曲の演奏やプログラムで曲が作られた時代背景等の解説を読んでいるうちに少しづつクラシックが面白くなってきました。
ある日、彼女がチケットを持って私のところへ来て「チューバの人と結婚するので紹介したいので是非来て欲しい。また、自分は今回の演奏会を最後に退団する。」というので喜んで行きました。素人ながらチューバという楽器は出番が少なく暇なパートだと思っていましたが、その日ばかりは注目して見ていました。演奏会が終わり彼に会ってみると、とても爽やかな青年で好感を持ちました。
結婚式へ招かれ音楽関係の友人等とも話をしてみると、感性の豊かな人が多くとても刺激を受け、クラシック音楽との距離は確実に縮まったのです。
チェロを始めたきっかけ
55才でチェロを始めました。所謂、レイトスターターです。
それまで30年弱の間、健康維持を口実に毎週末やっていたテニスも、テニスエルボーや膝に水がたまるなどの故障に悩まされ限界を感じていました。
ちょうどその頃ヤマハの「大人の音楽教室」のチラシを目にしたのです。クラシック音楽に少し興味が湧いてきた頃で、また定年になった時のために何か別の趣味もあった方がいいと考えていました。
「何故、チェロにしたのですか?」と聞かれることがありますが、明確なビジョンがあったわけではなく、偶々体験レッスンを受けたのがきっかけでした。「あと一人揃えばグループレッスンがスタートできるのですが」とヤマハのセールストークに乗せられたのかも知れません。「楽譜が読めなくても大丈夫」との触れ込みでしたが、いざレッスンが始まると、本当に楽譜が読めないのは私一人で少し劣等感を味わいました。
楽器はヤマハのレッスンで使うものと同じサイレントチェロ(電子楽器)を買いました。子供達がまだ学生ということもあり、家族へ迷惑を掛けないように、ヘッドフォンで自分だけ音が聴こえるようにして練習しました。後に、生チェロに替え、同時にレッスンも個人レッスンに変更したのですが先生から「2年間やっていた割にはボーイングが下手すぎる」と指摘され、基本からみっちり教わりました。チェロのボーイングは「食パンにバターをぬるように」とよく言われますが、サイレントチェロだと個人差はあるものの多少ボーイングが甘くても結構良い音色がでるので上達が遅れるようです。また、肩の力を抜き弓の重さを利用して弾くよう指導されますが、その点に関しては長年やってきたテニスも同じで良いショットに繋がります。
CSEに入団して
60才で定年となり、その4ヶ月後にCSEに入団しました。
年金受給年齢の引き上げに伴う継続雇用制度を利用して引き続き働くことにしましたが、週4日勤務で都合よくCSE練習日の月曜日が休みになったのです。
HPではチェロ1人になっていたので先輩に期待していましたが、他のアンサンブルへ移籍された直後とのことで空席でした。入団を少し躊躇したのですが、笹森先生の「弾けるところだけ弾いてもらえばいいですよ」との優しいお言葉に背中を押された感じでした。
入団した頃は、5ヶ月後の定期演奏会に向けて難曲のエグモントほか10数曲を練習中で、暫くキャッチアップするのが大変でした。
「アウフタクト」が「アークタクト」に聞こえ意味がわからず、取り敢えず皆さんの反応を見て「たぶん、小節ちょうどではなく、一拍前から始めるんだな」と解釈して後でインターネットで確認したものでした。
2ヶ月後の介護施設への訪問演奏時には、前もってTC委員から「楽器の紹介をしてもらうので夫々準備しておくように」との指示があったので、「チェロはヴィオラとコントラバスの間で、音域が人の声に近く・・・」云々の説明を考えていました。ところが、演奏が終わり各楽器の紹介に移ると、マンドリンそしてバイオリンとソロ演奏が始まったのにはびっくりというか焦りました。次に自分の番がきて、演奏曲の一部分でも弾けばよかったのですが、頭の中は真っ白で何の閃きもありませんでした。困っていたら、笹森先生の「スケールを弾いてみてください」の助け船で何とか乗り切ったのでした。冷静に考えれば、お年寄りに楽器の説明をして何になるのかと思い恥ずかしくなりました。
CSEはクラシック一辺倒ではなく映画音楽、タンゴ、歌謡曲等いろいろなジャンルの曲を演奏できるので楽しいです。
音楽を通じてCSEの皆さんと出会えたことに感謝しています。
以上