面白草紙朝倉薫VS安達龍真

夢と現実のはざまで

夏に生まれた風のように

2008年07月22日 | Weblog
 晴れ渡る空、照りつける太陽、歩き疲れて一休みする人のシャツの胸元に吹く爽風。

 夏に生まれた僕の使命は、その風の様に生きることであろう。朦朧とPCを開いていたら、手もとの電話がなった。「おはようございます、Yです」と、活躍中の女優Y嬢の凛とした口跡爽やかな声が眠気を吹き飛ばしてくれた。明日アトリエ公演を観にきてくれるらしい。

 ひとりでは生きていないことをこれほど実感することはかつてなかった。この十数年間、劇団を、稽古場を中心に生きて来た。もうすぐ、その稽古場を離れる。感傷ではない。その昔、「江古田スケッチ」という歌を書いて歌った。
「彼女にとってこの街ははじける季節の仮の宿」
「あいつにとってこの街は夢を飛ばせるエアポート」
 旅立つ大学生を歌った歌は、今も江古田で歌われているらしい。

 中野坂上で25年暮らして、沢山の歌を書いたが、この街のうたはひとつも書かなかった。中野坂上はめまぐるしく変化し、ゆく人来る人も尋常ではなかった。入団して辞めた劇団研究生は500人を越える。

 最後のアトリエ公演、何処かで話しを聞きつけたら是非足を運んで欲しい。辞めた理由はどうあれ、いちどは僕の「ハワイおにぎり」を食べた仲間ではないか。朝倉薫演劇団は僕だけの劇団ではない。在団したみんなの劇団です。皆が誇りに胸を張れる様、残った17名の劇団員は今日も芝居を上演します。

アトリエ公演初日御礼

2008年07月22日 | Weblog
 日付けが変わって昨日となりましたが、17回アトリエ公演「ミッドナイトフラワートレイン」初日の幕が無事に下りました。ご来場のお客様、出演者、スタッフの皆さん、本当にありがとう御座いました。音楽の神津裕之先生も駈けつけてくれて「決意が感じられた」と、嬉しい感想を戴いた。これから九州へ旅立とうとする僕らには何よりの餞(はなむけ)です。

 17回のアトリエ公演が長かったのか短かったのか、もう少し時が流れてから振りかえれる気がする。今は、この作品を持って九州を巡演する意気込みに全身を委ねている。
 29歳で処女のストリッパー弁天マリアを演じる塩山みさこ嬢の凛々しい覚悟、幼い頃からのライバルでどうしても弁天マリアを超えられない悔しさと友情を全身で熱演するキャサリン青田を演じる北原マヤ嬢の決意、四月に1ヶ月間の新人公演で主役を演じたマリリン役三田裕子嬢のすべてを脱ぎ捨てた爆発的演技、その他の出演者も皆それぞれの覚悟が、客席の隅の暗がりで見つめる僕の胸を熱くした。

 初日に自分の劇団の芝居を見ながら泣いたのは16年間で初めての経験だった。音響、照明、装置、共に多くの制限を乗り越えて立派に役目を遂行した。自画自賛ではない。僕は、今までになく冷静に、この芝居を買う側の目で観劇したつもりである。誰よりも朝倉薫の演劇を知っている観客として見た。九州の皆さん、お待ち下さい。思いっきり素敵な芝居を御見せすることを約束します。

 無事に初日が迎えられました事、心から御礼を申し上げます。