●〔11〕保阪正康『歴史を動かした昭和史の真相200-激動と波乱の時代の真相を抉る!-』日文新書(日本文芸社) 2003 (2006.02.22読了)
厠上の書。昭和史のできごとが、1ページ乃至2ページにコンパクトにまとめられていました。新たに知ったできごとというのはほとんどありませんでしたが、いろいろ確認することができました。レファレンスブックとして便利な本だと思います。
入船亭扇遊と柳家小ゑんは、前座のころ、浅草演芸ホールで三日連続、大看板の三遊亭円生をしくじった。
一日目=前座の小ゑんが、円生の出番の際、高座に白湯を出すのを忘れた。
二日目=小ゑんが白湯のつもりで、お茶を出した。
三日目=「今度はオレがやる」と立前座との扇遊。ちゃんと白湯を出したけれども、そのことだけに気をとられ、メクリが「三球・照代」のまま……。
その時、円生は浅草と池袋演芸場の掛け持ちだった。扇遊が池袋の楽屋に電話をかけ、「円生師匠、何か言ってた?」と前座仲間に尋ねると、円生は楽屋入りするやいなや「浅草の前座、あれはオヤオヤだ」と言ったという。(pp.53~54)
「実戦派の雄」とされる二人には「信念の人」「求道派」、「根性(ガッツ)の人」といった形容詞がつけられるが、どれも、今一つピッタリした感じがしないのは、二人の存在が大きすぎるためといえよう。強いて二人の本質を一言に要約すれば「盤上の先達」になるのではあるまいか。(p.218)