ものぐさ日記

ひとり遊びが好きな中年童女の日常

インター・カースト婚

2007年01月08日 | インド

 いま、インドでは、人気絶頂の俳優、アビシェーク・バッチャンと、元ミス・ワールドで、絶世の美女であり、これまた大人気の女優、アイシュワリヤー・ラーイが、2月に結婚するという話でもちきりです。アビシェーク・バッチャンは、私のアイドル、アミターブ・バッチャンの息子なので、その嫁となると、私も他人事のような気がしませんが(笑)、それより興奮しているのは、身近なインドの親戚の結婚話。

 

アビシェーク(左)&アイシュワリヤー(右)

 インドのホスト・ファミリーは、グジャラーティーの、ローハナーというコミュニティーに属しています。ローハナーというのは、日本人の私にはよくわかりませんが、どうやら、商業に従事するブラーフマン(バラモン)階級で、大昔の先祖は、今のパキスタンとインドの間あたりからやって来た、鉄工業に関係する仕事をしていた人達と言われているようです。

 日本では、インドのカーストは、バラモン、クシャトリア、ヴァイシャ、シュードラの4種類で、バラモンは僧侶、ということになっていますので、鉄工業や商業に従事するバラモン、とうだけで、わけがわからなくなります。でも、インドに行ってみると、「カースト」と、いう言葉はなくて、あるのは、「ジャーティー」というコミュニティーだということに気づきます。「ジャーティー」は、身分階級だけでなく、出身地方、宗派(宗教)、世襲的な仕事など、さまざまな細かいコミュニティーを示しています。同じ名前のジャーティーでも、住む場所によっては、ブラーフマン(バラモン)だったり、クシャトリアだったりと違うし、ブラーフマンとシュードラの2つの分類しかない地域もあるそうです。

 もちろん、現在のインドでは、ジャーティーの別による差別は禁止されていますが、伝統的に、地位が低いとされて来たジャーティーの人的権利を守るために、被差別階級優遇措置もとられています。

 ホストファミリーは、今まで、同じコミュニティーのローハナの家庭同士で、結婚していました。ローハナ間でも、先祖が近いとされる、ある一定の名字の家は結婚の対象にならないとか、複雑な制約があるようです。グジャラーティーで、ローハナ、ヴィシュヌ派クリシュナ信仰で、場合によっては、グジャラーティイーの聖者、スワミナラヤンやジャラーラームを信仰する家庭が、結婚相手の対象相手でした。それだけ結婚の条件や制約が多いので、もちろんお見合い結婚。

 ところが、ついに、ひとりの青年、ゴーヴィンド(仮名)が、2月にカシミーリーの女性と、恋愛結婚をすることになりました!

 「ゴーヴィンドの彼女にメール出してみてくれ」と、ゴーヴィンドのお父さん、アルジュン叔父さん(仮名)から、メール・アドレスの紹介が来たのが、かれこれ1年半くらい前。ダ・ヴィンチ・コードは、彼女の推薦で読みました。

 インドも最近は恋愛結婚が増えていると聞いていたので、彼女から、「私はカシミーリーよ」と聞いた時にも、「へ~(時代も変わったのね)」くらいしか思わなかったのですが、去年2月にホスト・ファミリーに行ったとき、「ゴーヴィンドの彼女が…」と、言いかけて、腕を引っぱられました。その時は、カシミーリーの女性と結婚話を進めているというのは、一家の中でも、まだ数人しか知らないトップ・シークレットだったのです。そういえば、生理中の女性は寺や台所に入れない…というタブーを守っているくらい保守的なんでしたっけ。結婚話を、家長のおばあちゃんに言い出すまでには、まだ根回しが必要、という段階でした。

 それから1年経って、ようやく結婚話が整ったようです。相手の女性は、カシミーリーのブラーフマンですが、アルジュン叔父さんが言うには、「うちより高カーストだが、相手の両親が受け入れた」とのこと。こういうときだけ、「カースト」という言葉を使うので、よくわからない…。アルジュン叔父さんの家もブラーフマンですが、その中にもランクがあるようです。

 とにかく、彼女はグジャラーティー語を知らない、肌の色の白い、カシミーリー。私から見れば、インド人のブラーフマン同士の結婚ですが、ホスト・ファミリーにとっては、史上初の「インター・カースト婚」。グジャラーティー語ばかりで、ヒンディー語が得意ではない、嫁のジャルバーラー(仮名)の存在もちょっとした問題になっていた一家に、また、新たな歴史が刻まれるようです。そういえば、家に泊めた外国人の第1号は、私でした。


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2 コメント

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おお! (akberlin)
2007-01-08 16:45:11
アビシェークとアイシュワリヤー。
大物ボリウッドカップですなぁ。

とてもトラッドなお家にステイして本物のインドに触れて
いるとーこじー、すばらしいですねー。出会いの妙とはいえ、
これも前世からのご縁、なのでしょうねぇ。
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すてきなお舅さん (とーこ)
2007-01-10 09:11:25
akberlinさん

アビシェークとアイシュのコミュニティーも違うはずですが、ボリウッドでは、かなり前から、全然問題にならないんでしょうね。それにしても、阿弥陀さまがお舅だなんて…。嫁にめちゃめちゃ、やさしそう

> とてもトラッドなお家にステイして本物のインドに触れている

インドって、何でもアリなので、他のコミュニティーでは、全然違う生活をしていそうです。
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