華氏451度

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首長の条件

2007-03-05 23:25:07 | 東京都/都知事

◇◇◇首長は雇われマネージャーである

 当たり前のことだが、首長というのは「王様」でも「皇帝」でもない。つまり絶対的な権限を持つ独裁者ではない。単なる「右、代表」――と言うか、ともかくそういう存在にしか過ぎない。クラス委員長か生徒会長か、マンション管理組合長みたいなものだ。雇われママ、雇われマネージャーのような存在、と解釈してもいいかも知れない(雇っているのは無論その集団の人間すべて)。首相であろうと知事であろうと区市町村長であろうと、同じことだと私は思う。だから、自分が特別な存在だとか住民を支配しているなどと思ってもらっては困るし、自分の個人的な思想信条で突っ走ってもらっては困る。住民が「こんな首長でスミマセン」と小さくならねばならない首長も、もちろん困る。

 国でも地方自治体でも、議決機関は「議会」である。首長は執行機関の「長」として、事務全般を統括するのが主な仕事だ。住民が等しく「健康で文化的な生活」を送れるように仕事をする――いや、具体的な仕事するのは公務員の人達の役目なので、彼らが働きやすいように目配りするのが基本的な役割、と言ってもいい。

 私が考えている「首長の条件」は、次のようなものだ。

1)自分が選ばれた人間であるとか、特別な権限を持っているなどとは、夢にも思わないこと。また、持ちたいなどとも絶対思わないこと。

2)自分は絶対に正しいのだという妙な自信や信念を持たないこと。

3)「力」の信奉者ではないこと。また、常に下から目線でものを見ることができること(常に、というのはなかなか難しいかも知れない。少なくとも、そういう目線の重要さを知っていること)。

4)人種、職業、性別、学歴、年齢、その他いかなることでも人間を差別しないこと。

5)他者に対する支配欲、特に「心」を縛ろうという欲求を持たないこと。

6)憲法99条(天皇・摂政、国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、憲法を尊重し擁護する義務があるという条項)を遵守すること。

 ほかにも挙げていけばいろいろあるけれども、これがいわば「最低条件」だと言ってよい。

◇◇◇議会の重要性

 以上の条件さえ備えていれば誰でもいい――などとは言わない。むろん、具体的にどんな主張や政策を持ち、何を優先課題にしているかは非常に大切であると思う。だが先に書いたように、国でも地方自治体でも、予算その他の決議をおこなうのは議会である。

 首相がどれほど改憲主義でも、知事がどれほどマッチズモ人間でも、市長がどれほど差別意識が強くても、首長を支持する政党(や会派)が議会で多数をとっていなければ、そう勝手な突っ走りはできない。議会には首長の不信任を決議する権利もあるのだから(もっとも、首長のほうは議会を解散する権利があるが)。一昨年の秋以来の坂を転がり落ちるような情勢(教育基本法改定など)は、与党がギョッとするほど多数派になったから生まれたのだ。

 首長選びは重要だが、同時に議員選びの重要性も忘れちゃいけないなと――これは実は、nizanさんの「都知事選や地方議会についての雑感」を読んで改めて思ったことである。国会でも地方議会でも、今の日本の方向にストップをかける議員を増やしたい(そういえば私の住んでいる区でも4月に議会選挙がある)。

◇◇◇解職請求できなかった……

 首長の不信任決議で思い出したが、住民にも首長の解職を求める権利がある。 東京都の場合で言えば、有権者の3分の1以上の署名があれぱ直接請求でき、住民投票の結果、賛成過半数なら知事は解職されるのだ。ふと思い出したが、石原都知事が誕生して少し後、解職を求める運動をしようという声があった(私も片隅で賛同したのだけれども)。だが、とてものこと、有権者の3分の1という数の署名を集めることができなかったのだ。その意味で、都民は本当に現都知事を忌避しているのかと問い詰められると頬が引きつる。都民は、いや、私は何をしていたのだろう。

◇◇◇◇◇◇◇

 (民主党支持ではありませんが)戸倉多香子さんを応援しています。

コメント (4)
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