ΓΝΩΘΙ ΣΑΥΤΟΝ-購書&購盤日記-

本やCDを買う日々の記録です。ツイッター:http://twitter.com/sr_azev

《読書》藤原正彦『古風堂々数学者』講談社

2006-10-31 05:47:29 | 読書

●〔83〕藤原正彦『古風堂々数学者』講談社 2000
(2006.10.20読了)
○内容紹介
覚えることより忘れないことの方が大切なときもある。自由なアメリカ、伝統のイギリスで暮らして見えてきた日本の良さ。理より情の数学者による教育論。

 市民図書館で借りました。いつものように面白く読めました。ただ、同じような主張の繰り返しや、重複がしばしば見られました。

○藤原正彦の思想的変遷(?)
 論理的に考えて正しいと思ったことを即座に実行する、というアメリカ方式が輝きの本質と分かっていたから、私もその方式を実行するようにした。当然ながら職場では始終あつれきを起こした。(中略)正々堂々と論戦し、そこで勝った者の意見が正しい、というのがアメリカ方式である。私が論戦で負けることはほとんどなかったから、自ら引こうとはまずしなかった。人日のひんしゅくを買っていたと思う。ある老教授に、「君はアメリカかぶれだ」と会議中に指摘されたこともあった。いつも闘争的だったから、私自身疲労を感ずることもあったが、矛盾のない合理的な世の中を理想として描いたのである。(pp.15~16)

 イギリス滞在が私にもたらした影響のうち、最大のものは何と言ってもアメリカ崇拝の崩壊であった。(中略)
 知らず知らずに私を支配していたそのアメリカが、兄弟国とも言えるイギリスでは徹頭徹尾、侮蔑され嘲笑されるのだった。(中略)帰国してしばらくした頃、年輩の教授に「一皮むけたようですね」と言われたが、以前の自分を思い大いにバツが悪かった。
 イギリスのアメリカを見る目は、一言で言うと若造に対するそれである。(中略)
 イギリス人は、富、繁栄、成功、勝利、栄光、名声などのもたらすものを、既に見てしまった人々である。だからそれらを求めて狂奔するアメリカ人を、無知な若造と嘲るのである。(pp.19~20)

 日本が合理精神と引きかえに、武士道精神や儒教を中核とする「かたち」を捨ててしまったのは、大きな損失であった。忠君とか切腹はともかく、素晴らしいものが山ほどある。(p.30)

 アメリカ的合理主義→イギリス的伝統主義→日本の武士道ということになるでしょうか(著書でいうと『若き数学者のアメリカ』『遥かなるケンブリッジ』『国家の品格』)。

○数学者のエピソード
数学における最高の賞、フィールズ賞を受賞したコーエン教授は、毎学期ことなる分野の講義をし、学期末にはその分野の論文を著すといわれる天才である。その彼が、問題をだれかに出されるといつも「これは簡単だ」と直ちに言うそうである。無論すぐに解けるとは限らないのだが、まずそう言って自分に気合を入れ問題に圧倒されないための勇気と楽観をふるい起こす。ひるむのはもちろん、悲観的であっても脳を全開しないからである。天才にしてそうなのである。(p.50)
 藤原正彦の真骨頂は数学に関するエピソードにあると思います。

○妻について
 とは言え、この上なく不細工な私がこの上なく美しい数学を追究し、草野球の三振王が巨人打線を批判し、女房が私を非難中傷軽蔑侮辱する、などに見られるように人間には「自分のことを棚に上げる」権利がある。この権利は人類発展の原動力でもある。本書ではこの権利を十二分に活用させていただいたことになる。(「あとがき」p.214)
 この種の軽口はしばしば見られますが、極めて共感できます(^_^;)。

《読書》村井康司『ジャズ喫茶に花束を-ジャズ喫茶店主九人が語る「ジャズの真実」-』河出書房新社

2006-10-30 06:00:33 | 読書

●〔82〕村井康司『ジャズ喫茶に花束を-ジャズ喫茶店主九人が語る「ジャズの真実」-』河出書房新社 2002
(2006.10.19読了)〈2006223〉
○内容紹介
真のジャズ喫茶好きである著者が、ジャズとジャズ・ファンへの愛情無辺のジャズ喫茶9軒を訪ね、店の雰囲気から店主のジャズ感、人柄までを余すことなくレポート! 店主が選んだ「好きなアルバム270枚」も見逃せない。

 紹介されているジャズ喫茶は以下の通りです。

・四谷 いーぐる
・藤沢 響庵
・吉祥寺 メグ
・梅田 ムルソー
・京都 YAMATOYA
・渋谷 メアリー・ジェーン
・新宿 サムライ
・一関 ベイシー
・高田馬場 イントロ


 ジャズ喫茶というものへ行ってみたいものです。
 枕上の書でした。

※画像は梅田・ムルソー

《買い物》2006.10.27 携帯電話(日立 W42H)

2006-10-28 04:41:25 | 買い物
ヤマダ電機テックランド福山店


・日立 W42H

 前に使っていたのは京セラのW21Kでしたが、バッテリが弱ってきたし、ちょうど2年が過ぎたので、機種変更をしました。私の場合は通話や音楽よりもメールやインターネットが中心なので、PCサイトビューアーがついているもので、一番安いものにしました。ポイントを使ったので、お金はかかりませんでした。いろいろと機能も豊富なのでこれから頑張って使いこなしていきたいと思います。←小学生の作文みたい(^_^;)。

《読書》大崎滋生・渡辺和彦【監修】『200CD ベートーヴェン』学習研究社

2006-10-27 05:28:05 | 読書

●〔81〕大崎滋生・渡辺和彦【監修】『200CD ベートーヴェン』学習研究社 2005
(2006.10.19読了)〈2006023〉
○内容紹介
ベートーヴェンの交響曲、ピアノ音楽、弦楽曲などを紹介する。各曲について解説し、推薦CDとそのディスク情報を掲載。いま聴いておきたい名盤や、ベートーヴェンとほかの作曲家たちの関係についても解説。
クラシック音楽の王道、ベートーヴェン。重たいイメージがあったが、昨今はベートーヴェン・ルネサンス現象が起こっている。ベートーヴェンを知ることでクラシック音楽の総体をより深く理解できるよう構成している。ベートーヴェンのイメージが変わる!

 「はじめ」にで、渡辺和彦が「いきなり奇妙な言いかただが、ベートーヴェンは「クラシック音楽のゴハン」である。」(p.4)と書いています。私にとってもこれは当てはまるようです。クラシック音楽を聴き始めてから30年近くになります。その時々でいろいろなマイ・ブームがありましたが(オペラだったり、ブル・マラだったり、バッハだったり(これは現在も継続中)、ショスタコだったり)、結局、ベートーヴェンは最後に帰って来るところかなという感じがあります。
 厠上の書でした。聴欲を刺激されました。

 ちなみに自分が持っているベートーヴェンの交響曲全集を数えてみると24種類ありました。いつのまにか集まっているもんですね。

・オットー・クレンペラー/PO
・アルトゥーロ・トスカニーニ/NBCso
・ジョージ・セル/CLO
・カール・シューリヒト/PCO
・朝比奈隆/新日本pso
・ヘルベルト・ケーゲル/ドレスデンpo
・エーリヒ・ラインスドルフ/BSO
・ヘルマン・シェルヘン/ルガノ放送o
・ブルーノ・ワルター/コロンビアso
・アンドレ・クリュイタンス/BPO
・ヴィルヘルム・フルトヴェングラー/VPO他
・ロイ・グッドマン/ハノーヴァー・バンド
・フランツ・コンヴィチュニー/LGO
・ヴォルフガング・サヴァリッシュ/ACO
・ミヒャエル・ギーレン/南西ドイツ放送so
・ヘルベルト・ブロムシュテット/シュターツカペレ・ドレスデン
・ヨゼフ・クリップス/LSO
・ラファエル・クーベリック/LSO他
・ゲオルグ・ショルティ/CSO
・ギュンター・ヴァント/北ドイツ放送so
・デイヴィッド・ジンマン/チューリヒ・トーンハレo
・ロリン・マゼール/CLO
・ウィレム・メンゲルベルク/ACO
・オイゲン・ヨッフム/LSO


 ほぼ、買った順です。

※画像はゲオルグ・ショルティ/CSOのもの

《読書》阿部謹也『読書力をつける』日本経済新聞社

2006-10-26 05:30:05 | 読書

●〔80〕阿部謹也『読書力をつける』日本経済新聞社 1997
(2006.10.18読了)〈1997024〉
○内容紹介
「読書」とは、ただ単に「書物を読む」ということにとどまらず、「人を読み、世界を読む」こととつながっている。読書という行為を通して、教養・哲学・歴史というものの考え方について語る。

 10年ほど前に買って、未読のままでした。阿部謹也追悼ということで読みました。
 阿部謹也の書く読書論だけあって、単なるハウツーではなく、学問をする意味は何か、読書をする意味は何か、といった本質に迫る問いに貫かれていました。そして他の書物と同様、通奏低音のように、「世間論」についても述べられていました。

○学問をする意味は何か。
文章を書くときに「この文章を書かなければならないかどうか」と自らに問うということです。「それを書かなくてもいい」ということがわかれば、書かないほうがよいし、書いてはいけないのだということです。そういうことをリルケのこの本によって知ったのは大学一年生か二年生の頃ですが、その後の自分にとって、決定的だったと思います。(p.10)

(上原専禄『ドイツ中世史研究』について)
 この序文に「生を捉ふるに学問の業を以つてせんとする、もとより迂遠ならずとは言ひがたいのである」という表現ではじまる一連の文章があります。
 「迂遠」とは、「遠回し」という意味です。つまり、「学問をする」ということは、先生によっては、「生をとらえる」ということであり、「自分が生きているということはどういうことなのか」「生きている意味は何か」ということをとらえたいと思う、しかしそれを学問を通じてやるということは、遠まわしでないとはいえない、と言っているのです。(p.12)

 当時、私は「もともとドイツ史をやらなければならない義理などない」と考えていたのですが、当時私がもっていた課題があって、「たまたまドイツ史をやっているに過ぎない」と自分に言い聞かせていました。それは「いかに生きるべきか」という問いで、当時も今もこの問いが私の研究の基礎にあるのです。ドイツの歴史学者たちもそういう問いはもっていたかもしれませんが、それが彼らのドイツ史研究と直接に結びついているとは考えていなかったように見えました。彼らはもっと単純に「自分の国の歴史であり、自分が選んだ研究だ。だから当然、意味があることだ」と考えていたように見えます。
 ところが私にしてみれば、極東の地にいる日本人でありながら、ドイツ中世の一部分の地域の歴史を勉強することにはいくつもの壁がありました。「なぜ?」と常に自分に問いかけながら、それを秘めて勉強をしていたわけです。ドイツ人に話しても、理解してもらえませんから。(p.161)


○古典とは。
ただ、本を読むとか、読書ということを考えるときに、今でも日本では、この「古典的教養」が常に重視されています。教師はすぐに「古典を読め」と言うのです。
 ところが古典は大変読みにくいものです。古典が書かれた時代は数百年以上も前ですから、その時代の社会や文化のあり方を知っていないと理解しにくいのです。そのため、古典を読み、理解できるようになるにはかなり時間がかかります。私自身も若い頃、古典を読まずに、解説書を読んでいた時期がありました。後ろめたい思いをしながら、解説書を読みましたが、そういうものを読んでも、古典が自分のなかで生きてこないのです。(p.94)

 マーク・トウェインも次のように言っています。
 「古典とは、だれもが読んでいたら、と願いながら、だれもが読みたいと思わぬところの本である。」
 "A classic": something that everybody wants to have read and nobody wants to read.


○弘法も筆の…。
 パピルスは漉いていませんから、紙とはいえないようなものでしたが、やがて中国で六世紀に漉かれた紙が生まれる。(p.51)

 紙は、一般的には、紀元後2世紀に中国の蔡倫が発明されたと言われています(本当はそれ以前からあったらしい)。西洋史の碩学も東洋史には弱かったのでしょうか。それとも蔡倫の紙は漉かれたものではなかったのでしょうか。

○上原専禄について
私は大学院に進んで、教職課程をとった関係で、その校長に「どこかに職がないか」と相談しに行ったのです。
 ところがそのときに校長は、次のようなことを言いました。私が師事していたのは前にも紹介した上原専禄という先生でしたが、「その先生にいるのはやめなさい。そういう先生についていたら就職なんてないよ」と彼は言ったのです。「それはどうしてですか」と聞いたら、「あの人は日教組の教師だ。そういう人のところにいてはいけないよ」と。卒業式で話したこととは全く違うことを言ったわけです。(p.113)


○その他
 あるいは飲み屋に行けば、にこにこしながら、そばにやって来て、「お前は日本人か。今度の戦争では非情に申し訳なかった。我々の方が先に負けた。この次は頑張ろう」とか、「日本人はパール・ハーバーで云々」などと言う。つまり、「日本人ならば、富士山、芸者」とか、型にはまったような言い方があるわけです。(p.130)

 「今度はイタ公抜きでやろう」ということでしょうか(笑)。本当にこういうことを言う人がいるんですね。

《読書》赤井三尋『翳りゆく夏』講談社文庫

2006-10-25 05:18:26 | 読書

●〔79〕赤井三尋『翳りゆく夏』講談社文庫 2006
(2006.10.14読了)〈2006201〉
○内容紹介
「誘拐犯の娘が新聞社の記者に内定」。週刊誌のスクープ記事をきっかけに、大手新聞社が、20年前の新生児誘拐事件の再調査を開始する。社命を受けた窓際社員の梶は、犯人の周辺、被害者、当時の担当刑事や病院関係者への取材を重ね、ついに“封印されていた真実”をつきとめる。第49回江戸川乱歩賞受賞作。

 前に『死してなお君を』を読んで、大変に面白かったので、著者のデビュー作にあたる本書を読みました。
 期待通りでした。ほぼ一気に読みました。やっぱりキャラがいいですね。それぞれの人物に存在感があります。
 ストーリーテリングも巧みで、冒頭から引き込まれていきました(ちょっと御都合主義的なところもありましたが)。最後はドンデン返し。
 前回読んだ『死してなお君を』は今から約50年前、本作は約20年前(と現代)を舞台にしています。そこにも惹かれるところがあります。

 今のところ、赤井三尋の長編はこの2作だけのようですが、新作を期待したいと思います。

《購盤》 2006.10.14 グルーヴィン広島駅前店

2006-10-24 05:50:18 | 購盤
グルーヴィン広島駅前店

◎至上の愛/John Coltrane
 1. Love Supreme (Acknowledgements/Resolution/Persuance/Psalm)
 2. Impressions
  ジョン・コルトレーン(TS)マッコイ・タイナー(P)ジミー・ギャリソン(B)エルヴィン・ジョーンズ(DS)
Castle Pie ¥819

 コルトレーンの「至上の愛」といえばまごうかたなき名盤ですが、これはちょっと正規盤とは違うようです。買った後で気付きました。


◎ハーフ・ノートのウェス・モンゴメリーとウィントン・ケリー・トリオ

 ウェス・モンゴメリー(g) ウイントン・ケリー(p) ポール・チェンバース(b) ジミー・コブ(ds)
ヴァーヴ ¥1,290



◎ヘレン・メリル・ウィズ・クリフォード・ブラウン

 ヘレン・メリル(vo)、クリフォード・ブラウン(tp)、ジミー・ジョーンズ(p)、オスカー・ペティフォード(b,cello)、クインシー・ジョーンズ(arr,cond)他
エマーシー ¥1,290



◎ア・デイ・イン・ザ・ライフ/ウェス・モンゴメリー

 ウェス・モンゴメリー(g) ハービー・ハンコック(p) ロン・カーター(b) グラディ・テイト(ds) レイ・バレット(per) ドン・セベスキー(arr,cond)他
A&M ¥1,134

 以上、『ジャズの名盤入門』で推薦されていたので。


◎ショスタコーヴィチ:交響曲第8番/ムラヴィンスキー

 ショスタコーヴィチ:交響曲第8番
  エフゲニー・ムラヴィンスキー(指揮)、レニングラード・フィルハーモニー交響楽団
Tower Records Universal Vintage Collection ¥609

 安かったので。


◎シューベルト:弦楽五重奏曲

 シューベルト:弦楽五重奏曲ハ長調D.956(作品163)
  アルバン・ベルク四重奏団 vc:ハインリッヒ・シフ
EMI ¥934

 最近、室内楽に興味があるので。

《購盤》 2006.10.14 アカデミイ書店金座街店

2006-10-23 05:08:32 | 購盤
アカデミイ書店金座街店


◎ゴールデン・サークルのオーネット・コールマン Vol.1

 オーネット・コールマン(as,tp,vn)、デヴィッド・アイゼンソン(b)、チャールズ・モフェット(ds)
ブルーノート ¥1,000



◎アウト・トゥ・ランチ

 エリック・ドルフィー(as,fl,bcl)、フレディ・ハバード(tp)、ボビー・ハッチャーソン(vib)、リチャード・デイヴィス(b)、トニー・ウィリアムズ(ds)
ブルーノート ¥1,000

 以上、『ジャズの名盤入門』で推薦されていたので。アカデミイ書店でCDが買えるとはラッキーでした。

《購書》 2006.10.14 アカデミイ書店金座街店

2006-10-22 06:01:16 | 購書
アカデミイ書店金座街店

●2006251,安原顯の乱聴日記,安原顯,,音楽之友社,,1999,¥700
 面白いかと思って。

●2006252,蒋介石の黄金,伴野朗,,角川書店,角川文庫,1985,¥105
 面白いかと思って。

◎実録 日本軍参謀の闘い-勝利獲得のため全能を傾ける参謀の実像-,居村真二・小林たけし他,,立風書房,,2002,¥550
 軍事物なので。