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(旧:アヴァンの物語の館)ギリシア神話的世界観で人魚ナオミとヴァンパイアのマクミラが魔性たちと戦うファンタジー的SF小説

第三部闘龍孔明篇 第9章—3 アフロンディーヌとの再会

2018-12-21 00:00:00 | 私が作家・芸術家・芸人

(気の迷いではございませぬ、軍師様)思念を放ってきたのはかつての婚約者アフロンディーヌの霊体だった。
 人間界では思念の使えないはずのアストロラーベがつぶやく。(こんなことが・・・・・・いったい我はトリックスターの魔術にかかっているのか?)
(そう思われるのもムリはございませんが、私も海神界最高位の巫女。およそ神殿と名の付く場所なら、霊体を送り込むことくらいはできます。神殿は人間界においては、思念を通じてコミュニケーションを取るためのサーバーの役目を果たします)
(そうだったのか。たしかに、神殿に巫女はつきものだな。アア、この波動に間違いはない。さかさまジョージも最後に粋な計らいをしてくれたことになる。死ぬ前に美しき巫女に再び会えてもう思い残すことはない)
(思い残すことはないなど、軍師様とも思えぬセリフ。こんな死に場所で悔いは本当にないのですか?)
(確かに・・・・・・まだ死ぬわけにはいかぬ。軍師たるもの闘いを率い、闘いの中でこそ死に花を咲かせられるというもの)
(その通りでございます。今は神殿の力によって思考能力を奪われているだけ。「操るもの」に戻って準備していてください。しばらくすればペルセリアス様が助けに来てくれます)
(ペルセリアスが?)
(今は、堕天使ダニエルという名になっておりますが、さらなるご進化の刻がもうそこまで来ております)
(分かった。将軍殿とマクミラを捜して、ここを抜け出す準備をしよう)
(それでこそ軍師様。私が愛したお方・・・・・・)
 アストロラーベが微笑みを浮かべているのに、アフロンディーヌは気づいた。(何か、おかしいことが?)
(美しき巫女よ、もう二度と会うまいと思っていたが、しばらく会わぬうちに強くなったものよな)
(私などのことより、どうか究極の予言をお忘れ無きように。

 道化師(clown)が冠を抱くもの(crown)に変わり
 十三の白きものと黒きものが一つになる刻
 切り裂かれた天使が純粋な悪を生み出し
 緑の霧を巡る兄の子等と弟の軍団の闘いの
 幕が切って落とされる
 マーメイドとヴァンパイアの縛めが魔術師によって解かれ
 生きるために愛し合うことを求める者たちと
 生きるために殺し合うことを求める者たちの
 最後の審判が下り
 母なる星の希望と絶望が始まる

 私は、いつも陰からナオミたちの闘いを見守っております)
     
     


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