ブログを書こうとしていたらTがやって来た。台風について書こうと思っていると云ったら、天候状況を書いてどうする?ときた。シャワーを借ります、と、3分ほど浴びて(カラすだってもうすこし長いかも)戻ってくると、画面のタイトルを見て「台風なんぞを書いたって、おおかた紋切り型の文章になるんだから、云々」と、早口で喋り出したので「能書きはいらない」と返すと、「能書きというのはですね、正しくは効能を、云々」と始まった。「いいから、頼んだ仕事をさっさと片付けてくれ」と追い払った。
「作家が日記ごときで悩むなんざ、ふん」と、Tは捨て台詞を残して去っていった。別に悩んでいる訳ではない。Tが来たので中断しただけだ。おかげで書こうと思っていたことをすっかり忘れた。台風9号が来る前につむじ風に見舞われたような気分だ。時計を見ると、玄関のドアが開いて、また閉じるまでちょうど10分間だった。
「作家が日記ごときで悩むなんざ、ふん」と、Tは捨て台詞を残して去っていった。別に悩んでいる訳ではない。Tが来たので中断しただけだ。おかげで書こうと思っていたことをすっかり忘れた。台風9号が来る前につむじ風に見舞われたような気分だ。時計を見ると、玄関のドアが開いて、また閉じるまでちょうど10分間だった。