面白草紙朝倉薫VS安達龍真

夢と現実のはざまで

交差点でマジックアワー

2007年09月27日 | Weblog
 「男たちの日記」4日目の舞台を観劇に来てくれた映画監督の保坂延彦氏と若きプロデユーサーM氏、K氏の4人で例によって「軍司」へ。6年前に撮影2日目にして中止となった朝倉薫原作脚本、保坂延彦監督作品の話で盛りあがる。保坂監督はその後、雪村いずみ主演「そうかもしれない」が無事に公開され絶賛されたのでよかったが、僕の方はその後映画に関してはことごとく進展がない。それはそれとして、保坂監督は毎回アトリエ公演に来てくれるし、仲良くつきあってくれているので、無理に仕事をすることもないと思っている。餅は餅屋という言葉もある。

 楽しく飲んで別れ、稽古場に戻ると、珍しく新人の司亮が残って稽古をしていた。今回初主演の安達竹彦、それに樋口昇平も付き合っていたので、僕も「朝まで稽古」に付き合うことにした。4時過ぎ、さすがに喉が乾いてきたので皆で駅前の深夜レストランに行きお茶を飲んだ。眠気も限界を通り越すと、締まりがなくなりニタニタ笑いの顔がお互いに遠くなったり近くなったりする。横浜に住む司亮が始発で帰る予定だったので6時前、駅まで送った。中野坂上の交差点で信号待ちしていると、竹彦が樋口主演で短編映画を撮った話をし始めた。影を失くした男の話らしい。「こんな時間ですよ、朝と夕方のほんの僅かな、光源のない時間、足元を見てください」言われて、ぼうっと立った4人の足元を見ると、影がない!徹夜明けの早朝街をふらつくこともあるが、大方空を見上げる。こんな時間をハリウッドの映画用語でマジックアワーと呼ぶらしいが、確かに不思議な気分になる。おぼつかない足取りは確かにゾンビ映画を思わせる。皆と別れゾンビのまま家路を辿れば、やがて朝日が昇る気配がして、僕は自分の影を取り戻し、ほっとした。