横綱の土俵入りに新入幕力士が露払いの役に抜擢された。
役の名からすれば、通り道の濡れた草の露を払いながら先導するのは下っぱ役のようにも聞こえるが、横綱が引退した断髪式には、現役の横綱が二人以上いるときは、その現役横綱が太刀持ち露払いをするそうだから、相撲の世界では名誉な役割に違いない。
横綱と、いつも露払いをつとめる力士が対戦する日や、いつもの太刀持ちと露払いが対戦するときには、ほかの力士にさせなければならない。
露払いの指名権は横綱にある。
大銀杏が結えない力士はさせてもらえない新入幕の露払い。
横綱の目に留まってつとめることになったのだろう。
意気込みもおのずから高まり、大きく育つ要因になる。
指名したほうの横綱の眼力、度量を買いたい。
大臣や大使の任命に、たびたび失敗する人との違いが気になる。
ただ、この新進力士、気鋭が高ぶってか、立合いに手をつかないことがある。
本人はそれに気づいていないのかもしれない。
露払いには、先導としての周囲への気配りが必要なのだが。
まだ自分の露が払いきれてないようである。
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