●〔79〕松本仁一『カラシニコフ』朝日新聞社 2004 (2005.10.24読了)
朝日新聞に連載したものをまとめた本です。新聞連載中も読んでいましたが、面白かったので本も買いました。印象に残ったのは、カラシニコフ(AK47)自動小銃の優秀さとアフリカの「失敗国家」です。
カラシニコフの優秀さは、まさにシンプル・イズ・ベストを体現していることでしょう。できた時からすでに完成しているので何十年たっても改良の余地がない。まるでホンダのスーパーカブみたいですね。ゴルゴ13にもカラシニコフ vs M16(ゴルゴ13が使用)の回がありました。
アフリカの「失敗国家」は独立後、国家の態をなしていない国家のことです。読んでいて救いようのない暗澹とした気持ちになりました。なまじ植民地から独立したことが悪かったのか、それを言うなら植民地にしたことが悪かったのでしょうが、しかし、どうすればクーデタと政府の腐敗の悪循環から脱却できるのでしょうか。
喜多は「失敗した国家」と「そうでない国家」を分ける基準について、「明確で分かりやすい物差しがふたつあります」といった。
ひとつは「警官・兵士の給料をきちんと払えているか」だ。(中略)
もうひとつの物差しは「教師の給料をきちんと払っているか」である。(pp.177-178)