「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

忘却,忘れ去ることなりきか 「3月10日」

2021-03-10 06:34:03 | 2012・1・1

戦前戦中に育った世代にとっては「3月10日」は二つ特別な想いい出と意味をもつ。一つは76年前の昭和20年(1945年)の東京下町大空襲があった日。もう一つは明治38年(1905年)日露戦争で帝国陸軍がロシア軍を旅順(瀋陽)で破り勝利した日、陸軍記念日である。

大空襲のあった時、僕は中学2年生で東京の五反田(品川)に住んでいた。空襲は9日深夜から10日明け方まで続いた。北風の強い夜であった。僕はゲートルを身につけ、いつまでも長く続く空襲と、遠くに見える業火を呆然と眺めていた。まさか、この空襲で10万人の犠牲者が出たとは知らなかった。

僕ら昭和1ケタ銃後の少年世代でも小学校唱歌で乃木大将と敵の将軍ステッセルが旅順開城あいなりて水師営で会談した歌を知っている。日露戦争に勝利してからまだ40年、それを記念した陸軍記念日も身近な日であった。

NHKラジオの早朝の番組「今日は何の日」を聞いていたら大空襲のあった日は平成2年から「都民平和の日」となり、都知事が出席して関係者が集まって犠牲者に黙祷をささげる。しかし、どれだけの人が「都民平和の日」を知っているだろうか。戦後NHKラジオドラマで大ヒットした「君の名は」の冒頭の台詞に”忘却とは忘れ去るなり”とあった。陸軍記念日はまさにその通りである。

 

 

 


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