スコットランド住民投票を見て
加藤文康氏 ブログ転載 2014/09/19
http://katofumiyasu.blog45.fc2.com/blog-entry-762.html
スコットランド独立の是非を問う住民投票ですが、独立反対票が過半数の55%を制しました。
国土の31%、人口の8%が分離独立した場合の大英帝国の国力低下、そして国際政治に与える影響は、
予想以上に深刻なものだったでしょう。
また、スコットランド独立派が描いていた、北海油田収入をアテにした北欧型の高福祉国家建設というバラ色の
未来にしても、そんな簡単にものではなく、むしろ経済的衰退と社会的混乱のほうがはるかに大きいはずと、
外国人の私などは地球の裏から傍目八目で見ておりました。
一部の事前調査では、賛成派がリードする結果も出ていただけに、最後は「このまま突っ走ると危ない」という
スコットランド人の直感が、国家分裂の危機をギリギリで回避したといえましょうし、
成熟した老大国の見識が、最後に示されたともいえましょう。
因みに、独立賛成派の力を過小評価し、今回の国家分裂の危機を招いたキャメロン英首相への責任を問う声も
チラチラ出始めているようですが、
我が国では、なんとこの時期に(笑)、
沖縄知事選に名乗りを上げている下地幹郎氏が、
「琉球独立の県民投票も選択肢にあると 政府に示さないといけない」と述べたそうです。
「辺野古に関する県民投票を実施すべき」と、無茶な主張を繰り返す中での暴言のようですが、
元国民大臣としての自覚の欠片のない発言には呆れ果てます。
今、政治家として有権者に訴えるべきは、琉球独立などではありません。
むしろ、沖縄に迫りつつある中国の脅威を正直に伝えつつ、対する具体策を示すことでありましょう。
それでもまだ、「独立云々」と言いたいのであれば、
中国共産党独裁下で塗炭の苦しみにあえぐチベットや、ウイグル族の独立支援に向けて、
何らか発信でもすべきでしょう。
以上、
統一体としての国家は如何に、
その規模を維持・発展させつつ、
より高度な自由と自治を追求し、
国民の幸福と繁栄を実現していくべきなのか、、
議会制・民主主義国家の課題を改めて考えさせられた、そんなスコットランドの住民投票でした。