ΓΝΩΘΙ ΣΑΥΤΟΝ-購書&購盤日記-

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《読書》吉本敏洋『グーグル八分とは何か』九天社(その1)

2007-02-28 05:00:32 | 読書

●〔13〕吉本敏洋『グーグル八分とは何か』九天社 2007
(2007.02.18読了)〈2007041〉

○内容紹介
グーグル八分(グーグルはちぶ、Google八分)とは、インターネットの検索エンジンであるGoogle(グーグル)で本来なら上位に表示されるはずのウェブサイトが、検閲などにより検索の対象から外れるよう操作され、検索の結果に表示されない状態をいう。村八分になぞらえて呼ぶ言葉である。悪マニのBeyond(吉本敏洋)氏がグーグル八分の本質に迫る。
グーグル八分(Google八分)とは、公正中立と思われているGoogleの検索結果から、特定のホームページが意図的に削除されていることをいいます。削除は、企業や政治家などの「社会権力」からの要請に従い、Googleが一方的に行うものです。ネットによって、市民が自由に表現を行える場が出来たと考えられていますが、権力を持つ側にとって都合の悪い事実は、検索によって見つからないよう、密かに隠蔽されています。この本は、その事実を書いた日本初の書籍です。

 私がグーグル八分を始めて知ったのは佐々木俊尚『グーグル Google-既存のビジネスを破壊する-』文春新書(2006)の中でした。その後、あちこちでこの名前を聞くようになりました。

 著者はグーグル八分の栄えある第1号(?)「悪徳商法?マニアックス」の管理人です。
 「第2章 グロービートジャパンに関するグーグル八分」で、なぜ「悪徳商法?マニアックス」がグーグル八分になったかが詳しく述べられています。

 「第3章 様々なグーグル八分」では、文字通り様々なグーグル八分について述べられています。こんなにグーグル八分になっているサイトがあるとは知りませんでした。
 グーグル八分されている場合は、ページの下部に

 Google 宛に送られた法律に関するリクエストに応じて、検索結果のうち XX件を削除しました。必要に応じて、ChillingEffects.org で削除が発生したことに至った苦情を確認できます。

 という表示が出るそうです。

 「第4章 グーグル八分と表現の自由」では弁護士や日本図書館協会へのインタビューが載せられています。
 グーグル八分と直接関係ありませんが、面白かったところを。
――「図書館の自由に関する宣言」にも例外規定がありますよね。
西河内(引用者註:社団法人日本図書館協会「図書館の自由委員会」副委員長西河内靖泰氏) はい。図書館では、原則として全ての資料を自由に利用できるようにすべきだと考えています。しかし、「人権またはプライバシーを著しく侵害する資料」については制限を加えています。
 「図書館の自由に関する宣言」では具体的に明記していませんが、想定しているのは『地名総鑑』なんです。「図書館の自由に関する宣言」を作った当時、具体的に書くと差し障りがあったため、抽象的に書いていますが、制限の対象となる資料は『地名総鑑』だけです。一部の古地図や行政資料なども『地名総鑑』と照らし合わせると具体的にわかってしまいますから、それが含まれることもあります。歴史的経緯を知らず拡大解釈している図書館もありますが、暗黙の了解でこれはもう限定されています。(p.209)

――そもそも私が協会に興味を待ったのは、山口県の専門学校生殺害事件に関して、図書館が新閲の閲覧制限を行っていたからです。また、週刊誌が名誉毀損で負けたから、該当する記事を見られないようにするといった対応も閲いたことがあります。
西河内 閲覧制限をしている図書館にもいい分はあるでしょうが、我々はすべきではないという見解をずっと出しています。
――それはどうして、すべきではないということなのでしょうか?
西河内 公けに出版されたものだからです。出版された時点で出版社からは既に手が離れています。裁判所のほうでも、基本的に図書館に制限しろとはいいません。要は、影響力が小さいということでしょうね。ネットと違って、一瞬のうちに広がるわけではありませんし、そこに借りにいくという手間もあります。影響は極めて限定的です。
 山口の件では、山口県内で制限しているところが一つもないのがおもしろいですね。制限しているところには共通点があって、大かた解放同盟(以下、解放同盟と表記)が強い地域です。解放同盟の差別糾弾などの過去があって、それに対する過剰反応なのでしょう。過去のトラウマがあって、人権がどうのという話になったとたんに思考停止してしまう。その結果、逆にみんなから批判を浴びることになってしまいます。また、図書館だけで判断すれば、当然、図書館の自由があるから「隠すのはダメ」となるけど、教育委員会とか役所が絡むと自由なんて吹っ飛んでしまいます。(pp.213~214)

〈To be continued.〉

《購盤》 2007.02.17 ブックオフ福山野上店

2007-02-26 05:42:06 | 購盤
ブックオフ福山野上店
クラシックCDの大量買取があったようです。

◎モーツァルト:交響曲全集
 モーツァルト:交響曲全集
  カール・ベーム/ベルリン・フィル
グラモフォン F00G 20011/14 12枚組 ¥3,900

 定評のある名盤なので。

◎konzerte und serenaden/karl bohm
〈CD1〉
 クラリネット協奏曲イ長調
  cl:アルフレート・プリンツ
 オーボエ協奏曲ハ長調 K.314(285d)
  ob:ゲルハルト・トゥレチェック
 ファゴット協奏曲変ロ長調 K.191(K.186e)
  fg:ディートマール・ツェーマン
  カール・ベーム/ウィーン・フィル
〈CD2〉
 フルート協奏曲第1番ト長調
  fl:ベルナー・トリップ
 フルートとハープのための協奏曲 ハ長調 K.299
  fl:ヴォルフガング・シュルツ
  Hp:ニカノール・サバレタ
  カール・ベーム/ウィーン・フィル
〈CD3〉
 ホルン協奏曲第1番ニ長調K.412(386b)
 ホルン協奏曲第2番変ホ長調K.417
 ホルン協奏曲第3番変ホ長調K.447
 ホルン協奏曲第4番変ホ長調K.495
  hr:ギュンター・ヘーグナー
  カール・ベーム/ウィーン・フィル
〈CD4〉
 ピアノ協奏曲第27番変ロ長調 K.595
 2台のピアノのための協奏曲変ホ長調 K.365(316a)*
  pf:エミール・ギレリス
  pf:エレーナ・ギレリス*
  カール・ベーム/ウィーン・フィル
〈CD5〉
 セレナード第13番ト長調K.525「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」
  カール・ベーム/ウィーン・フィル
 セレナード第9番ニ長調K.320「ポストホルン」
  カール・ベーム/ベルリン・フィル
〈CD6〉
 セレナード第7番ニ長調K.250「ハフナー」
  カール・ベーム/ベルリン・フィル
〈CD7〉
 セレナード第6番ニ長調K.239「セレナータ・ノットゥルナ」
  カール・ベーム/ベルリン・フィル
 ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲変ホ長調K.364
  vn:トーマス・ブランディス vla:ジュスト・カッポーネ
  カール・ベーム/ベルリン・フィル
グラモフォン 469 0312-2 7枚組 ¥2,600

 ベームのモーツァルトなので。

◎バーンスタイン/ショスタコーヴィチ
 交響曲第1番
 交響曲第7番「レニングラード」
  レナード・バーンスタイン/シカゴso
グラモフォン F00G 20455/6 2枚組 ¥950

 バーンスタインなので。

◎ベートーヴェン:ピアノ協奏曲全集
 ベートーヴェン:ピアノ協奏曲全集
  pf:ルドルフ・ゼルキン
  小澤征爾/ボストンso
テラーク CD-80061 3枚組 ¥950

 安かったので。

《読書》小谷野敦「なんとなく、リベラル」(『文學界』2007年2月号)

2007-02-24 05:54:49 | 読書

●〔番外〕小谷野敦「なんとなく、リベラル」(『文學界』2007年2月号) (2007.02.18読了)

 小谷野敦の創作第2弾。市民図書館で借りて読みました。
 主人公は岡村朋。T大の英文科から大学院へ進学。留学の後、助手を経て、私立大学の専任講師になります。在日韓国人で同じ研究者(美学専攻)の呉泰俊と結婚します。
 題名は、田中康夫の『なんとなく、クリスタル』のもじり(もちろん注もついてます)、内容的には筒井康隆の『文学部唯野教授』を連想させます。

 モデルが気になります。

小森陽一「小森陽一は日本文学科の教授で、この大学出身ではないのに迎え入れられた。熱心な左翼で、朋もその授業に出てことがある。」として登場します。しかし、注には「ただしこの小説の小森陽一は文学部日本文学科の教授なので、同名異人である。」とあります。

神保大学…岡村朋が専任講師として勤める大学。神保町にあるのは専修大学ですが、六大学のひとつらしいので近くにある明治大学のことでしょうか。
 彼女が専任講師として赴任することになった時、英文科主任の高垣教授はこう言います。
「就職したら、相手のことがよく分からないうちは、学問の話は決してしないこと。……ここの大学で先輩や教授相手に話していたような調子でやっちゃ、だめだよ。神保大学生え抜きの先生もいるし、中には君が唖然とするくらい勉強していない人もいる。もし君の言ったことに相手がついてこられないと、恥を掻かされた相手は君を憎むようになる。だから、まあ相手のことがよく分からない内は用心するんだね。」(p.197)
 他にも「私大の学生の学力のなさには参ったが」という表現も出てきます。小谷野敦は私大など相手にしないということでしょうか。

阪大教授で儒学研究の舵信行「従軍慰安婦について、「男は植物と同じように、死ぬ前に花粉を撒き散らすのです」と放言していた」と出てきます。加地伸行のことです。

宇都宮共和大学…朋の夫の呉泰俊が最初に赴任した大学です。当然架空の大学だと思っていましたが、実在する大学でした。なぜ、これだけが?

菰田崇…朋の先輩。岡山の大学に赴任しますが、「逆だ。同僚のセクハラを告発したが、学部じゃあもみ消そうとするばかりなんで、腹をたてて辞めた。」ということで、東京に舞い戻ってきます。小谷野敦自身がモデル?。セクハラした同僚は「上村」となっていますが、これは小谷野敦がしつこく攻撃を続けている大阪大学のヨコタ村上孝之のことでしょう。

茗渓大学「茗渓大学教授の黒沢由美が来ていて挨拶した。黒沢は四十三歳の若さで教授だった。私立では珍しいことではないが、茗渓のような名門では異例の抜擢だと言われていた。」茗渓大学は筑波大学のこと(蛇足ながら付け加えると茗渓会は筑波大学(前身の東京高師、東京文理大、東京教育大を含む)の同窓会です)。黒沢由美のモデルはいるのでしょうか?

稲門大学…当然、早稲田でしょう。

『君達!』…『諸君!』でしょうね(笑)。

《読書》安原顯『安原顯の乱聴日記』音楽之友社(その2)

2007-02-23 05:01:32 | 読書
(承前)

○同業者の悪口
CDの「解説」を見ると、岩浪洋三さんが書いている。彼の綾戸智絵評価は辛かった。ぼくと岩浪さんはしばしば会っているにもかかわらず、小林桂の話など、一度も聞いたことがない。要するに岩浪さんはジャズに飽き飽きし、嫌いになっているのだ。ならばこの業界から足を洗えばいいようなものだが、それでは食っていけない。そこで仕方なく、イヤイヤ「仕事として」やっているのではないか。しかし、岩浪さんはそれでもいいだろうが、現場で身体を張ってるプレイヤーたちは、たまったものではない。岩浪さんに「なぜ綾戸を認めないの?」と問うたところ、「ダイナ・ワシントンと比べると……」みたいなことを言っていた。これでは批評以前、何かを言ったことにはならない。つまり新人作家が出た折、「ドストエフスキーと比べると……」と批判するのと同じだからだ。嫌いならどこが、なぜ嫌いなのか、駄目というなら、具体的にどこが駄目かをきちんと書き、語ってこそ批評というものだろう。ましてや、不世出の大型新人が登場した場合、批評家のすることはただ一つ、良いところを見つけ、それを伸ばすよう進言することではないのか。昔からぼくは、ジャズ批評家の存在など、まったく認めていない。せいぜい趣味が高じ、人より多少ジャズを聴いているだけのご仁ばかりだからだ。(p.227)

 中山康樹『スイングジャーナル青春録』(経書房)は誉めてました。

 寺島靖国氏とは仲が良いようです。
『音の書斎』(音楽之友社)を持っている人は、もう一度、93頁~97頁を開いてみてほしい。彼の書斎が載っているからだ。モトヒロに言わせると、寺島宅の装置、この半年間で大幅に変わったとのこと。『音の書斎』を見れば分かるように、彼の書斎は本、LP、CD、10インチ、EPが所狭しと積み上げられ、帽子掛けには一本数十万円というオーディオ・ケーブルが無数にぶら下がってもいる。その部屋の中央に、スピーカーがどーんと据えられ(高さ1・4m、幅84cm、奥行80cm、重量200㎏)、二つのスピーカーの間にはフランス製JDFのモノーラル・アンプが二台(ペアで四八〇万円也!)、これまたどかーんと置かれているのだ。その二台のJDFを収めたラックもスピーカーの下に敷く台も、特注品で、値段はいうところの「時価!」らしい。しかし、この一〇〇キロもするラックを中央に置いたことで、低音がぐぐぐっと前面に出てきたと寺島さんは満足そうだった。
 スピーカーはレイ・オーディオRM-6V(ペアで三九六万円)だが、彼はその上に、さらにJEMのトゥイーターTS208を補足している。このトゥイーターも、ペアで一二○万円也!(しかしこれまた翌九八年には買い替えたとのこと)。それやこれやで、いま使っているシステムだけでも締めて約一〇〇〇万円という計算になる。そのスピーカーの右横にはアンプ群がずらりと並び、マーク・レヴィンソン№26Lは、もはや「お払い箱」とかで(モトヒロが密かに狙っているらしい)、現在はハンドメイドの特注プリアンプ「寺島モデル!」(むろん「時価」だが、最低でも一二○万円はするだろうとはモトヒロの言)を使用、CDプレーヤーはCEC TL1(四五万円)、D/AコンバーターはセータのDSPPRO BASIC(四八万円)とのラインナップである。さらに驚くことに、つい最近プリアンプとD/Aコンバーターを繋ぐケーブル(な、なんと、二本で一一〇万円![その後、九八年、二本で一二○万円のケーブルも買う!] 帽子掛けに無造作にかけられたケーブルの総額も、おそらく凄い値段になっているはずだ)を買ってしまい、音が断然良くなったと、ご本人は至極ご満悦の様子。この、あまりに個性的かつスケールの大きい装置というか「寺島靖国のオーディオ思想」を前に、ぽくは音を聴く前から、すでに口アングリ状態に陥ってしまう。(pp.15~16)

 ジャズ喫茶ってよっぽど儲かるんですかね。

○現代音楽好き
また、最初に買ったLPは一九五五年、ブーレーズ/シュトックハウゼン『ル・マルトー・サン・メートル/ツァイトマセ』、園田高弘の弾く『諸井誠/湯浅譲二のピアノ・ソナタ集』、ジャズは一九五八年の『チェット・ベイカー&ヒズ・クルー』と、六〇年の『クール・ストラッティン』だった。後者は輸入盤で、一枚三三〇〇円もした。(pp.94~95)

○あらすじ紹介
 「こんな面白い評伝、読んだことがない」(pp.117~126)では、早崎隆志『コルンゴルトとその時代-“現代”に翻弄された天才作曲家-』みすず書房 (1998)が紹介されていましたが、なんと延々8ページ以上にわたってあらすじが書かれているだけ。これはちょっとひどいんじゃないでしょうか。全般的にあらすじ紹介が多いです。

○五味康佑について
 「五味康佑を読み、久しぶりに心洗われる」(pp.73~79)では五味康佑について書かれていました。私も中学生の時、ちょっとオーディオに興味を持って、五味康佑『五味オーディオ教室』ごま書房(1976)を買って読みました。さすがに中学生には高尚過ぎました(^_^;)。

《読書》戸川昌士『進め!猟盤日記』ジャングルブック

2007-02-19 05:02:47 | 読書

●〔12〕戸川昌士『進め!猟盤日記』ジャングルブック 1998
(2007.02.14読了)〈2006307〉

○内容紹介
レアな中古レコードやら懐かしのおもちゃやらを掘り出しまくり、戸川の歩いたあとには草も生えないとの噂もある戸川昌士の「猟盤日記」の続編。せちがらい狩猟生活の随想集。
本書には余裕こいた道楽者の感想がない。助盤狩猟に大金をつぎこんでいる者の収集報告ではなく、狩猟生活のせちがらい随想集である。待望の第2巻 踊るおたくの目に泪。特別附録 テリー・ジョンスンの『匂い小僧』。

(unvollkommen)