脳のミステリー

痺れ、言葉、触覚等の感覚に迫るCopyright 2001 ban-kuko All Right Reserved

59.マッサージ

2006-07-11 21:41:24 | Weblog
 定期的なマッサージをお願いしたのは今から2年半前の事である。
毎日、健常な左側を酷使するので、左手、左肩、左足がとっても凝る。右手が全く動かないので、マッサージは当然、自らする事は儘ならぬ、否、不可能なのが私の体である。
「先生、町のマッサージ師にお願いしようかと思うんですが・・・」
「いいんじゃないですか? 凝ってると思いますからね」
「もし、先生の同意書が必要だったら、お願いできますか?」
「勿論、いいですよ」
はじめの数ヶ月は往診療法に来て貰っていた。やがて、そのリハビリステーションが通所サービスを始める事になって私も通う事になった。公民間に約束事があって、通所サービスでは凡そ4時間も拘束される。時間貧乏の私には一寸した試練だった。後遺症の痺れが極端に強い私は結果的には様々なサービスを遠慮した。新しい処置を施して貰う度に私は脳外科の担当医と整形外科の療法士に相談しながら、マッサージを続けてきた。
 「不快ならやらなければいい」「それは我慢してでもやって貰った方がいい」「それはやらない方がいい」「やってもやらなくてもいい」といった具合に、結構、明確に指示してくれる先生が頼りになった。私は自分が気持ちいい、と感じるマッサージと「我慢しても」というマッサージだけを受ける事にした。すると、4時間の拘束時間の中、私の必要時間がたった30分だという事が明らかになった。数ヶ月間、色々な処置を受けて、分かった事である。ホラホラ、私の時間貧乏虫が動き出したゾ! 我慢した。30分の為に残り?の3時間半の時間を私なりに有意義に過ごしたいと始終考えた。
 結論が出た時は既に「遅かりし由良の助!」だった。私は通所サービスから往療サービスに戻して欲しいと願い出たが、人手不足が大きな理由で暫くは無理というのが答だった。双方の処置時間がうまく合わないのである。私は必死になって代替マッサージ師を探した。時間は掛かった。でも、見つかった!
 新しいマッサージが私に合うかどうかが第一の問題だ。テストはパス! 次はマッサージ師と私の相性の問題がある。これも高得点でパス! 新しいマッサージ師は説明しながら、療法を施してくれた。彼は私の症状をよく理解してくれそうだ。私の得意な第六感が働き出した。
 私は決めた。マッサージ所を変更する事を。これまでのマッサージ師達に心からお礼を言って、サヨナラしよう!
私は30数年前、自ら転職した時の事を思い出していた。『立つ鳥跡を濁さず』がとても大事である。
 そして、子供も私も大好きだった小学校の若い(当時!)教師を思い出した。息子が初めて出会ったその男性教師は担任交代に際してこう明言した。
「いつも先生を君達の土台にするように。いつまでも僕から離れまいとはしないように。僕から巣立って、僕を踏み台にして大きく成長して次の踏み台を踏み外さない事です」
息子は高が8歳の子供だった。30歳近くになった息子が言う、一番印象に残っている教師はあの時の男性担任だ、と。
 私も若い頃から、たくさんの『人間踏み台』に乗っては降り、を続けてきた。一方、私自身が多くの人の踏み台にもなってきた。そして、久しぶりに私の目の前に二つの踏み台が並んだのである。私は躊躇せず、新しい踏み台に乗る用意をし始めた。これまでの踏み台を私の後に控える人達に上手に譲り、目の前のこれからの踏み台に・・・私は乗っかった!宜しく!

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。