何かがちょっとうまくいくと「恩返しができました」と、謙遜ぶった自慢話をする人をときどき見かけます。
その人は、「おかげさまで」と同じぐらいの感じで言っているので、もちろん高慢の表れではないのです。
この定型句が、人により場合によって可笑しく聞こえるのは、恩着せがましい恩返しは恩返しのうちに入らないからでしょう。
有言実行という裏駄洒落が表通りで使われると珍妙に聞こえるように、することであって言うことではない「恩返し」も、ことあげの高座にまつり上げられると、居座って悪い気持がしないのかもしれません。