ザ・リバティーweb より
EUは6日から中国製の太陽光発電パネルに対し、反ダンピング関税を適用することを決めた。5日付各紙が報じた。
ダンピングとは、ある国が安い価格で大量の製品を輸出することで市場を独占し、他の競争相手を潰す行為だ。WTO(世界貿易機関)はダンピングを、健全な市場競争を妨げる「不公正貿易」としており、国際ルールに反する行為である。今回、中国がEUにダンピングしていた太陽光パネルは公正な価格から88%も安い値段で販売されていた。輸入総額は約210億ユーロ(約2兆7千億円)にのぼり、EUのダンピング調査としては過去最大のダンピング製品となる。
ダンピングに対抗する手段の一つとして反ダンピング関税がある。これは、高い関税を設けることでダンピング製品の自国に対する市場参入を制限し、公正な市場競争を担保する方法だ。EUは今回の反ダンピング関税を、最初の2ヵ月間は税率を11.8%に抑える方針。EU加盟国の多くが、中国との通商摩擦を避けるため反ダンピング関税に反対したため、そのことへの配慮からだ。今後の中国の対応次第では税率を47.6%に引き上げるという。
中国のダンピングはEU相手だけではない。アメリカは2012年、中国製太陽光パネルや漂白剤、金属シリコンなどに相次いで反ダンピング措置を発表した。 さらに5月15日にはEU委員会が、中国の通信機器メーカーが中国政府から補助金を受けて不当に安くしていなかったかを調査する姿勢を示した(5月17日 付インターナショナル・ビジネスタイムズ)。それが事実ならば、政府が率先してアンフェアな貿易を促していることになる。
中国は大国や経済大国を自認するなら、こうした確信犯的なダンピング行為をやめ、国際経済の共通ルールを守ることから始めてもらいたい。(徳)
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