CELLの歩留まりの話

　■IBMの半導体部門の副社長、「CELLチップの歩留まりは良くて１０～２０％」と発言

　この話を聞いて、えぇ！と２つの意味でぶっとんだ。

１つ目は（コレが本当なら）この時期としては致命的なYieldの悪さであるということ。
２つ目は、天下のIBMがこんな事をポロっとでも洩らす事があり得るのかということ。

　ただ、原文を読んでみると、ちょっと印象が違う気がした。

　インタビューを受けたIBMの副社長Tom Reevesが言いたかったことは、

　「製造が難しく歩留まりが低いチップであっても、CELLのようにコアが独立していれば不良コアを殺せるから歩留まりを上げることが出来る」

　という１点だけだったような気がする。実際、IBMはCELLの歩留まりについて話した訳ではないという見解のようだ。（そりゃそうだろう。こんなのはビジネス上の極秘事項だ。）


　話の筋から考えても、今回の数字は多少悪目に誇張された歩留まりという気がする。さらに、恐らくは８コア品の話だと思う。もっと言うと、現場の人間ではなく副社長の話だから、それなりに古い数値であるのも間違いない。

　だとしても、実際のところ、最近まで１０％～２０％しか歩留まりが行かなかった事実はあるのだろう。記憶に無い数字がぽろっと出てくるとは考えにくい。実際、６コア以下のCELLについて捨てるべきか否か悩んでいるくらいなのだから、ＰＳ３の要求仕様に満たないチップが相当出ているのも事実なのだろう。

このことは、まず第１にＰＳ３の価格に跳ね返ってくる。６万でも大赤字かも知れない。
第２に在庫不足に跳ね返るが、これはまぁ、きっと数出ないだろうから関係なし（ぉぃ）。
第３に、長期的にコストダウンの遅さとして足を引っ張る可能性がある。これが致命傷か。
他社は枯れているPowerPC系なので、プロセス移行で即コストダウン効果が出るはずだ。

　こりゃさすがに拙い。SONY傾きかねない。

　ただ、このインタビューでは「Defects.」と一言で済ませている以上、恐らく消費電力やデザイン上の問題ではなく（いやそれも多少はあるんだろうけど）、あくまでプロセス上の問題と認識しているのだろうか。
　それならば、何か改善策が見つかれば、一気に歩留まりが上がるかもしれない。

　どちらにせよ、SONYは短期的にはPS3で大損しそうな雰囲気になってきた。
　きっと売れても赤、売れなくても赤。ちと気の毒だ。

　いっそのこと、もう暫くPS2引っ張っても良いのでは？
　PS3は次々世代機ということで。（笑）