脳のミステリー

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63.パソコンは素晴しい家庭教師!

2006-07-23 05:40:14 | Weblog
 パソコンは実に有能な家庭教師である。P先生はリセットという素晴しい言葉を私に教えてくれた。これまでの私なら「覆水盆に返らず」といって中国の故事を引き合いに出したり、英語の慣用句を持ち出して、それっきりになっただろう。英語での表現はIt is no use crying over spilt milk.と言ってWhat is done cannot be undone.という意味を普段の生活の中に持ち込んで聞かせる。成る程! 古代中国はもっとあっぱれだ。周の太公望が斉(せい)に封ぜられた時、離縁して去った妻が復縁を求めて来たが、盆の水をこぼし、この水をもとに戻せたら求めに応じようと言って復縁を拒絶したという教えを伝えている。
 だが、現代社会ではパソコンを前に「古代中国も大英帝国も遥か昔になりにけり」か、と想わざるを得ない事が時折ある。
生きている限り、大なり小なりリセットは利くものだ、と考えなければ先に進まないだろう。
 コンピューターを初めて目の前にしたのはもう30年以上も昔の事である。航空会社に勤務していた頃、予約業務に取り入れられたコンピューターは各人の机の上で卓上テレビのように鎮座して時折、スタッフを驚かせた。
「どうしよう、壊れちゃったよ!」
年配のスタッフが叫んでいる。
「どうしたの?」
「中々、次の画面が出てこなくて、アゲイン!アゲイン!って出るから、何度も押していたら、フールって出てきたよ」
「どーれ、もう一回押してみて」
押して駄目なら、引いてみな、ってね! 他の年配のスタッフがふざけて笑った。
「クミ(私のニックネーム)、どうしよう、フール、フール、フールって画面一杯にFOOLが並んじゃったよ!」
当時若かった私は結構、頼りにされていた。
みんな大爆笑!で本人だけが心配そうに「壊れちゃったのかな」とオロオロしていた。
「大丈夫ですよ。フールって出たんだから、この機械はバカじゃないわ。ちゃんとレスポンスを画面に出してるもの」
「どうしたらいい?」
「リセットがある筈だから、それを押してみて下さい」
「ああ、元の画面に戻った!」
やっといつもの笑顔になった先輩はホッとした様子でオーバーに胸を撫で下ろした。
 性能のいい今時のパソコンは一回、二回、何回リセットしても、そう簡単には壊れないのだから、私の脳というパソコンも不死身ではないが、そう簡単に参る事はないだろう。
 P先生はPush or Pull を奨励して、それでもダメならReset をお奨めという訳か。成る程!

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