薔薇貫入釉 本間友幸の陶記

陶芸家 本間友幸が生み出す陶器=薔薇貫入釉の世界
  

専門的貫入説明文

2008-03-23 23:01:58 | 薔薇貫入釉
陶芸制作において重要な要素であるものの一つに釉薬があります。
私が作る陶器には薔薇貫入釉(貫入青磁釉)がかかっています。
貫入とは、陶磁器を焼成した後の冷却の温度変化で、素地と釉薬とが異なる縮み方をすることから釉面に生じる、ひび割れのことをいいます。
中国では古くからこのひび割れ模様の中に独特の美を見い出してきました。中でも中国が発祥の地であり、特有の色の美しさで知られる青磁の技法において貫入は重要視されてきました。

それは長い中国青磁の歴史の中でもその頂点を極めたといわれる約千年前の宋代に、特徴のある貫入を意図的に生じさせた青磁が宮延直轄の官窯で生産されていることからもうかがえます。青磁において貫入は、釉面に変化をもたらしその奥深さを際ただせるものとして尊ばれています。

青磁にみられる貫入はひびの状態に応じて、魚子文、蟹爪文、梅花片文、亀甲文など様々に形容されます。私が新たに作り出した貫入釉はこれらの青磁の貫入の延長線上にあり、それらをさらに発展させたものです。その名前が示すとおり、薔薇の花の連続を彷彿とさせます。
歴史ある伝統的な貫入青磁を使いながら、自分なりの新たな伝統の創造を試みております。

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