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《雑記》『白い巨塔』研究(その8)

2006-07-03 05:22:48 | 『白い巨塔』研究
◎『白い巨塔』におけると学閥と閨閥(6)

(東佐枝子は)、聖和女学院時代の級友である里見三知代を訪れることにしたのだった。
 里見三知代とは、お互いに医学者を父に持っていることと、三知代の実父で、現在、名古屋大学の医学部長をしている羽田融が、曾て浪速大学医学部の助教授であったことから、在学中から何となく話が通じ合う友人であった。(p.89)

 1987年版のドラマでは、三知代は佐枝子のピアノの先生という設定でした(羽田融の娘というところは原作と同じ)。平成版のドラマでは、三知代の死んだ父親の主治医が里見だったという設定で、医学者の娘ではありません。

 滝村名誉教授は、東教授の前の教授であったから、佃たちは直接の教えは受けていなかったが、第一外科出身の名誉教授で、日本外科学会の大御所的存在であったから、第一外科が率先して喜寿の祝賀会の世話をしなければならなかった。(p.119)

 筆頭講師の南と、次席講師の金井であった。南は、財前助教授より三つ齢下の四十歳の筆頭講師であったが、大学の研究室が好きだから、何時までも残っているといったような地味な学級肌で、今さら野心もなく、ただ、こつこつと研究を続けているといったタイプの人物であったが、問題は、次席講師の金井の方であった。南筆頭講師より二つ齢下で、三十八歳、専門は東教授と同じ肺外科で、学問的業績もあり、メスも切れ、学問的に東教授の直系と見られている。その上、佃の前に医局長を勤め、若い医局員の面倒をよく見たから、医局員たちにも信望がある。講師であるから、教授の椅子を狙う立場ではないが、もし、この金井が、東教授に随いて、財前助教授の敵に廻るようなことがあれば、ことが難しくなるのであった。(p.124)

 『白い巨塔』でひとつ不満があるのが、金井講師です。第一外科の講師で後には助教授になるという重要な役割なのに、今ひとつキャラが立っていないからです。他の登場人物はいずれも強烈な個性の持ち主なのに。
※画像は1978年版ドラマで金井講師を演じた清水章吾。

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