あくまでたとえ話。

　例えばです。例えばですけど。

　広場の向こうの方で、人なつっこそうな犬が舌出してしっぽ振ってハアハアしながらコッチ見ているとします。で、頭をなでであげようかと思って近づくと、いきなり物凄い剣幕で吠えられてしまいました。当然慌てて逃げてきます。

　で、離れてみると、またその犬がしっぽ振ってコッチ見ている訳ですよ。驚かせたのかなー、申し訳無かったなぁと思って、ゆっくりゆっくり近寄って、そっと手を伸ばしてみると、今度はガブリと手に噛みつかれました。まさに喰い千切らんばかりに。

　予想外の痛さに驚いて振り払って逃げてくると、またその犬がしっぽ振ってコッチ見ている訳ですよ。んー今度こそは、と血の滲む手を伸ばすと、今度は明らかに首筋を狙って噛み付いてくるんです。

　こりゃもうたまらん、ダメだと思って逃げてくると、またその犬が遠くでしっぽ振っているんです。命を賭ける訳にはいかないけど、どうにもこう、抗し難い魅力がある犬な訳です。


　やっぱり、
　私は餌だと思われているんでしょうか。