ΓΝΩΘΙ ΣΑΥΤΟΝ-購書&購盤日記-

本やCDを買う日々の記録です。ツイッター:http://twitter.com/sr_azev

《読書》小谷野敦『すばらしき愚民社会』新潮社

2004-12-31 09:23:04 | 読書

●〔81〕小谷野敦『すばらしき愚民社会』新潮社 2004
(2004.12.30読了)
・いわゆる大衆社会論かと思っていましたが、それだけでなく様々な問題について論じてありました。引用・言及している書物は非常に多岐にわたっており、著者のめくるめく博識さを感じました。

・バカをはっきりとバカと言えることは大事なことだと思いますが、常に「ΓΝΩΘΙ ΣΑΥΤΟΝ(汝自らを知れ)」と己に問い、場合によっては「無知の知」を自覚することも大切だと思います。

現在の大衆社会が、それまでのものとは異なるのは、以前は「バカが大学へ入っている」という程度で済んでいたものが、「バカが意見を言うようになった」点である。(p.109)

・著者はインターネット上の言論に批判的ですが、このブログもまさに「バカが意見を言うようになった」ものになるんでしょうか。

・「たとえば、いま、評論のような書物の価値を購入前に確認しようと思ったら、活字メディアよりアマゾンでの読者レビューを参考にしたほうが信用できる。」(p.110)とありますが、この本の読者レビューを見てみると……。

・宇佐美寛の『大学の授業』東信堂(1999)に次のような文章があります。

私はこのような学生による授業評価という方法には、かなり批判的である。(中略)今の学生にはそんなことをする資格が無い。評価するほど成長・成熟している人間ではない。評価させると「自分にはこの授業を評価する能力・資格が有るのだ。」という誤った思い上がりを生じさせる。(p.139)

 宇佐美寛は千葉大学名誉教授(教育学)です。

・呉智英は「覚悟を持った嫌われ者 小谷野敦『すばらしき愚民社会』」(『波』2004年9月号)で次のように述べています。

書名の『すばらしき愚民社会』は、むろん、オルダス・ハックスレーの逆ユートピア小説『すばらしき新世界』から取られている。『すばらしき新世界』という題名は、むろん、シェイクスピアの『嵐』の中のミランダの科白から取られている。これぐらいのことは、知識人なら一般教養としてむろん知っていなければならないし、東京大学など一流大学の英文科の学生なら、自分の専攻分野のことだから、むろん知っているはずである。

 ハックスレーの『すばらしき新世界』までは知っていましたが、さらにその出典がシェイクスピアにあることは知りませんでした。

・ちなみに、今年大ヒットしたセカチュー(「世界の中心で、愛をさけぶ」)の題名の出典(?)はハーラン・エリスンの『世界の中心で愛を叫んだけもの』(ハヤカワ文庫)ですが、果たしてどれだけの人がこのことを知っているのでしょうか。

《読書》平林直哉『クラシック100バカ』青弓社

2004-12-31 06:53:20 | 読書

●〔80〕平林直哉『クラシック100バカ』青弓社 2004
(2004.12.30読了)
・著者の言うことがすべて当たっているかどうかは別として、面白い本でした。
・「BAKA005 廉価盤をパラダイスだと勘違いするバカ」というのがあり、自分のことかと思ってドキッとしました。
・「BAKA025 ファンをバカにしている音程評論家」という項で、音楽評論家の渡辺和彦氏を徹底的に叩いていましたが、何か個人的な恨みでもあるのでしょうか?
・音楽関係で同じような本に、高城重躬『オ-ディオ100バカ-新しいオ-ディオの考え方-』芸術現代社(1981)があります(ちょっと古いけど)。


※許光俊 「平林直哉がここまでやった!~『クラシック100バカ』」


《購書》 2004.12.27 廣文館福山サントーク店

2004-12-31 06:12:58 | 購書
廣文館福山サントーク店

●『落語ワンダーランド-お悩み別作品ガイド100席&古今東西の噺家100人以上登場!』ぴあMOOK 2004 (¥2,415)
 カタログ的情報が豊富で、有益でした。CD付き。

●唐沢なをき『新・電脳なをさん』(1)アスキー 2004 (¥1,029)
 Apple社やマックを巡る時事ネタに、古今東西の漫画・アニメ・特撮・テレビなどのオタクネタをクロスオーバーさせた漫画を毎週くりひろげています。パロディの極北というか、too deep。
 藤子不二雄A「まんが道」のパロディである「まっく道」は前から好きでしたが、今回は同じく藤子不二雄Aの「劇画・毛沢東伝」 まで登場して、思わず感動してしまいました。

 世の中には奇特な方がいて、元ネタリストを作成して下さっています。
◎新・電脳なをさん」第1巻元ネタリスト
vol タイトル   元ネタ
308 宇宙侵略漫画 佐藤肇「吸血鬼ゴケミドロ」(松竹)
309 村祖俊一漫画 村祖俊一「」
310 暗黒未来漫画 山上たつひこ「光る風」
311 祝初連載漫画 藤子不二雄A「まんが道(あすなろ編)」
312 千葉県民漫画 「ジャガーファイト」(千葉テレビ)
314 地底大陸漫画 「ファイヤーマン」(日本テレビ)
315 戦争反対漫画 中沢啓治「はだしのゲン」
317 恐怖未来漫画 手塚治虫「」
318 野獣咆哮漫画 武論尊・平松伸二「ドーベルマン刑事」
319 栄枯盛衰漫画 「ウルトラマン」(TBS)より「怪獣墓場」
320 怪奇犯罪漫画 「怪奇大作戦」(TBS)
321 公開録画漫画 「ハッチャキ!!マチャアキ」(日本テレビ)
322 古代文明漫画 手塚治虫「三つ目がとおる」
323 猫科動物漫画 「豹マン」(フジテレビ)
324 模型講座漫画 ふじたゆきひさ「プラモのモ子ちゃん模型講座」
325 悪魔往来漫画 古賀新一「エコエコアザラク」
326 秘境怪獣漫画 本多猪四郎「大怪獣バラン」(東宝)
327 全面広告漫画 [][]
328 青春立志漫画 藤子不二雄A「まんが道(あすなろ編)」
329 天才登場漫画 藤子不二雄A「まんが道(あすなろ編)」
330 緊褌一番漫画 藤子不二雄A「まんが道(あすなろ編)」
331 黒猩々的漫画 「チンパン探偵ムッシュバラバラ」(NET)
332 天才活躍漫画 「超人バロム1」(よみうりテレビ)
333 慈愛感傷漫画 小津安二郎「秋刀魚の味」(松竹)
334 鼠大回転漫画 「スケバン刑事」(フジテレビ)
335 酒肴工夫漫画 「ヨーヨーの猫つまみ」(日本テレビ)
336 最薄極薄漫画 古賀新一「エコエコアザラク」
337 湊谷夢吉漫画 湊谷夢吉「魔都の群盲」
338 増村点描漫画 ますむらひろし「霧にむせぶ夜」
339 機械融合漫画 諸星大二郎「生物都市」
340 難民氷結漫画 星野之宣「はるかなる朝」
341 大型小型漫画 [][]
342 両雄激突漫画 本多猪四郎「キングコング対ゴジラ」(東宝)
343 純愛乙女漫画 みつはしちかこ「小さな恋のものがたり」
344 信徒之友漫画 永田竹丸「おにいちゃん」
345 特殊性癖漫画 「ヨーヨーの猫つまみ」(日本テレビ)
346 怪奇体験漫画 [][]
347 少女変身漫画 赤塚不二夫「ひみつのアッコちゃん」
348 生産中止漫画 つげ義春「」
349 副大統領漫画 「マグマ大使」(フジテレビ)
350 冒険少年漫画 山川惣治「少年ケニヤ」
351 太古動物漫画 山川惣治「少年ケニヤ」
352 民族交流漫画 藤子・F・不二雄「ジャングル黒べえ」
353 社会福祉漫画 「愛は地球を救う」(日本テレビ)より「バンダーブック」
354 科学捜査漫画 「ロボット刑事」(フジテレビ)
355 時間操作漫画 「スーパージェッター」(TBS)
356 偉人伝記漫画 藤子不二雄A「劇画・毛沢東伝」
357 八十四年漫画 橋本幸治「ゴジラ」(東宝)
358 伝説復活漫画 倉田準二「恐竜・怪鳥の伝説」(東映)
359 池田憲章漫画 「サンダーバード」(NHK)
360 山田太郎漫画 水島新司「ドカベン」
361 動物活躍漫画 「キューティーハニー」(テレビ朝日)
362 魔獣対決漫画 「サンダーマスク」(テレビ朝日)
363 巨大鉄人漫画 「大鉄人17」(毎日放送)
364 山奥修行漫画 「愛の戦士レインボーマン」(テレビ朝日)
365 銭金大事漫画 「マネーの虎」(日本テレビ)
366 下品下品漫画 藤子不二雄A「まんが道(立志編)」
367 人形地獄漫画 [][]
368 残酷復讐漫画 [][]
369 昆虫生活漫画 マックス・フライシャー「バッタ君町へ行く」
370 宇多田夫漫画 「新造人間キャシャーン」(フジテレビ)
371 恐怖変身漫画 手塚治虫「バンパイヤ」
(「はてなダイアリー 「電脳なをさん」を含むキーワード」より)

《購書》 2004.12.26 古本市場曙店

2004-12-29 07:37:06 | 購書
古本市場曙店

●窪徳忠『道教百話』講談社学術文庫 1989 (¥210)
 知的興味関心から。

●21世紀研究会 (編)『常識の世界地図』文春新書 2001 (¥105)
 知的興味関心から。安かったし。

●大崎裕史『無敵のラーメン論』講談社現代新書 2002 (¥105)
 ラーメンが好きなので。安かったし。

●ミヒャエル・エンデ(作)上田真而子・佐藤真理子(訳)『はてしない物語』岩波書店 1982 (¥105)
 学生時代に読みました。子どもにも読んでもらいたいと思って買いました。安かったし。

●A. クリスティ (著)百々佑利子(訳)『ABC殺人事件』ポプラ社文庫 1986 (¥63)
 息子(小4)が欲しがったので。

《購書》 2004.12.25 啓文社ポートプラザ店(その2)

2004-12-28 15:12:21 | 購書
啓文社ポートプラザ店


●美内すずえ『ガラスの仮面』(42)花とゆめCOMICS 2004 (¥410)
 天災は忘れた頃にやってくる。(by 寺田寅彦)
 書店の平台にこの本を見つけた時にはぶったまげてしまいました。美内すずえ先生はすっかりあちらの世界に行ってしまわれたものと思っていました。
 読んでみたら中身は普通の『ガラスの仮面』でした。

《購書》 2004.12.25 啓文社ポートプラザ店(その1)

2004-12-28 15:03:30 | 購書
啓文社ポートプラザ店


●目黒考二『笹塚日記 親子丼篇』本の雑誌社 2003 (¥1,680)
 『笹塚日記』を読んで面白かったので。

●小谷野敦『すばらしき愚民社会』新潮社 2004 (¥1,365)
 勢いで。

●内田樹『寝ながら学べる構造主義』文春新書 2002 (¥725)
 知的興味関心から。

●井上章一&関西性欲研究会『性の用語集』講談社現代新書 2004 (¥903)
 「関西性欲研究会」というのが凄いと思いました。

●花村萬月『父の文章教室 』集英社新書 2004 (¥714)
「早世した父から受けた、狂気の英才教育の記録。」という帯の文句につられて。

●小林まこと『格闘探偵団』3(イブニングKC) 2004 (¥540)
 『1・2の三四郎』→『1・2の三四郎2』と読んでます。

《読書》小谷野敦『中学校のシャルパンティエ』青土社

2004-12-24 05:49:41 | 読書

●〔78〕小谷野敦『中学校のシャルパンティエ』青土社 2003
(2004.12.23読了)
・音楽的にはあまり深いものではありませんが、いつもの“小谷野節”で面白く読めました。内容紹介に「珠玉の音楽エッセイ集成」とありますが、看板に偽り無しと言ってもよいかと思います。
・小林秀雄の「モオツアルト」について述べた件にピアノ五重奏曲云々とでてきますが、これは弦楽五重奏曲の間違いです(Amazonの著者からのコメントでは訂正されていました)。他にも映画「アマデウス」でピアノ協奏曲第24番がBGMとして使われたとありますが(p.95)、これはピアノ協奏曲第20番では。また、「星条旗よ永遠なれ」がアメリカの国歌と書かれていますが(p.199)、これも違うと思います。
・著者は私と同年生まれなので同時代的に共感できるエピソードがいくつか出てきました。たとえば、「ウルトラセブン」の最終回でシューマンのピアノ協奏曲が使われた話など。くらもちふさこの「いつものポケットにショパン」も懐かしいです。
・表題作は著書が中学校へ教育実習に行った時の思い出ですが、東大生が教育実習で来ると、指導教員はさぞかし大変かと思います。