面白草紙朝倉薫VS安達龍真

夢と現実のはざまで

台風9号

2007年09月06日 | Weblog
 ブログを書こうとしていたらTがやって来た。台風について書こうと思っていると云ったら、天候状況を書いてどうする?ときた。シャワーを借ります、と、3分ほど浴びて(カラすだってもうすこし長いかも)戻ってくると、画面のタイトルを見て「台風なんぞを書いたって、おおかた紋切り型の文章になるんだから、云々」と、早口で喋り出したので「能書きはいらない」と返すと、「能書きというのはですね、正しくは効能を、云々」と始まった。「いいから、頼んだ仕事をさっさと片付けてくれ」と追い払った。

 「作家が日記ごときで悩むなんざ、ふん」と、Tは捨て台詞を残して去っていった。別に悩んでいる訳ではない。Tが来たので中断しただけだ。おかげで書こうと思っていたことをすっかり忘れた。台風9号が来る前につむじ風に見舞われたような気分だ。時計を見ると、玄関のドアが開いて、また閉じるまでちょうど10分間だった。

会社見学

2007年09月06日 | Weblog
 芝居作りの身で縁があるとは思いもしなかった巨大企業の本社を訪ねた。ホテルも入るビルの6階にある受け付けで訪ねる部署と面会相手の氏名を書き、入館証を頂く。勿論、こちらの身元も明かさねばならない。ロビーはあまりに広く、清潔で、埃まみれの稽古場とは比較も出来ない。続々と受け付けを目指す訪問者の服装からここが一流企業で、僕は全く場違いな人間だと一瞥でわかる。着古したホワイトジーンズに綿シャツ、腕まくりのジャケット、つばの縁ははぼろぼろの運動帽子だ。大画面ではこの会社の創業者が新発売の商品を説明している。世界一の億万長者だといわれるその顔は僕でも知っている。

 ほどなく迎えに現れたM氏に会うまで、僕は会社見学の小学生みたいにロビーをうろうろしていた。36歳のM氏が、アトリエ公演にみえたときのように、ラフなTシャツ姿であることにホッとして僕は親しみが増した。

 合流したMさん、Hさんを交えて会議室で2時間も語り合った。殆どが芝居の話で、楽しく時間を忘れた。仕事は自分の土俵を忘れてはいけない。僕は芝居人間でしかないのだ。あらためて自分を戒めた。

 終わって稽古場へ直行。久々の一番乗りだった。今しがたまでいた最新のビルと我が稽古場の落差に少し落ち込むが、いごこちは稽古場の方が断然なので気を取りなおす。
 僕の夢は小さい。稽古場にシャワーが付いて、今の倍の広さで、天井がもう30センチ高く、客席にクッション付きの椅子があれば、それでいい。毎日、舞台か稽古をやっていられたら、もう何も言う事はない。

 素晴らしい素材には燃える。稽古にも熱がはいる。いれ込んでいると揶揄されようが、より素敵な舞台が出来あがればお客様のも喜んでいただける。問題はその素材自身が、自分が素晴らしい素材である事を自覚して更なる高みを目指せるか、だ。力を引き出せるのはおのれ自身しかいないのだから。