集合時間にちょうどよい電車に乗って二駅め、乗降中に男の大声がホームから聞こえてきます「まった、まった」
ドアを閉めるなとの合図らしく、なかなか発車しません。
隣の車両のドアの前に何人かが集まって立っています。
だれか落ちたか。
警報で駅長さんも駆けつけ、警報装置の音を止める操作をしています。
音より落ちた人を何とかするのが先ではないのかなあ。
そのうちに子供の泣き声、それがホームからです。
引き揚げられて泣き出したのでしょうか。
それとも、一緒にいた子が落ちて上がれないので泣き出したのでしょうか。
様子を見にホームに出ようとすると、「鞄が落ちて、拾い上げましたから、間もなく発車します」と駅長さん。
なんだ、鞄か、とつい口の中でつぶやきます。
そのあとは何ごともなかったかのように走り出し、遅れた理由を「線路に鞄が落ちたため」と車内放送。
その次の駅を過ぎてからは、遅れの原因を「安全確認を行ったため」と放送。
知らせる必要のある事実だけを伝える心遣いの好さに感心しました。
遅れを取り戻そうと、通常より走行もやや速めです。
乗り換え駅のホームの反対側に待っていた各駅停車の電車も、いつもとは違って、乗り終えたら待ち時間なしですぐ発車。
遅れずにすんで、やれやれ。
あとから考えてみると、落ちたのが鞄なら、電車を出した後で拾ったほうが早くて安全だったのかもしれません。
それとも、乗ろうとしたときに落としたのなら、落とした人をその電車に乗せてあげたいと思ったのか。
心遣いとは、どういうことなのでしょう。
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