すれっからし手帖

「気づき」とともに私を生きる。

この春、中一になる甥っ子へ。

2015-02-27 12:19:53 | ひとりごと
川崎の中一殺害事件がどうしても気になっています。この春、甥っ子が中一になるので余計にかもしれません。その甥っ子に伝えたいことがあって、文章にまとめてみました。春休みに会うので、その時のためのメモです。


甥っ子君へ

春がやってきたら、いよいよ中学生だね。君の学生服姿、おばさん、楽しみだな。とっても似合いそうだ。

改まってなんなんだけど、君が中一になるにあたって、おばさんから伝えたいことがあります。

川崎で中一の男の子が殺された事件は知ってるよね?君は、あの事件で何を感じたかな?何を考えたかな?

実を言うと、あの事件のこと、殺された男の子のこと、が、最近おばさんの頭のかなりの部分を占めています。

男の子の笑顔いっぱいの写真を見ると、男の子の魅力的な人となりが伝わってくるよね。ニュースから伝わる少ない情報だと、明るくて、クラスの人気者で、スポーツ万能で、人懐こくて、集団の中にいると一際目立つ存在だったみたいだね。

小学校生活を送った島根県の島の友達や校長先生からのコメントを聞くと、男の子がどんなにかたくさんの人から親しまれ可愛がられていたかがわかります。


君には少し迷惑かもしれないけれど、おばさんには、この男の子が、どうも君と重なってしまって、胸のざわつきを抑えられません。

君がこの春、男の子と同じ中一になるというだけじゃなくて、集団の中での男の子の存在感と君の存在感の種類が何だか似てる気がしてね。

君が男の子みたいに事件に巻きこまれる可能性なんてまずないんだけど、でも、
少しだけ、耳を傾けて欲しいんだ。

君は、大人のおばさんですら羨ましくなるような数々の素晴らしい資質を持っている人です。

勉強も運動も万能で、ゲームやらせても、スポーツやらせても、簡単にマスターしてすぐに抜きん出てしまう。クラブのキャプテンや児童会長のほか、小学校では色んなリーダーもこなしてきたよね。ひょうきんで、いたずらも大好きな君は、自他ともに認める人気者でした。

ところでさ、君の友達がそんな君を見る目について考えたことはある?みんな、君のことどう思ってるんだろうね。「楽しいから好きだ」「いっつも前に出て羨ましい」「何でもできて憧れる」「僕だって捨てたもんじゃない」「別に何とも思わない」みたいな感じかな。

君ほど学校で目立つ存在だと、多分嫉妬みたいな感情を持つ友達はいるだろうけど、でも今の君の友達は、みんな正しい方法でその嫉妬を消化できる友達なんだろうね。君が嫌な思いをしていないところを見ると、きっとそうなんだろう。

君のお兄ちゃんも、嫉妬とは違うかもしれないけれど、常に君の凄さを目の当たりにして育ってきたんだから、弟が自分にはないものを持っているヤツだ、という認識の仕方はしていそうだね。でも、君のお兄ちゃんは、そんな君のことをいつも「コイツ、すげー」って口癖のように言うから、君のことが好きだし、君を誇りに思ってるのがわかる。

君は、もしかしたら、それだけ目立つヤツなのに人に嫉妬させない能力も持っているのだろうか。だとしたら、あっぱれだ。


たださ、中学校に行くと、今よりももう少し社会が広がる。楽しい、面白い、個性的な友達との出会いが増える一方で、想像を絶する環境で育ってきた子達、色んな傷を抱えている子達との出会いも増えると思うんだ。

そういう子達から学ぶことがあったら多いに学んで欲しい。傷をうまくバネに変える生き方をしている子は、本物のカッコイイヤツだからさ。

でも、中には、君が直接何かをしなくても、君みたいな眩しい存在に勝手に傷ついてしまう子がいるかもしれないんだ。それに、君に嫉妬を感じたときに小学校の友達のように正しい仕方ではなくて、「君を傷つける」というやり方で君と関わろうとする子もいるかもしれない。

おばさんは、学校ではフツーの子供だったから、君みたいに、存在自体が派手で目立つ人の気持ちは実はよくわからないけど、目立たない側の目立つ人に対する複雑な気持ちは何となく想像できる。自分が直接には体験してない気持ちでも、人生の中でいろんな人の気持ち触れる体験をしてきたからね。そういうのはね、大人の世界には、もう当たり前にあふれている気持ちなんだよ。

大人になると、そのごまかし方もだいぶうまくなるものだけど、これから君が迎える思春期という時期は、傷を抱えた子の傷がよりむき出しになって、でも自分ではなんともできなくて、その傷を他人を傷つけることで晴らそうとする子もいると思うんだ。

これは、偏った考えかもしれないけれど、集団の中では、その矛先が目立つ人と弱い人に向かいがちなんだよね。

君は、間違いなく、中学校でも目立つ人の1人にはなるだろうから、おばさんは君のそんなところを誇りに思う反面、心配にもなるんだよ。多分、おばさんの心配症のせいなんだけどね。

君にお願いしたいのは、傷ついている子達を劣った子達だとは思わないで欲しいってこと。その上で、どうも違うな、怖い子だなって思ったらきちんと距離を置くってこと。その子の傷に気付いた時には、その傷に絶対に触れないでいてあげる事も忘れないでほしいんだ。

小学校の時みたいに目立つようなことしたらダメ、って聞こえたかな。そうじゃないんだ。

中学校になったら、君が君らしくいられる生き方はそのままでいいから、目立つ人として存在する君が誰かを傷つることがあるかもしれないな、ということに少しだけ思いを馳せてほしい。自分のふるまいに少し意識を向けてほしい。難しい宿題だけど、器用な君ならそれもできるよ。

傷つきやすい人というのは、ほんの少しのことにとっても敏感だからね。ほんの少しのことが、君を守るような気がするんだよね。

そして、万が一なんだけど、自分が明らかに傷つけられてる、と恐怖を感じることがあったら、その感じをごまかさないで欲しい。君が恐ろしい、と感じる程度のことは、君ひとりの手に負えることではないし、君の落ち度とは無関係なんだから。

恐ろしことをする人の言葉には、絶対に耳を貸してもいけない。脅し文句や弱虫呼ばわりしても、そんなの嘘だから反応しちゃダメだ。

そういうことは、大人に投げてください。お母さんに投げてください。信頼できる大人に投げてください。

大人のいいのはね、解決方法をたくさん持っているということ。自分が持っていなくても、持っている人を探して相談できるってことなんだ。

君のお母さんは、君の言葉をきちんと聞いて、解決方法を探せる人です。君を誰より愛しているから、絶対に君の悪いようにはしないよ。

思春期で、お母さんに話せないって気持ちが強かったら、おばさんを思い出してくれたら嬉しいな。

おばさんは、逃げるのが大得意で、要所要所で怖いことから辛いことから逃げてきたんだ。それで結果、悪くない人生を送ってるんだから、逃げることが悪くないことを知り尽くしている大人です。逃げたくなった時には、存分に知恵を貸すよ。ほんとだから。


君の晴れがましい中学校入学という節目の時に、ずいぶん水を差すようなことを言ってしまったね。気を悪くしたらゴメン。おばさん、書きながら気持ちが落ち着いたよ。それで、なーんだ、君は大丈夫って思えてきたよ。

うん、君は大丈夫だ。


君の中学生活に、幸あれ!


おばさんより




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