良書を読む、これはだれもが望むことでしょう。
わざわざ悪そうな本を探して読むのは、とくに目的があってのことか、あるいは悪ぶりを気取るついでに、読む本までという変わった人の場合です。
本の中でも、辞書の類はまっすぐ素直な知識を身につけるためにだいじなものです。
中学校の国語の授業で、最初の宿題は、本屋に行っていちばんよさそうな国語辞典を探してきなさいというものでした。
国語辞典で有名なのは広辞苑で、第7版が今月出版されました。
国語辞典で外国のことを記述する場合、その国自らの表明なしに国の存在が変わったかのように書くことは許されないでしょう。
ところが、新しい広辞苑では、台湾という一つの国が中国の一部であるかのように書き変えられそうになったという話を聞きました。
辞書の類は、版を重ねるごとに、新しい言葉が加わったり、説明に修正が加えられたりして、良くなっていくものと思っていましたが、そうでもなさそうです。
六法全書は有斐閣のものが有名です。
しかし、日本の主要な六法典と関係法令を収録した六法全書の「憲法」の部の冒頭に、なぜか「アメリカ独立宣言」が掲載されています。
これらの編集方針を見たとき、この本が良書といえるのかどうか、疑問がわいてきます。
有名な本が良書であるというごく素直そうなことも、残念ながら妄信の仲間入りをしているようです。