笹子トンネルの天井板は、なぜつながって落ちたのかといぶかっていたが、なんと、板どうしをご丁寧に溶接でつなぎ合わせてあったという。
つないでおけば、たしかに1枚1枚がばたばたすることはない。
大型車が進入したとき、バタンと大きな音が天井から響き渡らないようとの配慮のつもりが、逆目に出た。
支え合うためには、お互いが地についていなければならない。
地についていなければ、支え合いにはならず、ぶら下がりでしかない。
ぶら下がり構造は、どこかが壊れれば、芥川の「蜘蛛の糸」のようになる。
笹子も猿橋も山梨にあることに因縁はないと思うが、猿橋は、ぶら下がり構造を巧みに応用した例である。
あの猿橋にしても、支えるところはしっかり何重にもなっている。
しかも、人の渡る橋は、そのときだけしか余分な力は加わらない。
風が吹いても、連日連夜ということはない。
24時間振動が絶えない高速道路のトンネルは、まったく条件が違うのだ。
互いに繋がっていてくれるという、都合のよいことだけ考えるとよくない結果を招くことになる。
壊れ方をうまく考えた設計こそ、優れた構造物設計と言えると思うのだがどうだろうか。