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(旧:アヴァンの物語の館)ギリシア神話的世界観で人魚ナオミとヴァンパイアのマクミラが魔性たちと戦うファンタジー的SF小説

第三部闘龍孔明篇 第9章—1 アストロラーベ対さかさまジョージ

2018-12-14 00:00:00 | 私が作家・芸術家・芸人

 アストロラーベは、3つ首ドラゴンを操った。サラマンダーの血を引く弟妹たちに、炎を使った攻撃をしても何も心配はいらない。
 だが、今やトリックスターとなったさかさまジョージと対峙するには・・・・・・念には念を入れておかねば。
 蛇こそ神導書アポロノミカンを作った「癒やすもの」アスクレピオスの使い魔だった。死者を蘇らせる秘術を行使するために、彼はいつも蛇が巻き付いた杖を持ち歩いていた。それは、冥主プル—トゥが持つ輪廻の蛇二匹がからみつく杖を模したものであった。
 蛇は呑み込み、脱皮をするが、それは生命再生の象徴であった。
 アポロノミカンを精神世界で見せられて、魔神スネールと合体したさかさまジョージには、何かしらアスクレピオスの力が宿っていると考えた方がよい。
 油断は大敵と気を引き締めると、アストロラーベは呪文を唱え始めた。

 地上の精霊たちよ
 我が呼びかけに答え
 とらわれの身のスカルラーベとマクミラを救う手助けをするがよい
 さすれば必ずや冥主のご加護を賜るであろう
 獲物を求める青き炎の3つ首ドラゴンよ
 我が呼びかけに答え
 燃える2つの首を輪廻の大蛇の首に絡みつかせるがよい
 バレンタイン・ナイトの冷気が獲物の血潮の熱を奪う刻
 残った首は輪廻の蛇の輪廻を断ち切るがよい
 ウロボロスは新たな輪廻の蛇となるがよい
 そしてコールド・デー・イン・ヘルが訪れる
 
 3つ首ドラゴンは、叫び声を上げるとさかさまジョージに向かっていった。ドラゴンの3つの首が大蛇となったトリックスターの首に絡みついた。
「ケケケッケッケ、い〜ね。青い炎。マクミラ姉ちゃんの出せる炎は、たしか摂氏三千度だった? 色男兄貴は、髑髏兄貴の九千度には負けるけど、六千度の炎を出せるんだっけ。だけど、いつまでもこのままじゃ、ボクの身体も燃え尽きちゃう。ちょっと本気出させてもらおうか」
 いうが早いか、さかさまジョージは脱皮した。古い皮をスルリと抜け出した大蛇は、青い炎の3つ首ドラゴンをアングリと大口を開けて呑み込んでしまう。
 バカな、六千度の炎を呑み込んでしまえば内部から燃え尽きてしまうぞと、アストロラーベが思った瞬間。ふくらんださかさまジョージの腹がへこんで、3つ首ドラゴンが消化されてしまった。

     


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